移動都市/モータル・エンジン RE-3096

作品紹介

公開年月  2018/12/14
ジャンル  SF/アクション/アドベンチャー
原作  フィリップ・リーヴ 『移動都市』
監督  クリスチャン・リヴァース
脚本  ピーター・ジャクソン、フィリップ・ボウエン、ほか
製作  ピーター・ジャクソン、ゼイン・ワイナー、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

60分で文明を荒廃させた最終戦争から数百年後の世界、移動する都市同士が狩り合う壮絶な戦いが繰り広げられていた。
恐るべき野望を秘めたサディアスが牛耳る巨大移動都市ロンドンは、圧倒的な力で小さな都市を次々と呑み込み成長していた。
ある日、一人の少女ヘスター・ショウがロンドンに潜入し、そこで“反移動都市同盟”と手を組んで亡き母のカタキを討とうとするのだった。

登場人物&出演者

ヘスター・ショウ(演:ヘラ・ヒルマー)
主人公。顔に大きな傷を持つ少女。小さい頃に母親をサディアスに殺されて復讐を誓う。
ヘラ・ヒルマーは代表作に『アンナ・カレーニナ』、『殺意の誓約』などがあります。
パンドラとサディアスは親しい関係だったが、「メドゥーサ」の起動装置で運命が変わる。
ロンドンを目指してトムと行動していると、アナに助け出されるが、シュライクに追われる。
シュライクが倒れると、母親の形見である「メドゥーサ」を破壊するチップを手渡される。
最後は「メドゥーサ」を破壊して、サディアスが倒れると、トムとともに世界を旅する事に。

トム・ナッツワーシー(演:ロバート・シーハン)
巨大移動都市ロンドンの住人。史学見習い。両親がいた頃は飛行船乗りを目指していた。
ロバート・シーハンは代表作に『デビルクエスト』、『ムーン・ウォーカーズ』があります。
今ではオールドテクや60分戦争について調べていたが、なぜか回収した部品が消えていた。
ヘスターに襲われるサディアスを助けたが、そのせいで彼によってロンドンから追放される。
外の世界で真実を知っていくと、サディアスの野望やヘスターの復讐を知って協力する。
最後はアナから託された飛行船でサディアスを倒し、ヘスターとともに世界を旅する事に。

アナ・ファン(演:ジヘ)
反移動都市同名の中心人物。ロンドンから最高レベルの懸賞金を首にかけられている。
ジヘは代表作に『2B』などがあります。
自作した飛行船「ジェニー・ハニヴァー号」で空を飛び、ずっとヘスターを探していた。
実はヘスターの母親であるパンドラとは旧友で、彼女が死んでカギとなる娘を求めていた。
サディアスに対してもパンドラのカタキとして恨みを持ち、ヘスターの為に協力を惜しまず。
最後はヘスターが「メドゥーサ」を破壊したのを見届けると、崩壊する都市とともに散る。

ベヴィス・ポッド(演:ローナン・ラフテリー)
巨大移動都市ロンドンの住人。下層の住人で機械工として働く。トムとは旧友である。
ローナン・ラフテリーは代表作に『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、『ジャドヴィル包囲戦/6日間の戦い』などがあります。
史学見習いとなったトムと生活が変わってしまい、地下鉄で出会っても他人行儀を貫いた。
実はサディアスたちが何を作っているのか分かっていて、何度か潜り込もうとして失敗する。
サディアスの本性を知っていて、問い詰めてきたケイトにすべて話し、聖堂まで行く事に。
最後はサディアスが善人だと信じるケイトに再度説得し、彼の野心が危険だと主張した。

パンドラ・ショウ(演:カレン・ピストリアス)
ヘスターの母親。サディアスとは同じ考古学者として様々なオールドテクを発掘していた。
カレン・ピストリアスは代表作に『スロウ・ウェスト』、『カーゴ』などがあります。
人類の文明を破壊した「メドゥーサ」の起動装置を発見した事でサディアスに奪われる。
最後は暴走するサディアスに殺されるが、その寸前にヘスターに止めるチップを手渡した。

シュライク(演:スティーヴン・ラング)
人造人間。何百年前に人間と機械を合成させた存在。人々からは「ストーカー」と呼ばれる。
スティーヴン・ラングは近年の出演作に『ワイルド・ブレイブ』、『ビヨンド・ワルキューレ/カリーニングラードの戦い』などがあります。
ヘスターがロンドンに潜り込んで暗殺に失敗して逃げ出し、同じ頃に来るが捕まっていた。
目的がヘスターの殺害だと分かったサディアスに解き放たれ、どこまでも追いかけていった。
実はサディアスの魔の手から逃げ延びたヘスターを育てていて、改造人間にすると約束した。
最後はヘスターの強い思いを理解し、機能停止する寸前に過去の記憶を思い出して倒れた。

・ケイト/キャサリン・ヴァレンタイン(演:レイア・ジョージ)
巨大移動都市ロンドンの住人。サディアスの娘。上級層出身の為に何不自由なく育った。
レイア・ジョージは代表作に『スリープ・ウィズ・ヴァンパイア』、『ザ・キッド』がある。
下層からやって来たトムの友人となり、彼が持っているオールドテクの知識に興味を持つ。
サディアスが善人だと強く信じるが、ベヴィスの言葉と実際に悪行を見てショックを受ける。
「メドゥーサ」が破壊されると、一緒に逃げようとするサディアスを嫌って別の道へ行く。
最後は暴走するロンドンをトムの指示で止め、反移動都市の人々と共存する道を選んだ。

サディアス・ヴァレンタイン(演:ヒューゴ・ウィーヴィング)
巨大移動都市ロンドンの住人。史学ギルドの長。市長に次ぐ権力を持ちカリスマ性を備える。
ヒューゴ・ウィーヴィングは近年の出演作に『ハクソー・リッジ』、『復讐のドレスコード』などがあります。
ロンドン市民から英雄として慕われている一方で、オールドテクを徹底的に排除を進める。
その正体は過去に人類の文明が滅んだ「メドゥーサ」の復活させ、世界を支配しようとする。
邪魔になったトムまで排除するも生き延びてしまい、娘のケイトにも計画がバレてしまう。
最後はヘスターにより「メドゥーサ」が破壊され、飛行機も墜落して都市に踏み潰された。

感想

個人的な評価

本作はフィリップ・リーヴの同名小説を基に製作されています。
『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』で知られるピーター・ジャクソンが共同脚本と製作として参加しています。
さすがに10年もかけてピーター・ジャクソンが企画を温めてきただけあって、冒頭の10分間は凄まじいまでの映像を魅せてくれています。
今まではアニメだけでしか実現できなかった迫力の映像が、CGを使ってここまで表現できるのはスゴイを素直に思わせてくれました。
これから始まる壮大な物語に相応しい冒頭のシーンであって、観ている側としても期待を大きく持たせてくれます。
舞台は3000年辺りの未来であるが、かつて人類が使った超兵器「メドゥーサ」により、たった60分で文明を荒廃させてしまう。
生き延びた人間は汚染された大地を移動する都市によって生き延びているが、そこに主人公のヘスターの個人的な物語が絡んでくるという内容です。
壮大なスケールで展開されているが、結局は主人公の過去が物語のキーポイントになっている点では個人的にマイナスでした。
なんだか日本で言う「セカイ系」みたいなストーリーで、POV手法に次いで映画で嫌いな手法になっているから期待を裏切られました。
いろんな人が壮大な物語にいるはずなのに、結果的に主人公と悪役のやり取りがそのまま世界の運命を決めるのは気に食わない。
数メートルにも渡る大きな風呂敷を広げているはずだが、やっているのは数センチ程度の出来事で、それだけで完結してしまうのです。
これは非常に相性が悪いと思いますし、何より本作は移動都市がメインのはずが、ラストではほとんど関係なくなっている。
せっかくの冒頭もラストでは夢でも見ていたかのような感覚に陥ってしまうぐらい、もう別物になってしまっていた。
どうせなら移動都市の中だけで完結させる方がよっぽど合っていて、ムダにスケールを広げてしまったのは失敗だと感じました。
それでも、時間をかけて作った世界観は素晴らしく、オタク気質なピーター・ジャクソンらしく、なんだか見た事のあるようなシーンもチラホラありました。
特にジブリに対するオマージュ的なシーンも多く、次いで「スター・ウォーズ」に、ラストで登場する壁なんか「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」を思い出させてくれました。
映像が素晴らしい分、ストーリーに不安が多大にあって、バランスの面では世界観をしっかりと活かしていないと感じた惜しい作品でした。