作品紹介
公開年月 | 2016/04/08 |
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ジャンル | SF/アクション |
原作 | なし |
監督 | イリヤ・ナイシュラー |
脚本 | イリヤ・ナイシュラー |
製作 | ティムール・ベクマンベトフ、イリヤ・ナイシュラー、ほか |
製作国 | ロシア、アメリカ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
白衣を着た美女エステルに呼びかけられ、見知らぬ研究室で目を覚ましたヘンリー。
ヘンリーの妻だというエステルは、死にかけていた彼を蘇生させ、失った手足にマシンを取り付けたサイボーグとして復活させた。
しかし、超能力を持つ男・エイカンが率いる武装集団の襲撃に遭い、エステルをさらわれたヘンリーは、ジミーという男の協力を得て妻の救出に向かうのだった。
登場人物&出演者
・ヘンリー(演:アンドレイ・デミエンティエフ)
主人公。記憶喪失。左腕と左足を負傷し、頭蓋骨陥没の重傷だがサイボーグとして復活する。
アンドレイ・デミエンティエフは代表作に『Amnistiya ot prezidenta』などがあります。
妻と名乗るエステルによって復活するが、間もなくエイカンが研究室に侵入して逃げ出す。
ジミーと名乗る男に何度か助けられ、高い身体能力でエイカンの部下から間髪逃げ回る。
音声モジュールがない為に一切しゃべらないが、代わりにジミーがすべてを説明してくれる。
最後はエイカンの企み、エステルは黒幕の一人だと知って両者を壊滅させて自由となる。
・ジミー(演:シャールト・コプリー)
ヘンリーの窮地を救った謎の男。最初はスーツを着た男、次にホームレス男として登場する。
シャールト・コプリーは近年の出演作に『最高の家族の見つけかた』、『フリー・ファイヤー』などがあります。
死んでも生き返るよう謎めいた人物だが、その度にピンチとなったヘンリーを助け出す。
実はエイカンに雇われていた科学者でサイバー兵士を作るも背骨を折られて障害者となる。
その後、サイバー人間技術による己のクローンを作り出して復讐を果たそうとしている。
最後はエイカンの追っ手から逃げるが、一歩のところで力尽きるも満足していた。
・エステル(演:ヘイリー・ベネット)
ヘンリーの妻。生死の境をさまようヘンリーをサイボーグとして復活させた張本人。
ヘイリー・ベネットは代表作に『イコライザー』、『マグニフィセント・セブン』がある。
素材を提供したエイカンに侵入され、ヘンリーを逃す為に自分が囮となってしまう。
エイカンに捕まっていて、一度はヘンリーに助けられるもすぐにまた捕まる事に。
実はエイカンの女でサイバー兵士たちの記憶に植え付けられ、従う為に登場していた。
最後はエイカンをヘンリーに殺されて逆上するも、命乞いしたところで見殺しにされる。
・エイカン(演:ダニーラ・コズロフスキー)
死体を使って屈強なサイバー兵士を作る男。白髪で傲慢な性格。念力の超能力を持つ。
ダニーラ・コズロフスキーは代表作に『タイム・ジャンパー』、『ヴァンパイア・アカデミー』などがあります。
巨大な組織の絶対的なトップとして君臨し、多くの人材と資金でサイバー兵士を作る。
ヘンリーもその一体であったが、裏切ったジミーによって命を狙われるも逆に利用する。
裏切り者のジミーを見つけて運良く殺したが、事実を知ったヘンリーに追いつめられる。
最後は諦めそうになったヘンリーが奮起して有刺鉄線で頭部を切断されて死亡する。
・ヘンリーの父(演:ティム・ロス)
記憶をほとんど失っていたヘンリーが唯一覚えていた父親から話しかけられた場面。
ティム・ロスは近年の出演作に『バッド・バディ!私とカレの暗殺デート』、『或る終焉』などがあります。
イジメを受けてオモチャを壊されたが、そこでヘンリーの覚悟を問い質していく。
その結果、一度エイカンの前に倒れたヘンリーは再起して、憎き敵を倒す事になる。
感想
個人的な評価
本作はイリヤ・ナイシュラー監督がフロントマンを務めるロシアのロックバンド「バイティング・エルボウズ」の楽曲のPVがベースとなっています。
ネットの動画サイトで話題を呼んだPVは多くのユーザーから指示を受け、それを聞いたティムール・ベクマンベトフがイリヤ・ナイシュラー監督と映画化の交渉を進めたようだ。
最大の特徴である一人称視点の映画として、初の試みと言える貴重な作品と言えるだろう。
すでにゲームではFPS(ファーストパーソン・シューティング)としてジャンルが確立されており、人気を博しています。
プレイヤーの視点のゲームである為、ネット環境が整った近年では対戦型のシューティングとして人気があるジャンルとなります。
それをついに映画へ持っていく試みは遅かれ早かれ、いずれ実現すると思っていました。
似たような作品では『ノックアウト』という作品があって、それも一人称視点と同様に手法を少しだけ使っていました。
しかし、本作は最初から最後まで一人称視点で展開しており、主人公は一度も顔を見せない。
なぜなら、主人公の視界は観ている側の視点でもあるので、鏡を見ない限り自分の顔を見る事はないでしょう。
通常の映画と違ってずっと一人称の視点なので、固定してある映像じゃなく、ずっとブレているので画面酔いする可能性が非常に高い。
慣れている人なら多少は問題ないでしょうが、耐性のない人だと相当キツイ映像だと思う。
どうやら本作は「映像革命」なんて言われているが、個人的にはそれは違うと感じた。
一人称による視点の作品は本作のようなモノじゃなくても、似た手法ではPOVという最低のクソ演出があります。
それを思い出してしまったので、ハッキリ言って、本作は映像革命でもなんでもない単なるFPSの実写映画化としか思えなかったです。
人間の視界を映像で見ると死角が非常に多く、かなりイライラさせられるイメージがある。
限られた視界では自分が見たいモノが見られるからいいのであって、それを第三者が似せた映像では意味がないと思います。
これはPOVにも通じる事だが、人によって同じ場面でも見たい部分が違うので、これは完全に製作側の傲慢さに共感できるか否かだと思っています。
残念ながら自分は他者の傲慢さにはガマンならないので、本作はPOV以上に嫌悪感を持ってしまったのは事実です。
一人称視点ではなく、ちゃんとした三人称視点ならもっと面白い作品だったのに残念と思う場面が多々にありましたし。
唯一、本作の救いはシャールト・コプリーの存在で、彼が何人も演じ分けているところは楽しそうで何よりでした。
本当の映像革命というのは後世の作品を与え、賛否両論ではなく、ほとんどの人間が納得するような作品の事を言うはずです。
意見が分かれている時点で本作に映像革命という言葉が重く、個人的に認めたくない部分が多いから本作はちょっとばかり受け付けないタイプの作品でした。