封神伝奇/バトル・オブ・ゴッド RE-2602

作品紹介

公開年月  2017/05/17
ジャンル  ファンタジー/アクション
原作  なし
監督  コアン・ホイ
脚本  チャコール・タン、チェン・チーグォン、ほか
製作  チャールズ・ヒョン、ウィルソン・イップ
製作国  中国、香港
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

時は古代中国、殷の末期、第三十代の王である紂王は慢心により女神を怒らせて九尾の狐が化けた美女、妲己に魅了される。
紂王は操られたままに暴政を行い、周辺への侵略を開始した事で人間界では魑魅魍魎が跋扈し、乱世が始まろうとする。
事態を重く見た仙界最強の道士にして周の軍師、姜子牙はそれを阻止しようと楊戩、ナタ、雷らを遣わすのだった。

登場人物&出演者

姫雷/キライ(演:ジャッキー・ヒョン)
翼族。一族の最後の生き残り。西岐の姫一族に拾われて義兄の姫発とともに育った。
ジャッキー・ヒョンは代表作に『SPIRIT/スピリット』、『ウォーロード/男たちの誓い』などがあります。
復活する黒龍を倒せる唯一の武器である光の剣を求め、姜子牙の助言に従い旅に出る。
三つの袋を所持し、それを手にした者は仲間となって黒龍とともに戦ってくれるという。
道中では申公豹の放った監視役の藍蝶に恋するが、それは叶わない代わりに翼が戻る。
最後は哪吒と楊戩とともに不死の軍神と化した申公豹と戦い、光の剣を姫発に託す。

哪吒/ナタ(演:ウェン・ジャン)
姜子牙により囚われていた問題児。東海竜王で暴れていたが、風火二輪を奪われている。
ウェン・ジャンは代表作に『白蛇伝説/ホワイト・スネーク』、『人魚姫』などがあります。
子供の姿に変えられてしまい、風火二輪がない状態ではそこまで強くないという。
竜宮を壊してしまい竜王から嫌われていて、更に第三太子が入った袋を姫雷から渡される。
試練として竜宮で散々暴れ回り、竜王が風火二輪を返すと第三太子を返して相子にする。
最後は姫雷と楊戩とともに不死の軍神と化した申公豹と戦って倒す手助けをした。

楊戩/ヨウセン(演:ホァン・シャオミン)
妲己に単身で戦いを挑んだ過去を持つ。だが、敗れて呪いで無人の都に囚われていた。
ホァン・シャオミンは代表作に『イップ・マン/葉問』、『白髪妖魔伝』などがあります。
お宝を生成している時に姫雷と哪吒がやって来るが、黙って見ていろと言い放つ。
哪吒がガマンできずに奪おうとして反撃し、一緒にいた姫雷も戦いに巻き込まれてしまう。
三人の強大な力がぶつかり、妲己の呪いが解かれ、金の鎧を探す為に一人旅に出た。
最後は姫雷と哪吒とともに戦い、主に大地を操って不死の軍神に大打撃を加えていた。

姫発/キハツ(演:アンディ・オン)
西岐一族の跡継ぎ。姫雷の義兄にして、霊族の大長老を救うべく紂王の城に忍び込む。
アンディ・オンは代表作に『三国志』、『ソンビ・ファイト・クラブ』などがあります。
あくまで任務を最優先する中で、無関係な己の秘密を探ろうとした姫雷を止めていた。
妲己の命令で西岐が攻撃が受けると、父親が犠牲となり、光の剣を託される事に。
命の泉に身を投じて、炭化した光の剣に輝くを取り戻させる金龍と化して戦いを挑む。

姜子牙/キョウシガ(演:ジェット・リー)
軍師。風の如く登場し、姫発たちに紂王の正体を教え、本当の脅威は黒龍だと諭した。
ジェット・リーは近年の出演作に『エクスペンダブルズ3/ワールドミッション』、『ドラゴン・コップス/微笑(ほほえみ)捜査線』などがあります。
黒龍が復活した際に世界が闇に支配されると言い残し、風の如くその場を立ち去った。
姫雷たちに乗じて城へ侵入し、時が止まった状態で妲己と激しい攻防を繰り広げる。
しかし、妲己の“時の逆さま回しの呪い”を受けてしまい、徐々に力が衰えていく状態に。
大長老の目から光の剣が必要だと知り、それを手に入れるべく姫雷を旅に発たせた。

藍蝶/アイチョウ(演:アンジェラベイビー)
ヒロイン。申公豹により木の塊から作られた人形。申公豹により何度も記憶を消される。
アンジェラベイビーは代表作に『ロスト・レジェンド/失われた棺の謎』、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』などがあります。
姫雷が方舟を見つける為に立ち寄ったところにいて、そのままの流れで一緒に行動する。
ただ、すべての情報は申公豹に筒抜けとなるが、それよりも記憶がなくなる事に悲しむ。
そこで姫雷が得意の電撃を使って記憶を吸い出す装置を破壊して見事に記憶を留める。
最後は申公豹を裏切って光の剣を手に入れるが、夕日を見る前に木の人形に戻る。

申公豹/シンコウヒョウ(演:ルイス・クー)
紂王の将軍。戦闘では特製のムチを使う。戦闘時では巨大な黒豹に跨って出陣する。
ルイス・クーは代表作に『ドラゴン×マッハ!』、『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝』などがあります。
カラクリを作る才能も持っていて、姫雷を監視するべく木の塊から藍蝶を作った。
姫雷の故郷に光の剣がある事を知り、艦隊を率いて容赦なく攻撃を加える返り討ちに。
妲己によって不死の軍神として蘇るが、姫雷たちの連携と光の剣により倒された。

紂王/チュウオウ(演:レオン・カーフェイ)
第三十代の王。天下を手に入れるべく黒龍と契約をした。九尾の狐を妻にしている。
レオン・カーフェイは代表作に『愛人/ラマン』、『THE MYTH/神話』などがあります。
霊族の大長老に己の行く末を見てもらうが、そこには滅び行く未来を見てパニクる。
悪役としての立場を妲己に乗っ取られてしまい、黒龍を復活させる為にいるだけ。

妲己/ダッキ(演:ファン・ビンビン)
九尾の狐。紂王の妻となり、部屋に入ってくる衛兵たちを食べて食欲を満たしている。
ファン・ビンビンは近年の出演作に『スキップ・トレース』、『X-MEN:フューチャー&パスト』などがあります。
黒龍の復活を誰よりも待ち焦がれていて、その力を体に宿す紂王を愛している。
城へ乗り込んできた姜子牙と対決し、その時に“時の逆さま回しの呪い”をかける事に成功。
大長老の目を一つ手に入れて、黒龍を倒す唯一の武器である光の剣を手に入れようとする。
申公豹を不死の軍神に変えて西岐を襲うが、姫雷たちの連携と光の剣により阻止される。

感想

個人的な評価

本作は中国古典小説の一つである『封神演義』を基に作られています。
中国古典小説と言えば、四大奇書を連想するが、残念ながら評価として一段低いようです。
それでも日本では漫画による脚色もあって、三国志演義や水滸伝に続けて知名度が高い。
そんな中国古典小説の実写映画化となりますが、これはいわゆる“お金アルよ、チャイニーズ・ファンタジー”となっています。
近年ではアメリカに負けず劣らずの経済力を持つ大国となった中国では、映画業界にもその勢いが進出されています。
以前はCGをほとんど使わなかった中国映画ですが、近年は資金力にモノを言わせてハリウッド以上にCGを使っています。
しかしながら、ハリウッドではバランスを重要視している分、中国映画ではとにかく派手さを重要視してしまっている。
その結果、キラキラとした気持ち悪い原色のCGが悪目立ちしてしまっている。
特にファンタジーを含んだ作品が顕著であり、配色のバランスを考えないCGのせいで目がチカチカしてしまう。
本作はまさにそのような系列の作品で、確かに金はかかっているが演出の面ではまったく効果的ではない使い方だと感じます。
肝心の内容はハッキリ言って、中国古典小説を知っている人なら分かるだろうが、大半の人は知らないので専門用語が出てきても意味が分からない。
そのフォローもまったくないので、これは原作を知っている人しか楽しめない部分です。
本作ではジェット・リーがまるで主人公のような扱いだが、残念ながら脇役となっています。
多少は活躍しているけど、物語の本筋に関わっていない上に登場シーンも非常に短いです。
その代わりとなる主人公の姫雷ですが、演じているジャッキー・ヒョンでは華がなく物足りないという感じです。
仲間となる哪吒は多少キャラクターを描いているが、もう一人の楊戩なんてオマケにいるような印象しかなかったです。
ヒロイン的なポジションとなる藍蝶についても、ポッと出という感じが否めなかったです。
悪役でも九尾の狐である妲己や紂王なども中途半端な描写しかなく、全体的にキャラクターをちゃんと描いていません。
コミカル的な要素に少しだけシリアス要素を加えているが、このバランスも悪く、緊張感のない雰囲気が最後まで続いていました。
本作は“お金アルよ”という部分しか印象に残らず、中国映画が金によってダメになっていく意味として象徴的な作品でした。
そして、本作は完結しておらず、まさかの前半部分で終わるという「えっ?」と思わせるようなラストでした。
続編が作られるのか分からないけど、多分、挽回するのはムリなので、あとは“お金アルよ”で最後まで押し通すしかないだろうと思います。