バーニング・オーシャン RE-2593

作品紹介

公開年月  2016/09/30
ジャンル  パニック/サスペンス
原作  2010年メキシコ湾原油流出事故(モチーフ)
監督  ピーター・バーグ
脚本  マシュー・マイケル・カーナハン、マシュー・サンド
製作  ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、マーク・ヴァーラディアン、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

2010年4月20日、電気技師のマイクは愛する妻子を残し、メキシコ湾沖に浮かぶ石油採掘施設ディープウォーター・ホライゾンへ向かう。
現場に着くと設備の点検に取りかかったマイクは、トラブルや故障の多さに懸念を抱く。
上司のジミーが雇い主であるBP社の管理職ヴィドリンに抗議するが、利益を優先して重要な安全テストを無視して工期の遅れを取り戻そうとする。
その夜、マイクたちの不安は現実のモノとなり、大量の原油が漏れ出し、大爆発を引き起こすのだった。

登場人物&出演者

マイク・ウィリアムズ(演:マーク・ウォールバーグ)
主人公。技術主任。掘削施設の設備を見回り、問題箇所の多さについて雇い主に報告する。
マーク・ウォールバーグは近年の出演作に『トランスフォーマー/最後の騎士王』、『パトリオット・デイ』などがあります。
BP社の雇い主に殴り込みをするジミーに同行するほど信頼を得ていて発言もしている。
泥水を汲み上げていた時にフェリシアと会話するが、爆発炎上してドアに吹き飛ばされた。
施設が爆発炎上している最中でも冷静になり、ジミーを探し出して補助電源をつけた。
最後は怖じ気づくアンドレアを救出し、海へ飛び込んで火の海から脱出をした。

フェリシア・ウィリアムズ(演:ケイト・ハドソン)
マイクの妻。夫が三週間も掘削施設に行っている間、寂しい思いをしながら待機する。
ケイト・ハドソンは近年の出演作に『マザーズ・デイ』、『カンフー・パンダ3』がある。
予定を変更して家でのんびりしていた時、マークとの会話中に施設が爆発して心配する。
最後はマイクがケガを負いながらも帰還して、娘とともに再会した事に涙を流した。

ジミー・ハレル(演:カート・ラッセル)
掘削施設主任。雇い主のBP社がコスト削減をする中で安全対策を省略した事で激怒する。
カート・ラッセルは近年の出演作に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』、『ワイルド・スピード/ICE BREAK』などがあります。
BP社の雇い主の一人であるヴィドリンとは私的な付き合いがあるけど仲は良くない。
圧力テストでは現場から追い出され、部下の説得で作業開始するもそれが判断ミスとなる。
シャワーを浴びていた時に泥水が逆流し、エンジンが炎上爆発して吹き飛ばされ意識不明に。
大ケガを負いながらも最後まで施設を諦めなかったが、それがダメになった脱出した。

アンドレア・フレイタス(演:ジーナ・ロドリゲス)
船位保持操縦士。年代物の車を所有するが、エンジンが壊れてしまい修理を考える。
ジーナ・ロドリゲスは代表作に『マイファミリー・ウェディング』などがあります。
泥水の汲み上げが失敗して噴出しているのを見て、すぐに救助隊への要請をした。
ディープウォーター・ホライゾンが炎上する中、マイクにより助け出された。

ケイレブ・ハロウェイ(演:ディラン・オブライエン)
掘削作業員。寝ていたところをたたき起こされ、超過勤務の作業に文句を言っていた。
ディラン・オブライエンは代表作に『インターンシップ』、『メイズ・ランナー』シリーズなどがあります。
泥水を汲み上げる作業で異変に気づき、経験からパイプを切り離すべきだと意見した。
掘削パイプが折れないように位置を維持する為、マイクとともに補助電源をつける。
その直後にディープウォーター・ホライゾンが炎上し、なんとか脱出する事ができた。

ジェイソン・アンダーソン(演:イーサン・サプリー)
ドリル監視室の責任者。上司であるジミーと雇い主のヴィドリンとの板挟みになる。
イーサン・サプリーは代表作に『エボリューション』、『ダーティー・コップ』があります。
ジミーが強引に退席させられ、ヴィドリンの圧力に負けてテストに問題がないと判断。
しかし、その判断が間違っていて施設が爆発炎上し、それに巻き込まれて焼死した。

ヴィドリン(演:ジョン・マルコヴィッチ)
ディープウォーター・ホライゾンを雇うBP社の幹部。工期の遅れの損失に焦っている。
ジョン・マルコヴィッチは近年の出演作に『ズーランダーNO.2』、『カットバンク』などがあります。
必要なセメントのテストを省略し、ジミーが実行する負圧テストに対してもケチをつける。
あくまで会社の利益を最優先し、必要な安全確認を省こうとしてジミーと対立をする。
強引な掘削を進めようとした結果、泥水が逆流して施設を爆発炎上させる原因を作った。
最後はケガしたジミーとブリッジで対面し、何も言えずに救出ボートに乗って助かる。

感想

個人的な評価

本作は2010年に起きた“メキシコ湾原油流出事故”をモチーフにしています。
事故が起きてから三ヶ月間も原油が海に流出し、当時報じられた“黒いペリカン”の写真が自然環境への汚染を指摘していた。
この事故で作業員の11名が亡くなり、17名がケガを負う大きなモノになりました。
本作では当時、何が起きたのかをリアルに再現をした実写映画となっています。
掘削施設というのは馴染みがなく、中盤まで行われる作業は一般人には分からないです。
しかし、そこから伝わってくる緊張感が上手く表現され、何をしているのは分からなくても臨場感を得られます。
そこでは利益を最優先する雇い主の幹部と、現場の安全を第一に思う施設主任との争いから端を発して事故が起きてしまう。
やはり、どこの世界にも安全策よりも利益を求める余り、最低限の対策すら怠ってしまい、その結果が悲惨なモノとなる。
本作はまさしく、その典型で結局は会社が求めた利益以上に大きな損失と信頼を失います。
更に原油が流出した事で環境破壊となって、会社規模の問題ではなく、アメリカ政府まで巻き込む大きな事故となったのです。
本作では悪役として雇い主の幹部が登場するが、彼らは資本主義の基本を貫いただけです。
こんな事をやっているのは本作に限らず、多くの会社でやっていて、たまたま今回は事故になってしまったと彼らは考えているのでしょう。
映画としての面よりもドキュメンタリーに近く、人間ドラマも最低限になっています。
確かに本作の目玉である爆発炎上のシーンは凄まじいが、中途半端な人間ドラマの象徴である主人公の妻が心配するシーンは余計だったと思う。
せっかくの迫力と緊張感に包まれる爆発炎上のシーンに心配する妻の場面になり、大きくテンポを削いでしまっています。
この部分で言いたい事は分かるけど、物語の流れを切ってしまう構成だと感じました。
本作はドキュメンタリー寄りになったせいで、最低限の人間ドラマすらも邪魔になったと感じざるおえない。
もっとマイクを主人公として彼の視点で描くべきなのに、なぜか主人公は爆発炎上になってしまっているのも微妙な印象でした。
それに最後の操縦士が怖じ気づく展開も冷めてしまい、事実であっても物語の流れとしては非常に悪いと感じました。
ですので、本作を現実寄りの作品にしてしまった弊害が大きくマイナスとなっている。
爆発炎上が主人公となるのならば、もっと映画寄りにしても良かったと思います。
事故の元凶となった二人の幹部も起訴を取り下げられているので、遺族や関係者にとってもう過去の出来事になったのでしょう。