アタック・オブ・ザ・キラートマト RE-459

作品紹介

公開年月  1978/10/08
ジャンル  ホラー/コメディ/パニック
原作  なし
監督  ジョン・デ・ベロ
脚本  ジョン・デ・ベロ、コスタ・ディロン、ほか
製作  ジョン・デ・ベロ、スティーヴ・ピース、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

アメリカのとある町で、一人の主婦が自宅で血まみれの変死体で発見された。
現場検証に来た警部は血まみれと思われた主婦の死体が、実はトマトジュースまみれだった事に気づく。
主婦を殺害したのはアメリカ政府が極秘に開発した巨大トマトが突然変異を起こし、大群となって人々を襲い始めたのだった。
すぐに農務省、軍の関係者や科学者が対策会議を開き、殺人トマトの情報を得る特殊捜査チームが結成され、そのリーダーを豚小屋の番をしていたディクスンが任命されるのだった。

登場人物&出演者

メイスン・ディクスン(演:デヴィッド・ミラー)
主人公。殺人トマトの情報を得る特殊捜査チームのリーダー。実は豚小屋の番をした無名。
デヴィッド・ミラーは9作に出演し、本作が映画二作目となっています。
事の発端が政府の研究だと世間にバレない為、無能である彼が任命されたという経緯。
主人公でありながら、まったく感じさせないオーラのなさはある意味適任でした。

ジム・リチャードソン(演:ジョージ・ウィルソン)
アメリカの報道官。ディクスンとともに殺人トマトについて調査をする。
ジョージ・ウィルソンは本作が映画デビュー作となっています。
本作では真面目な役であり、最後には裏切ってトマトを使って実権を握ろうとするも失敗。

ロワス・フェアチャイルド(演:シャロン・テイラー)
ヒロイン。芸能ゴシップ記事を担当する新人記者。殺人トマトの担当に任命される。
シャロン・テイラーは本作が映画デビュー作となっています。
他の記者が出払っていたので、ヒマを持て余していた彼女を編集長が仕方なく抜擢する。
初めての大仕事という事もあって、かなり気合いが入った取材を試みるも空回り。

フィンレター空軍大尉(演:J・ステファン・ピース)
特殊捜査チームの一人。別の作戦中で合流に遅れる。パラシュートとサーベルを所持。
J・ステファン・ピースは俳優業の他に脚本家、映画プロデューサーとして活躍しています。
常にパラシュートとサーベルを手放さず、何かと早合点をして暴走する傾向がある。
しかし、最後にはヒーローのように民衆を率いて殺人トマトの殲滅を行う。

フジ・ノキタファ博士(演:ポール・オーヤ)
アジア系の科学者。誰もが手を焼く殺人トマトへの対策を思いついた人物。
ポール・オーヤは本作が映画デビュー作となっています。
彼の開発したロボット人間で殺人トマトの駆除を試みるが、予算不足で実現ならず。
とりあえず、登場した時からのヨソヨソしさ、不自然な吹き替えが笑える。

感想

個人的な評価

70年代の後半に登場したカルト映画。
これは後に多くの亜種映画を作り出すきっかけとなった伝説的な作品。
その後、本作から4作ほど作品が製作されるが、どれも一作目を超える事ができなかった。
トマトが人を殺すという設定の時点でぶっ飛んでいるが、内容はそれ以上にぶっ飛んでいる。
隙あらば、何かのギャグを入れてくるが、ツッコミ役が劇中に存在しない為、ボケはそのままずっと流されていく。
だけど、これは逆に観ている側がボケに対してツッコミを入れるという斬新な作品である。
ギャグは全体的にスベっているけど、意外にも演出は工夫しているのが笑える。
ストーリーはあってないようなモノだが、監督は楽しんで作っているだろうと思える。
カルト映画であって、正真正銘のバカ映画でもあるので、かなり楽しめる作品。
やはり、本作は多くある亜種の『アタック・オブ・ザ~』とは一線を画す。
最初から破綻しているけど、演出はマトモであり、様々な笑いの要素を取り入れている事でどんな人でも一箇所は笑うところがある。
とは言っても、実際の殺人トマトは転がっているだけで怖さが伝わってこない。
微妙に何か呟いているし、巨大化しているが、転がっているだけだから笑うしかない。
もちろん、登場人物たちも凝っていて、主要人物以外は真面目にふざけている。
特に主人公がリーダーとなる特殊捜査チームの無能ぶりがなかなかでした。
変装の達人であるサム、東欧から亡命した元五輪選手のグレタ、潜水の名人であるグレッグ、最後に登場する米軍大尉のフィンレターは強烈な個性を発揮しています。
しかし、一番心を惹かれたキャラクターは、対殺人トマト用に開発されたロボット人間のブルースでしょう。
登場した時からの絶妙な笑み、ちょっと前屈みな立ち方と遠くを見る目、これだけで笑う。
本作はセリフのある登場人物よりも、セリフがほとんどない登場人物が面白い。
あとは印象に残るのは胡散臭さが満点のノキタファ博士の一人だけ吹き替えが笑える。
明らかに口元とセリフがあっていないし、演じているポール・オーヤの素人的な演技もよりキャラクターに深みを与えている。
決して高い評価は与えられない作品であるが、後世に残すべきカルト映画だと思います。