作品紹介
公開年月 | 2007/10/27 |
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ジャンル | ドラマ |
原作 | なし |
監督 | スサンネ・ビア |
脚本 | アナス・トマス・イェンセン |
製作 | シセ・グラム・ヨールゲセン |
製作国 | デンマーク |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
インドで孤児院を運営するデンマーク人のヤコブだが、財政難に頭を悩まされていた。
そこにデンマークの実業家ヨルゲンから寄付の話が舞い込み、ヤコブは久しぶりに故郷へと商談の為に帰る。
面談を終えたヤコブは週末に行われるヨルゲンの娘の結婚式に半ば強引に招待される。
結婚式へやって来たヤコブは、20年前に別れた元恋人で現在はヨルゲンの妻であるヘレネと再会をする。
そして、娘のアナのスピーチでヤコブが彼女の実の父親だと分かり戸惑うのであった。
登場人物&出演者
・ヤコブ(演:マッツ・ミケルセン)
主人公。インドで孤児院を運営するが、破産寸前の状態。家族はおらず独り身。
マッツ・ミケルセンはデンマーク出身で『007/カジノ・ロワイヤル』が有名です。
当初はビジネスの為に故郷へ帰ってくるが、そのビジネスの相手の妻が元恋人という事実に驚くが、更に娘の結婚式に招待される。
娘の存在すら知らなかったは事実を聞いてヘレネに詰め寄って感情的になる場面が印象的。
更に娘アナが実際に彼が泊まっているホテルへやって来て、ぎこちない会話もリアルである。
アルバムを持ってきた娘の過去を見ていると、そこで複雑な心境を見せてくれます。
・ヨルゲン(演:ロルフ・ラッセゴート)
ヤコブに寄付をする会社のCEO。実はヤコブの元恋人ヘレネを妻にしている。
ロルフ・ラッセゴートは62作に出演し、テレビ映画『刑事マルティン・ベック』で知られています。
18歳になった娘に真実を語り、それでも彼女を実の娘のように育ててきた立派な男です。
しかし、寄付の相手がまさか妻の元恋人で、しかも娘の実の父親に戸惑います。
当初は平静を装っていたが、やっぱり、心のどこかに苛立ちがあったのだろうと思う。
その苛立ちはヤコブの存在ではなく、それ以上に自分には時間がないという事であった。
この仕掛けによって本作は更に深い内容になっていて、大きな意味を持たせている。
・ヘレネ(演:シセ・バベット・クヌッセン)
ヨルゲンの妻で、20年前にヤコブと別れた恋人でアナを秘かに産んでいた。
シセ・バベット・クヌッセンは42作に出演し、テレビドラマ『コペンハーゲン/首相の決断』が有名です。
ずっと隠していたのはヤコブがダメ人間というが、どう見ても自己中心的な決断に見える。
そのせいでヤコブはもちろん、上手くいっていたヨルゲンとの仲も微妙になっていく。
最初は被害者のような立ち振る舞いをしているが、明らかに彼女の行動が間違っていた。
だが、夫に時間がないと知って取り乱し、彼がやろうとしている事に賛同する。
・アナ(演:スティーネ・フィッシャー・クリステンセン)
ヤコブとヘレネの娘。ヨルゲンの実の娘じゃないと知っていたが、結婚式で真実を知る。
スティーネ・フィッシャー・クリステンセンは
実の娘じゃなくても育ててくれたヨルゲンを尊敬するが、ヤコブの登場で覆ります。
やはり、血の繋がりがあるヤコブに心を寄せるも、育ての親ヨルゲンの真実で気持ちが戻る。
本作では結婚式で有頂天になるも、死んだと聞かされた本当の父が現れ、まさか夫が浮気をして、最後には育ての父が死ぬ。
もの凄いプレッシャーとストレスの中で生活しているので、ずっと泣いているイメージです。
感想
個人的な評価
アカデミー外国語映画賞にノミネートされた作品、監督はデンマーク出身のスザンネ・ビアが務めています。
冒頭ではよくある母親が隠していた過去が明らかになって、家族がバラバラになる物語。
そのまま父親だと判明した主人公に結婚している妻が恋をして過去に戻ると思っていた。
しかし、物語が進むにつれて、寄付をしようとしたヨルゲンという男が本作の主人公と言っても過言ではない。
それほどに多大な犠牲を払っていて、なぜ見ず知らずのヤコブに大きなプロジェクトを任せるか分かってくる。
当初はヤコブの元恋人で彼との間にできた娘の事を話しておらず、明らかなクソ女だと思わせる展開があった。
だけど、その微妙な方向性に行こうとしているのをヨルゲンという人物が食い止めます。
愛する妻、血は繋がっていないが愛する娘が結婚、二人の息子、会社経営も順調で何一つ不自由のない完璧な人生。
そんな彼に襲いかかる病魔には勝てず、自分が築いたすべてを一瞬で奪われようとする。
だからこそ、彼は一番信頼できそうな娘の実の父、妻の元恋人であるヤコブに譲る。
死ぬ準備をしているヨルゲンだが、それでも死にたくないという気持ちが伝わってくる。
娘のアナも結婚で幸せの絶頂から夫の浮気、育ての父の病気を知って、まさにどん底まで突き落とされます。
彼女こそが本作のヒロインであり、パッケージに大きく映したアナの顔こそが物語の象徴。
本作の演出としてパッケージのように役者の顔をアップにして、細かい表情を見せています。
これが非常に効果的であり、劇中の登場人物たちの心情がより伝わってきます。
まさに女性監督という感じの細かい感情的な演出で、本作では登場人物たちの心が伝わる。