7BOX[セブンボックス] RE-2296

作品紹介

公開年月  2012/08/10
ジャンル  サスペンス/アクション
原作  なし
監督  フアン・カルロス・マネグリア、タナ・シェムボリ
脚本  フアン・カルロス・マネグリア
製作  カルロス・ゴンザレス・ブラン、ほか
製作国  パラグアイ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

パラグアイのアスンシオン市場では、テレビに出る事に憧れる少年ビクトクは、通りかかった精肉店の店主から100ドルを渡す代わりに7つの箱を運べと店内に通された。
箱の中身は覗く事を禁じられ、不審に思いながらもビクトクは大金欲しさに仕事を受けた。
指定された場所に箱を運ぶだけの簡単な仕事だと思ったビクトルだが、次々と横取りしようと様々な人間が追いかけてくる。
ビクトルは友人たちの力を借りながらも、なんとか目的を果たそうとするのだった。

登場人物&出演者

ビクトル(演:セルソ・フランコ)
主人公。テレビ番組のセリフを覚えるほど好きで、いずれテレビに出たいという欲望がある。
セルソ・フランコは5作ほどに出演し、本作が映画デビュー作となっています。
市場では荷物運びで日銭を稼いでいたが、そこに姉が録画機能のある携帯電話を見せる。
欲しくなったビクトルは姉からのツテにより、精肉店から7つの箱を運ぶ仕事を受ける事に。
当初は運び屋らしく中身を見なかったが、気になって中身を見て後悔する。
パラグアイでは何が起きてもおかしくないので、これもアリと言えばアリだろう。
でも、開けた方はビックリするだろうし、警察に追われても仕方ない。

リズ(演:ラリ・ゴンザレス)
ヒロイン。最初はビクトルに金をせがむが、箱を運ぶ彼に協力する事になる。
ラリ・ゴンザレスは8作ほどに出演し、本作が映画デビュー作となっています。
箱を運んでいたビクトルにサンドイッチを自慢していたが、どう買えたのか気になる。
ネルソンに追われたビクトルに、機転を利かせて回避する頭の良さを持っていた。
なぜかビクトルから煙たがられるが、気になって彼を助ける信頼できる友人。

ネルソン(演:ビクトル・ソーサ)
箱の運び屋。幼い息子の為に薬を探していたせいで遅れてビクトルに仕事を取られる。
ビクトル・ソーサは2作に出演し、本作が映画デビュー作となっています。
箱の中身が全部で25万ドルだと分かって、それを盗み出そうと考える。
当初は病気の息子に薬を買う為だったが、大金と分かって欲にくらんでしまう。

タマラ(演:ネリー・ダヴァロス)
ビクトルの姉。韓国料理店で働く。ビクトルに録画機能携帯電話を見せる。
ネリー・ダヴァロスは本作が映画デビュー作で、他に映画監督として短編を手がける。
同僚が身重で難産で付き添うが、彼女の恋人を探した場所で殺人事件が起きていた。

セルヴィアン(演:ニコ・ガルシア)
警察官。ケータイショップのアレハンドラをデートに誘いたくて仕方ない。
ニコ・ガルシアは俳優の他に映画監督、脚本家、映画プロデューサーとして活躍する。
ビクトルが持っていた箱を突き止め、ネルソンの暴走を最終的に食い止めた人物。

グス(演:ロベルト・カードーゾ)
精肉店で働く。ビクトルに7つの箱を運ばせる仕事を依頼するが、それこそ失敗の大元。
ロベルト・カードーゾは4作に出演し、映画プロデューサーとしても活躍しています。
実はタマラの身重で同僚の恋人で、何度も悪さをして捕まっている過去を持つ。

ジム(演:ジン・ヒョク・ジョニー・キム)
タマラが働く韓国料理の息子。話しが分からない父親と違って何かとタマラに協力する。
ジン・ヒョク・ジョニー・キムは本作が映画デビュー作となっています。
実はタマラが好きで協力するが、最終的にビクトルの夢を叶える行動をする。

感想

個人的な評価

初めてとなるパラグアイ製作の作品です。
出演者のほとんどが演技経験がなく、共同監督のフアン・カルロス・マネグリアとタナ・シェムボリも初の長編となっている。
当然ながら予算も多くないし、舞台はアスンシオンにある大きな市場となっています。
主人公は運び屋で、アスンシオンで買い物客の荷物を運ぶ仕事をしている。
ただ、ライバルが多く、お互いに仕事を横取りするのが常のようです。
主人公のビクトルはいつかテレビに出たいという夢を持ち、録画機能の携帯電話なら出られると考えた。
その為に稼がないといけないが、そこで彼は姉のツテである荷物を運ぶ事になる。
同じ運び屋に『トランスポーター』があるけど、まるでスケールが違います。
しかし、本作は創意工夫がなされていて、脚本のブラッシュアップが非常に巧みです。
劇中に登場する100ドル札、携帯電話の小道具が伏線となって、後々に大きな役割を担うのも面白いと思います。
とにかく、本作の練り込むは素晴らしく、とても長編映画が初めてとは思えない上手さ。
出演者たちも演技が上手いので、自然と物語の中へと入り込めます。
一見無関係だと思われた人物たちも、実は色々と関係している点も見逃せない。
それに演出も素晴らしく、カメラの意図的な手ブレで緊張感を生み出す撮影方法も、個人的には大嫌いだが、本作の使い方なら納得できるぐらい上手いです。
パラグアイの映画であるが、少ない予算での作り込みは今後も期待させられます。
ビジネスよりも、良い作品を作ろうとする熱意が伝わってくる良作でした。