4×4/殺人四駆 RE-3147

作品紹介

公開年月  2019/04/04
ジャンル  サスペンス
原作  なし
監督  マリアノ・コーン
脚本  マリアノ・コーン、ガストン・ドゥプラット
製作  ガストン・ドゥプラット、アクセル・クシェヴァッキー
製作国  アルゼンチン、スペイン
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

住宅街に止まっていた一台の車に目をつけた車上荒らしのシロは、カーステレオを盗み出が外に出ようとして出られない状況に気付く。
外からは中が見えず、防弾ガラスで傷一つもつかない上に防音で助けの声も届かない。
水も食料もなく何日も閉じ込められたシロは徐々に衰弱し、突然車のオーナーのエンリケから電話がかかると、遠隔操作で彼を苦しむ新たな地獄が始まるのだった。

登場人物&出演者

・シロ・ベルムーデス(演:ピーター・ランサーニ)
主人公。車上荒らし。路上に停車している高級車を狙ってカーステレオを盗んでいく。
ピーター・ランサーニは代表作に『エル・クラン』、『永遠に僕のもの』などがあります。
手慣れたように高級車からカーステレオを盗んでイタズラをするが、外に出られなくなる。
脱出しようとして手にケガし、銃で窓を撃つも跳弾して足に当たって別のケガをする。
エンリケからの通話で最初は強気に出るが、徐々に衰弱して彼の言葉に従うと宣言した。
最後はエンリケがフリオの説得で解放されるが、大きく報じられた事で社会制裁を受ける。

エンリケ・フェッラーリ(演:ダディ・ブリエバ)
路上駐車する高級車のオーナー。産科医。妻と娘を泥棒に殺され、余命も一年もない状態。
ダディ・ブリエバは代表作に『Cantantes en Guerra』、『笑う故郷』などがあります。
人生で28回も盗みに遭っていて、高級車は防弾や防音仕様で、遠隔操作で爆発もさせられる。
シロが盗みに入ってすぐにロックさせると、通話をして身の上話をして彼を閉じ込める。
社会に対する恨みをシロで晴らそうとしたが、フリオの説得から彼を解放してしまう。
最後はフリオたちの前で車に乗り込み、タンクのガソリンを爆発させて自殺を遂げる事に。

フリオ・アマデオ(演:ルイス・ブランドーニ)
地元警察の交渉人。現在は引退しているが、エンリケの暴挙を止める為にかけつけた。
ルイス・ブランドーニは代表作に『Waiting for the Hearse』、『My Masterpiece』などがあります。
子供はおらず、妻や愛猫はすでに亡くなって独り身で、エンリケと同じく失うモノがない。
エンリケの気持ちを理解して同情していたが、自分と同じ人間で決して屈しないと知る。
実は過去に父親が蒸発していて、数年後にホームレスとなった車に轢かれた状態で発見した。
最後は粘り強い説得を重ねてエンリケの私刑を止めるが、車との爆死を止められなかった。

感想

個人的な評価

本作はいわゆるワンシチュエーションスリラーの作品となります。
スペイン語圏のアルゼンチンとスペインによる合作となっています。
主人公は車上荒らしをするクズなので、車に閉じ込められてしまうのは自業自得としか言えないような状況になります。
地獄を味わっていく主人公だが、元々がクズだから何をされても同情はまったくできません。
そこに高級車のオーナーから通話が入った事から、なぜ閉じ込めたのか語られていきます。
これに関しては高級車のオーナーであるエンリケの訴えは、製作国であるアルゼンチンの社会問題を垣間見る事ができる。
特に治安が悪い南米全体で言える事だが、ちょっとした盗みで命を取られる事は日常的になってしまっています。
その為、自分の身は自分で守る事が第一になっていて、警察や自警団はほとんど役に立っていない事が分かってきます。
主人公のシロは妻と子供がいる父親でありながら、泥棒として生計を立てているのはそういう家系だと発覚しますが、これも社会問題の一つだろう。
ラストでエンリケがシロを殺そうと市民たちの前にいるが、彼を批判する人もいれば、彼を応援する人もいます。
このように本作は社会問題を取り上げていて、エンリケの私刑を正当化する方向性になっている点でも市民の考え方が分かってきます。
シロは根っからの悪人なので同情の余地はないが、だからと言って私刑を敢行するエンリケにも同情はできない。
本作は低予算で作られているせいでほとんどの状況がセリフだけだから、彼らを突き動かす信念というのもハッキリ見えてこない。
何よりエンリケが私刑に至る原因がすべてセリフによる説明なので、そこら辺に説得力があまり感じられなかったのは残念です。
もう少し車内の仕掛けを使ってシロを追い詰める方が良かったが、製作側は社会問題を中心に持っていきたかったのだろうと思います。