作品紹介
公開年月 | 1951/04/06 |
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ジャンル | SF/ホラー |
原作 | ジョン・W・キャンベル・Jr 『影が行く』 |
監督 | クリスチャン・ネイビー |
脚本 | チャールズ・レデラー |
製作 | ハワード・ホークス |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
北極に謎の飛行物体が墜落すると、現場に赴いた科学研究所の研究者と軍人たちは氷に埋もれた巨大な円盤を発見する。
一行は氷の中に「物体」を発見して研究所に持ち帰るが、急激に進化すると研究所の飼い犬を殺して逃走した。
やがて「物体」は研究員たちを血祭りに上げていき、逃げ場もない北極で追いつめられた彼らの死闘が始まるのだった。
登場人物&出演者
・ヘンドリー大尉(演:ケネス・トビー)
主人公。アメリカ空軍大尉。キャリントン博士の要請で北極にて調査の協力を依頼される。
ケネス・トビーは代表作に『グレムリン』シリーズ、『インナースペース』などがあります。
北極遠征隊の基地に到着すると、未確認飛行物体が墜落した現場で物体Xを発見し持ち帰る。
物体Xが逃げ出して犬を襲撃する様子を見て、危険だと判断して無線で将軍の命令を仰ぐ。
人命を最優先にすると、物体Xの組織を焼き尽くす電熱の罠を採用して待ち構える。
最後はキャリントン博士の説得が失敗し、電熱の罠で物体Xを撃退しスコッティが報告した。
・ニッキー(演:マーガレット・シェリダン)
ヒロイン。北極で調査するキャリントン博士の助手。以前ヘンドリーと付き合っていた。
マーガレット・シェリダンは代表作に『零号作戦』、『灰とダイヤモンド』などがあります。
今はキャリントン博士の手伝いで忙しく、やって来たヘンドリーの誘いを仕方なく断った。
基地内から物体Xが逃げ出すと、その対処に追われるヘンドリーの為にコーヒーを淹れる。
キャリントン博士が物体Xの培養を秘かにしていた事をヘンドリーに知らせた。
最後は物体Xを見事に撃退すると、ヘンドリーとの結婚をするべきだと彼の部下に言われた。
・キャリントン博士(演:ロバート・コーンスウェイト)
北極を調査している。48マイル先に正体不明の飛行物体が墜落機して調査に向かおうとする。
ロバート・コーンスウェイトは代表作に『宇宙戦争/1953年版』、『何がジェーンに起ったか?』などがあります。
墜落した物体は隕石ではなく、放射能を撒き散らして高速で移動している事を突き止める。
物体Xを発見すると氷の塊として基地に持ち帰り、すぐに調査するも将軍に止められる。
電気毛布により物体Xが逃げ出すと、その生態について調べ、細胞から培養に成功する。
最後は知識を得るべく対話を物体Xに迫るが、一切言葉を聞かずに一撃で殺された。
・スコッティ(演:ダグラス・スペンサー)
新聞記者。アンカレッジの空軍基地に来て、特ダネを手に入れるべく北極へ同行する。
ダグラス・スペンサーは代表作に『摩天楼の影』、『アンネの日記』などがあります。
キャリントン博士が墜落機を未確認飛行物体だと知り、迷わずに一緒に現場へ同行する。
写真を撮って世紀のスクープだと喜ぶ中で、なぜか軍人たち物体Xの掘り出し作業を手伝う。
基地内で物体Xが暴れ出して温室に閉じ込めると、率先して扉を封鎖する役を担った。
最後はヘンドリーたちによる電熱の罠で物体Xが焼け死に、無線で世界に向けて発信した。
・物体X(演:ジェームズ・アーネス)
北極遠征隊がいる基地から離れた場所で未確認の飛行物体が墜落し、脱出していた物体。
ジェームズ・アーネスは代表作に『ミネソタの娘』、『新・赤い河』などがあります。
北極遠征隊の基地に氷の塊として持ち帰ると、電気毛布の保温により外に出てくる。
植物のように細胞が独立していて、銃弾を浴びても倒れる事なく、血で繁殖していく。
血を求めて基地の犬を襲って成長していき、キャリントン博士が対話を求めるが一撃で殺す。
最後はヘンドリーたちを襲うとするが、電熱を使った罠にハマって焼き焦げて死ぬ。
感想
個人的な評価
本作はジョン・W・キャンベル・Jrの『影が行く』を実写映画化した50年代のSF映画を代表する作品です。
1982年にはジョン・カーペンター監督により邦題『遊星からの物体X』としてリメイクされています。
どうしても個人的にジョン・カーペンター監督のリメイク版が圧倒的な印象があって、その元になったオリジナルを観ないといけないと思っていた。
今回はようやく機会が巡ってきたが、作品は1951年公開と70年近くも昔の作品となります。
ジョン・カーペンター監督では物体Xの造形が大きな話題を持ち、子供が観たら確実にトラウマ物の怖さでした。
あとは有名なシーンでの血液検査も強いインパクトを生んでいるなど、オリジナルから相当飛躍した演出がありました。
オリジナルを鑑賞して思ったのは、やはり、50年代では映像の表現に限界がある点だろう。
本来なら物体Xが襲撃するすべてのシーンを撮るべきだが、本作ではちゃんと映っているのは片手で数えるぐらいしかないです。
他は既成事実として襲われた事にして、その現場に登場人物たちがやって来るという感じ。
本作は基本的に会話劇となっていて、主人公の軍人と科学の進歩だという科学者との対立が中核を担っています。
その結果、被害が出てしまうが、結局は物体Xに科学者が殺され、軍人たちの人命を最優先する戦いで勝利するという感じになる。
さすがにジョン・カーペンター監督の作品と比べて地味であるけど、当時の映像表現ならば仕方ないと思います。
それでも襲って来る未知の生物に人命を守る軍人と、知識と対話を試みようとする科学者の対比がきちんと描かれていました。
ただ、思っていたよりも登場人物が多く、犠牲となったのは片手で数える程度なので、全体的な緊張感はあまりなかった。
ジョン・カーペンター監督の作品では確実にやって来る死の描き方が上手く、本作ではかなり物足りない印象を持ちました。
やはり、オリジナルから観るべきだったが、70年前の作品をそう簡単に鑑賞しようと普通は思わないでしょう。
オリジナルから大きく飛躍させたジョン・カーペンター監督の上手さを改めて実感できる作品となりました。