作品紹介
公開年月 | 2014/01/30 |
---|---|
ジャンル | ファンタジー/アドベンチャー/アクション |
原作 | 『大鬧天宮(だいどうてんぐう)』 |
監督 | ソイ・チェン |
脚本 | エドモンド・ウォン、ローラ・フオ、ほか |
製作 | クラレンス・フォード |
製作国 | 中国、香港 |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
天界を率いる玉帝と魔界の王である牛魔王の戦いが繰り広げられ、壮絶な激闘の末に玉帝の勝利に終わる。
破壊された天界は、すべてを作る女神によって修復されたが、その際、欠片の一つが人間界に落ち、それが孫悟空となる。
やがて須菩提祖師に弟子入りした悟空は、類い希な武術の才能を開花させるが、素行が悪く手に負えない存在に。
そんな中、玉帝への怒りが収まらない牛魔王は悟空を天界転覆に利用しようと企むのだった。
登場人物&出演者
・孫悟空(演:ドニー・イェン)
主人公。天界を修復した女媧が放った石の欠片から生まれた猿。純粋な子供の心を持つ。
ドニー・イェンは近年の出演作に『カンフー・ジャングル』、『アイスマン』があります。
故郷である花果山では猿たちの王になって、自由気ままに暮らすカリスマ性のある猿。
その後、観音菩薩の目にとまって、須菩提祖師の弟子になって術や武術を体得する。
善悪を持たない純真な心を持ち、すべては花果山の仲間たちの為に行動する王らしい王。
本来の孫悟空とは違ったスーパーヒーローのような感じになっているのが特徴です。
ドニー・イェンである意味はないが、彼の意気込みは並ならぬモノだったらしい。
・玉帝(演:チョウ・ユンファ)
天界を統べる天帝。過去に牛魔王を倒し、妹の鉄扇公主とともに火焔山に追放する。
チョウ・ユンファは近年の出演作に『ラスト・シャンハイ』、『孔子の教え』があります。
さすがに天を統べる者だけに、他の者とは一線を画す余裕を見せています。
しかし、余裕を見せているワリに悟空の暴走を予想もできず、止められない無能さを披露。
過去に牛魔王を倒すも、平和に甘んじているせいで簡単に倒される無能にしか見えなかった。
・牛魔王(演:アーロン・クォック)
悪役。どうしても天界が許せない。一族の念願という理由だけで天界をずっと憎む。
アーロン・クォックは代表作に『風雲/ストームライダーズ』、『SPY_Y』などがあります。
一族の念願に従うだけの主体性がない悪役で、中身がないせいで説得力に欠ける。
自分の地位を捨ててまで助命した鉄扇公主の制止を振り切って天界に侵略を企てる。
基本的に自分の意見がないし、悟空の力がないと何もできない小物感がスゴイ。
最後は天界で派手な戦闘をするが、当然のように負けて、ただの牛になるがお似合いだった。
・鉄扇公主(演:ジョー・チェン)
牛魔王の妻。玉帝の妹。牛魔王とは恋仲で負けた彼の助命を求めて天界から追放される。
ジョー・チェンは代表作に『北京時間』、『いつかまた』などがあります。
夫の牛魔王は命を救われたのに、まだ天界への侵略を計画している事をまったく知らない。
ようやく気づいても止める素振りだけで、身を挺するような事をしなかった。
本当に牛魔王を愛しているのか、まったく伝わってこないのが痛い。
ただの牛に姿を変えられた牛魔王に寄り添うも、そこには感情がないから尚更微妙です。
・二郎神楊戩(演:ピーター・ホー)
天界の門番。自称・守護者。最も分かりやすい裏切り者で野心家の人物。
ピーター・ホーは代表作に『着信アリ2』、『ソフィーの復讐』などがあります。
孫悟空を天界に招き入れる天帝に意見を挟み、かなり不満を持っている。
自分が天帝になりたいという野心を持つが、どう見てもその器じゃないと分かる。
・須菩提祖師(演:ハイ・イーティエン)
仙人。起死回生の術で死んだ者を蘇らせる事ができる。悟空の師匠となる。
ハイ・イーティエンは8作に出演し、続編『西遊記/孫悟空vs白骨婦人』にも出演しています。
何かと孫悟空の面倒を見る役割であるが、かなり隙があって暴走を制止できない。
最後の方では天界に乗り込んだ牛魔王に突っ込むが、簡単に倒される無能に。
・狐精ユーシュ(演:シア・ジートン)
真っ白な狐の精。悟空が石の中で生まれた時に一度会った事がある。
シア・ジートンは6作に出演し、本作が長編映画デビュー作となっています。
牛魔王に拾われると、彼を養父として悟空に愛を与えて暴走のきっかけとなる。
・観音菩薩(演:ケリー・チャン)
女媧の神聖な石の欠片から生まれた孫悟空に正しい道を教える為に須菩提祖師を導く。
ケリー・チャンは代表作に『インファナル・アフェア』シリーズ、『冷静と情熱のあいだ』などがあります。
悟空が牛魔王に押されてピンチの時に現れ、助言を与える原作のような見せ場がある。
感想
個人的な評価
中国では大ヒットした作品で当時の初日興行記録を大きく上回っています。
西遊記に登場する孫悟空が主人公だが、同じ西遊記をテーマにしたチャウ・シンチーの『西遊記/はじまりのはじまり』の方が日本で知られています。
前述の通り、孫悟空が三蔵法師と出会う前の物語が本作となっています。
元来の孫悟空は手のつけられないチンピラで、それを見た釈迦如来が彼を五行山に封印した。
これが本来の孫悟空であるが、本作ではなぜか子供のような純粋なキャラクターである。
善悪を最初から区別せず、自由気ままに本能のままに生きているので、本来のチンピラ気質はなくなっています。
だから三蔵法師と出会った当初の孫悟空が改心するという流れが作れないように思える。
本作は孫悟空をスーパーヒーローのように脚色しているのが大きな特徴です。
演じているドニー・イェン自身もそのようなコメントを出していて、完全に成りきっている印象を持ちました。
特殊メイクに6時間、それを落とすのに4時間と体への負担は相当なモノだったという。
そのせいで本作が大ヒットして続編があっても、絶対に出演しないと宣言しています。
ドニー・イェンが孫悟空を演じているが、素顔は一切出ないので、言われないと分からないぐらい別人になっています。
この役を引き受けたのは大ヒットした『イップ・マン』シリーズからのイメージを払拭させる意味でもあるらしい。
だから特殊メイクであっても構わないと言っているが、やはり、長時間の拘束は相当堪えたのだろうと思われる。
ドニー・イェンの意気込みはいいのですが、ハッキリ言って、作品としては微妙な内容です。
まず、豊富な予算を使ったゼイタクなCGですが、あまりにも稚拙な出来が作品の質を大きく落とし込んでいます。
チープすぎるCGのせいで緊張感がなく、これが大々的に見せ場としているせいで作品自体をつまらなくしてしまっている。
本作の目玉であるCGが手抜きすぎて中国本土以外は大してヒットしないレベルだと思う。
頼みのドニー・イェンにも必然性がなく、キレイな目をしたチョウ・ユンファも天帝なのに孫悟空の暴走を止められないという無能さを披露する。
すべての黒幕となる牛魔王も目的があまりにも大雑把すぎて説得力に欠けるなど、細かい部分の設定が雑すぎる。
クライマックスのCGバトルもチープさもあって迫力が伝わらず、ある意味、本作を象徴したシーンになってしまった。
日本ではチャウ・シンチーの『西遊記/はじまりのはじまり』は話題になるが、本作が話題にならないのは当然と言えるようなショボイ内容でした。