西遊記/孫悟空 vs 白骨夫人 RE-2371

作品紹介

公開年月  2016/08/06
ジャンル  ファンタジー/アドベンチャー/アクション
原作  『西遊記』(モチーフ)
監督  ソイ・チェン
脚本  ラン・ピン、マン・エルヴィス、ほか
製作  アガン、ホイファン・ウォン
製作国  中国、香港あ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

孫悟空が五行山に閉じ込められて500年。
経典を得る為に天竺へ向かう三蔵法師の危機を救うべく封印を解かれた孫悟空は、猪八戒や沙悟浄とともに音もする事に。
永遠の命を得る為に三蔵法師を食べようとする妖怪・白骨夫人は孫悟空を遠ざける策略を仕掛けて成功する。
三蔵法師は白骨夫人に捕らえられ、一方の孫悟空は観音菩薩によって自らの宿命を思い出すのだった。

登場人物&出演者

孫悟空(演:アーロン・クォック)
主人公。500年に渡って五行山に封印され、三蔵法師を守るという使命で再び地上へ出る。
アーロン・クォックは近年の出演作に『道士下山』、『浮城』などがあります。
自由になって勝手に動き回ろうとするが、観音菩薩によって強制的に旅へと参加する。
超人的な身体能力、如意棒、燃える赤い目など、様々な能力を駆使して三蔵法師を守る。
傲慢な態度で封印されたおかげで、実直に三蔵法師を守るが、それは裏目に出る。
真面目に自分の役目を果たそうとするが、無能な上司である三蔵法師が彼を見限るという。
それでも無能な上司に従う孫悟空は、部下の鑑と言ってもいいほどいいヤツでした。

三蔵法師(演:ウィリアム・ウォン)
観音菩薩の命によって天竺にて経典を手に入れようと旅をしている高貴な僧侶。
ウィリアム・ウォンは代表作に『項羽と劉邦』、『ドラゴン・ブレイド』などがあります。
心優しき僧侶として、困っている人を見過ごす事ができず何かと助けようとする。
ムダな殺生や暴力に反対だが、なぜか悟空の行動を信じない一番のマヌケに見えた。
最後は仏のような自己犠牲をするが、なぜ悟空たちが彼を慕うのか分からない。

白骨夫人(演:コン・リー)
悪役。あらゆる生物から生命力を奪う。転生する際に三蔵法師を食らえば永遠の命を得る。
コン・リーは代表作に『さらば、わが愛/覇王別姫』、『SAYURI』などがあります。
当初は三蔵法師たちを罠にハメようとするが、孫悟空の活躍によって阻止されてしまう。
転生する前は村人から捨てられた老婆で悲惨な人生を歩んでいたという。
どこまでもお人好しな三蔵法師のおかげで長い苦しみからようやく解放される。
本作ではコン・リーの冷たくも美しいイメージを上手く活用しているキャラクターでした。

猪八戒(演:シャオ・シェンヤン)
豚の妖怪。食い気と女に目がない。常に容姿へのこだわりを持っている。
シャオ・シェンヤンは代表作に『女と銃と荒野の麺屋』、『グランド・マスター』がある。
美しい女性にはすぐ求婚し、戦闘ではほぼ役に立たないが巨大な猪に変身する。

沙悟浄(演:ヒム・ロー)
砂の化身。主に三蔵法師の護衛を務める。ただ、抜けているところがあって失敗する。
ヒム・ローは14作に出演し、代表作に『ビーチ・スパイク!』などがあります。
主体性がなくて誰かの意見に従うだけだが、義理と人情を持つ実直な人物。

観音菩薩(演:ケリー・チャン)
五行山に孫悟空を封印した。すべてを見通す神のような存在である。
ケリー・チャンは女優の他に歌手としても数多くの楽曲を発表しています。
すべてを悟っている立ち位置なので、あくまでアドバイスするだけの活躍でした。

感想

個人的な評価

前作ではキラキラのCGを惜しげもなく使ったファンタジー映画だった。
ただ、前作は典型的なCGによる弊害を食らった作品だと言える。
あまりにも現実離れした作られた世界で現実味がなく、アニメのような印象を受けた。
中国では大人気の『西遊記』を原作にしているが、CGのせいで別物に見えてしまった。
それでも大ヒットしていて、それを受けて続編が製作されたと思われる。
前作で孫悟空を演じたドニー・イェンは降板しているが、どうやら特殊メイクが相当苦痛だったらしく続編製作前から出演しない宣言をしていた。
そこで白羽の矢が立ったのは、なぜか前作で悪役を担ったアーロン・クォックです。
悪役から主人公へと続編に出演するという珍しいパターンとなりました。
そもそも前作でドニー・イェンが孫悟空をやっているのが分からないぐらい特殊メイクで素顔が完全に隠れていました。
本作でのアーロン・クォックは前作ほどのドニー・イェンじゃないが、あの端正な顔はかなり隠れてしまっている。
しかしながら、きちんとドニー・イェンの意志を引き継いでいて、ちゃんと猿を模した演技をずっとやっていました。
悪役となる白骨夫人にはコン・リーが演じているが、イメージにピッタリの配役だと言える。
美しくも冷たく、その実は過去に悲惨な日々を背負っていた絵に描いたような設定。
コン・リーは生粋の悪役ではなく、悲しみを背負った悪役として演じきっていました。
そのおかげでクライマックスでみせた人間としての白骨夫人は一番美しかった。
オマケの猪八戒と沙悟浄は活躍しているようでしておらず、あくまで添え物程度でした。
全体的にファンタジックな西遊記は前作よりも、派手なCGと調和が取れていました。
ハリウッドにも負けないCGを駆使した映像は迫力があったと思います。
ただ、ストーリーはあまり良いとは言えず、特に三蔵法師が物分かりの悪い無能な上司にしか見えなかったのは痛い。