Mr.ホームズ/名探偵最後の事件 RE-2346

作品紹介

公開年月  2015/06/19
ジャンル  ミステリー/ドラマ
原作  ミッチ・カリン 『ミスター・ホームズ/名探偵最後の事件』
監督  ビル・コンドン
脚本  ジェフリー・ハッチャー
製作  アン・キャリー、イアン・キャニング、ほか
製作国  イギリス、アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

海辺の家でミツバチの世話をして穏やかな隠居生活を送る93歳のシャーロック・ホームズ。
しかし、彼には一つの心残りがあり、それは30年前、記録係のワストンが去った直後に起きた出来事。
ある男の依頼を受け、彼の妻の素行調査を開始したホームズは、そこで人生最大の失態を犯して引退に追い込まれるのだった。
やがてホームズは、この唯一の未解決事件の謎を解くべく、探偵に憧れる家政婦の10歳の息子ロジャーを助手に再び捜査に乗り出すのだった。

登場人物&出演者

シャーロック・ホームズ(演:イアン・マッケラン)
主人公。93歳。探偵から引退してサセックスの片田舎で隠居生活を送っている。
イアン・マッケランは近年の出演作に『ホビット/決戦のゆくえ』、『X-MEN:フューチャー&パスト』があります。
老齢によってすでに痴呆が進行して、記憶が曖昧になっているような状態。
ボケる前に手記を書こうとするが、記憶が薄れてしまっていた思い出せない葛藤に苦しむ。
名優イアン・マッケランだからこそ、本当にそのような感じ見えてしまう。
ただ、演技が上手すぎるが故にシャーロック・ホームズの耄碌した姿は色々と残念だった。

ロジャー・マンロー(演:マイロ・パーカー)
マンロー夫人の息子。10歳。鋭い洞察力を持ち、ホームズを何かと刺激する存在。
マイロ・パーカーは代表作に『スティールワールド』、『ゴーストハンターズ/オバケのヒューゴと氷の魔人』があります。
ボケ老人になっていくホームズに憧れ、何かと話しかけてくる。
それによって93歳と10歳の間に確かな友情が芽生えていくのです。
不仲だった母親とホームズだったが、文字通り体を張って和解させます。

マンロー夫人(演:ローラ・リニー)
ホームズが雇う住み着きの家政婦。文字がちゃんと読めまい。ホームズとは不仲。
ローラ・リニーは代表作に『トゥルーマン・ショー』、『イカとクジラ』などがあります。
何かとロジャーに影響を与えるホームズをどこか嫌っているような感じである。
ロジャーは昏睡状態になった時、それまで溜まっていた不満を爆発させる。
でも、最後にはホームズの遺言を聞いて改心し、仲良く三人で暮らす事になる。

梅崎タミキ(演:真田広之)
ホームズのファン。実は父親がホームズの言葉に従って母親と彼自身が捨てられる事に。
真田広之は近年の出演作に『レイルウェイ/運命の旅路』、『47RONIN』などがあります。
ホームズに一度だけ会った父親が一度も帰国せず、自分たちを捨てた事に憤りを持つ。
クライマックスでは登場しないが、ホームズからしっかりと間違えだと判断を下す。

感想

個人的な評価

シャーロック・ホームズが主人公の映画はこれまで数多く製作されてきた。
近年では映画版だとロバート・ダウニー・Jr、ドラマ版だとベネディクト・カンバーバッチがそれぞれ演じています。
どちらも全盛期のホームズを演じているのは大きな特徴だと言えます。
しかし、本作はすでに探偵として現役を退き、片田舎で隠居生活を送っている。
それに加え、ホームズは老齢による痴呆が進行し、記憶が曖昧になっているような状態。
シャーロック・ホームズを演じているイアン・マッケランは77歳だが、本作では93歳の高齢を演じています。
本当に93歳のような感じに見えるほど、ヨボヨボで足元も覚束ない感じが出ていました。
本作は基本的に過去を振り返る回想録のような内容で、現在のホームズは片田舎に暮らす引退したジイさんという感じである。
そんなホームズの生き甲斐は養蜂と、一緒に暮らす家政婦の息子ロジャーとの会話だけ。
ワトソンによって作られた名探偵のイメージとは違うという事を強く主張しています。
それでも、時折ホームズが見せる鋭い洞察力は健在であり、名探偵だったという片鱗を見せてくれています。
何よりクライマックスでロジャーが蜂に刺され、昏睡状態になっている原因を導く推理はまるでそれを見ていたかのような感じだった。
これを納得させるイアン・マッケランの演技力は凄まじく、耄碌しているはずなのに鋭い眼光はまだ現役でした。
そして、ホームズとロジャーの友情を結んでいる中で、家政婦であるマンロー夫人との関係も興味深いです。
家政婦として一緒に住んでいるが、もはや、ホームズは介護が必要なほど痴呆が進んでいる。
それに対してマンロー夫人は不満をもらしていて、決定的になるロジャーの昏睡状態でガマンしていた感情を爆発させる。
だが、すべてを解いたホームズはそれ以上の悲しみを見せ、反目していたマンロー夫人と見事に和解する。
全体的に地味な作品であり、推理映画独特のドキドキとハラハラがないので、退屈に感じてしまうのだろう。
ただ、本作でのイアン・マッケランは素晴らしい演技をし、相棒となるロジャーを演じるマイロ・パーカーも悪くない。
ですが、タイトル詐欺により上げてしまったハードルに内容がついていかず、残念ながら退屈に感じてしまった。