300〈スリーハンドレッド〉/帝国の進撃 MY-243

作品紹介

公開年月  2014/03/07
ジャンル  歴史劇/アクション
原作  フランク・ミラー 『Xerxes』
監督  ノーム・ムーロ
脚本  ザック・スナイダー、カート・ジョンスタッド
製作  ジャンニ・ヌナリ、マーク・キャントン、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  購入ブルーレイ

あらすじ

ペルシア帝国100万の大軍に、わずか300人の戦士を率いて立ち向かい散ったスパルタ王レオニダス。
スパルタ人の意志はギリシアの男たちに引き継がれ、そして今、大艦隊でエーゲ海を席巻するペルシア軍の前にアテナイの勇者テミストクレス将軍が率いる連合軍。
圧倒的な戦力差を勇猛な闘志と知略で跳ね返すが、大艦隊を率いる残忍な女戦士アルテミシアが立ちはだかるのだった。

登場人物&出演者

テミストクレス(演:サリバン・ステイプルトン)
主人公。アテナイ人。マラトンの戦いでダレイオス王を討ち、ギリシア連合軍を率いる将軍。
サリバン・ステイプルトンは代表作に『ディセンバー・ボーイズ』、『アニマル・キングダム』などがあります。
再び攻めてくるペルシア軍にギリシア人たちの意見が分かれる中、戦うべきだと主張する。
スパルタにも連合軍とともに戦おうようゴルゴ王妃に要請するほどの力を持っている。
敵の指揮官アルテミシアと肉体関係を結びながら交渉するなど、戦士の誇りはないのは微妙。

ゴルゴ王妃(演:レナ・ヘディ)
スパルタ王レオニダスの妃。スパルタ王が留守の間、やって来たテミストクレスと会談する。
レナ・ヘディは近年の出演作に『シャドウハンター』、『パージ』などがあります。
ギリシア連合軍の参加を要請するテミストクレスを拒否し、あくまでスパルタの存続が第一。
レオニダス王がテルモピュライの戦いで倒れ、スパルタの海軍を率いてペルシャ軍を攻撃。

アエスキロス(演:ハンス・マシソン)
アテナイ人。小さい頃からテミストクレスと育ち、戦いに明け暮れた戦友で親友である。
ハンス・マシソンは代表作に『シャーロック・ホームズ』、『タイタンの戦い』があります。
マラトンの戦いでもテミストクレスに従い、第二次ペルシャ軍でも付き従っている。
ただし、キャラクターとして非常に弱く、別にいなくても良かった感じです。

スキリアス(演:カラン・マルヴェイ)
アテナイ人。当初はアルテミシアの船にスパイとして状況を探っていた。
カラン・マルヴェイは代表作に『プレデター・ソルジャー』、『ゼロ・ダーク・サーティ』などがあります。
大規模な海戦では息子のカリストとともに再び攻めてきたペルシア軍の艦隊を撃破する。
テミストクレスとアルテミシアの交渉が決裂し、次の戦いで簡単に矢で倒れるという。

カリスト(演:ジャック・オコンネル)
戦士として経験が浅く年も若いが、スキリアスの推薦で作戦会議に加わっている。
ジャック・オコンネルは代表作に『バイオレンス・レイク』、『狼たちの処刑台』などがあります。
再度攻撃を仕掛けてきたペルシア軍に、テミストクレスの許可で海戦に参加して戦い抜く。

ペルシャの使者(演:ピーター・メンサー)
クセルクセス王の命により、ペルシャの使者としてスパルタに降伏の交渉するも殺される。
ピーター・メンサーは近年の出演作に『ジェイソンX/13日の金曜日』、『アバター』などがあります。
道に捨てられたアルテミシアを拾い、彼女を最強の戦士に育て上げた人物。

アルテミシア(演:エヴァ・グリーン)
悪役。ギリシア人。ダレイオス王の右腕。残忍で非情極まりない性格で同胞にも容赦ない。
エヴァ・グリーンは近年の出演作に『ダーク・シャドウ』、『パーフェクト・センス』などがあります。
ペルシア軍の頂点にいるのはクセルクセスだが、実は影から思い通りに帝国を動かしている。
ギリシアへの侵攻にテミストクレスの戦略で敗戦するも、部下を処刑して恐怖で支配する。
ただし、テミストクレスとの交渉が決裂したところから女になってしまったのは残念。
所詮は女という感じに落としてしまい、それまでの築いたイメージが崩壊してしまった。

クセルクセス(演:ロドリゴ・サントロ)
ペルシアの王。ダレイオス王がテミストクレスに殺された事でギリシアに怒りを持つ。
ロドリゴ・サントロは近年の出演作に『ラストスタンド』、『私が愛したヘミングウェイ』などがあります。
父親を亡くし、右腕であるアルテミシアの言葉に従って神に選ばれた王と勘違いする。
私情丸出しのアルテミシアを止めるが、言いくるめられ黙って自軍が崩壊するのを見る。

感想

個人的な評価

フランク・ミラーのグラフィック・ノベルを実写映画化した作品の続編。
『300<スリーハンドレッド>』は圧倒的な映像美、登場人物の鍛えられた肉体、サムライに通じる栄誉の死で大ヒットしました。
あの衝撃的な映像に驚き、レオニダス王やスパルタ兵の強い意志、迫り来る大軍相手に一歩も怯まないストーリーは凄まじかったのです。
まさの続編と誰も思った事だろうが、時系列としては前作と同時進行で行われています。
スパルタ人は直接手を組んでいたワケじゃないけど、実質的にギリシアの為に戦ったのです。
その裏にあった海戦でテミストクレスが率いるアテナイ人と艦隊の物語となります。
まず、前作は圧倒的にレオニダス王という大きな存在がいて、そこにスパルタ人としての誇りが存在していました。
しかも、少数精鋭で大軍を迎え撃ち、最後は栄誉の死を遂げるのは武士と同じで、日本人でも共感できる部分が多かったです。
だが、本作の主人公であるテミストクレスは知略に長ける人物だが、それの片鱗はまだ感じないし、何よりアテナイ人の連合軍に魅力がない。
確かにギリシアの為に戦っているが、スパルタ人の持つ誇りとはちょっとばかり違います。
あくまでテミストクレスは勝利を手にする為に戦うが、スパルタ人は誇りの為に戦う。
このちょっとした違いは大きく物語の魅力を左右してしまい、残念ながら本作の戦いに共感を呼び込むには弱すぎた。
何よりテミストクレスはレオニダス王に比べ魅力にかけ、あまつさえも敵の司令官と寝るという暴挙に出てしまう。
スパルタ人なら絶対にそのような事はしないし、百歩譲って何かの策だったらいいが、そんなモノはなかったというオチ。
結果的に圧倒的な戦力を持っていたはずのペルシャ軍だが、アルテミシアの私怨で崩壊させてしまったのは逆に残念としか言えない。
これがテミストクレスの仕掛けた壮大な策略ならば、少しだけ挽回するチャンスがあっただけに活かせないのは残念だった。
映像については続編なので必然的に二番煎じになるが、前作と比べて美しさがないです。
スローモーションによる演出は前作と同じだが、スパルタ人の誇りを乗せた美しさとは違って、泥臭い上に心に響くモノがない。
主人公のテミストクレスに求心力を感じないので、どうしてもギリシアに共感ができないのが本作で一番の痛い部分だと言えます。
逆にアルテミシアがギリシアに対する恨みの方が説得力があるけど、女になってしまったのは前作を考えれば美卿だとしか言えません。
やはり、前作で完結している物語に強引すぎる続編という位置づけは良くないと感じた。