マザー! RE-2716

作品紹介

公開年月  2017/09/15
ジャンル  ファンタジー/ホラー
原作  なし
監督  ダーレン・アロノフスキー
脚本  ダーレン・アロノフスキー
製作  ダーレン・アロノフスキー、アリ・ハンデル、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

ある郊外の一軒家に妊婦の妻と夫が住んでいて、ある夜、不審な訪問者が現れる。
夫はその訪問者を拒む事ができず招き入れてしまい、これがきっかけで見知らぬ訪問者が次々と現れてトラブルを起こす。
そんな状況で夫も豹変し始めると、妻は彼と訪問者たちに不信感と恐怖を募らせるのだった。

登場人物&出演者

母親(演:ジェニファー・ローレンス)
主人公。夫が焼失した家を懸命に修復している。純粋で一途に夫の事を心から愛している。
ジェニファー・ローレンスは近年の出演作に『レッド・スパロー』、『パッセンジャー』などがあります。
静かな日々に突然訪れた男性の訪問者によって、平穏だった日常が徐々に崩壊していく。
それでも純粋な性格を持っているせいで、ハッキリと断れず、そのまま流されていく事に。
自分が夫の為に築き上げた世界が他人にぶち壊され、ついに彼への信頼も失ってしまう。
最後はすべてを無に帰すが、この世に未練がないとして夫に自分の心臓を捧げて再生する。

(演:ハビエル・バルデム)
母親の夫。詩人。前妻と家を焼失して以来、作品を書けないスランプ状態に陥っている。
ハビエル・バルデムは近年の出演作に『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』、『ラスト・フェイス』などがあります。
妻と平穏な日々を送っている時、突然の訪問者を快く受け入れると、彼を家に泊める。
そこから訪問者の妻や子供たちがやって来ても止めず、逆に彼らの為に何かしようとする。
結局、妻よりも訪問者たちを大事にしてしまい、大きく傷ついた彼女を放置してしまう。
最後はすべてを無に帰した妻を看取り、彼女からの捧げ物である心臓で家と妻を再生した。

男性(演:エド・ハリス)
突然夜訪れた男性。近くの病院で整形外科医をしているが、最近は研究ばかりだという。
エド・ハリスは近年の出演作に『ジオストーム』、『ハリウッド・スキャンダル』がある。
彼の計らいで家に泊める事となったが、実は死期が近くて有名な詩人に会うべく来た。
泊まるところがなく、彼の言葉に甘えていると、妻が来て今度は息子たちもやって来る。
結局、息子たちが遺言で争っていると、長男が次男を殺してしまい後悔の念が募る。
最後は彼のおかげで親戚や知り合いを呼んで家で告別式をやるが、母親に追い出された。

女性(演:ミシェル・ファイファー)
突然訪問した男性の妻。当たり前のようにやって来ると、母親に高圧的な態度で接する。
ミシェル・ファイファーは近年の出演作に『オリエント急行殺人事件』、『嘘の天才/史上最大の金融詐欺』などがあります。
母親と彼女の夫に子供がいない事を察知し、執拗に子供の素晴らしさを説いていた。
彼と男性が散歩に出ると、母親と二人っきりになり、子供を授かる方法を高圧的に教える。
息子たちの争いで次男が死ぬと、悔やみの言葉をかけた母親に対して冷たい態度を取る。
最後は子供のいない母親に気持ちが分からないとあしらい、結局は家を追い出された。

長男(演:ドーナル・グリーソン)
突然訪れた男性の息子。遺言を残していた男性に対して、内容が不服として訴えに来た。
ドーナル・グリーソンは近年の出演作に『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、『バリー・シール/アメリカをはめた男』などがあります。
登場した時からずっと興奮状態であり、彼になんとか宥められるも次男とケンカを始める。
兄弟ゲンカしていると落ちていたドアノブに次男を倒し、そのせいで殺してしまう事に。
最後は彼に責められるが、その場から逃げ出し、再び現れると遺言状を取って行方不明に。

次男(演:ブライアン・グリーソン)
突然訪れた男性の息子。男性の死期が近く遺言状を受け取るが、兄が不服として報告する。
ブライアン・グリーソンは代表作に『スノーホワイト』、『アサシンクリード』があります。
母親に自分の両親がどこにいるか尋ねるが、一方で母親をイヤらしい目で見ていた。
興奮状態だった兄がやって来ると、その態度が気に食わずに兄弟ゲンカに発展してしまう。
最後は争っているうちに落ちていたドアノブが頭に刺さり、そのまま亡くなってしまう。

・使者(演:クリステン・ウィグ)
彼の詩を出版している編集者。長きに渡るスランプから脱した彼の為に家を訪れた。
クリステン・ウィグは近年の出演作に『怪盗グルーのミニオン大脱走』、『ゴーストバスターズ/2016年版』などがあります。
スランプ状態から抜け出した彼を奮い立たせた母親を「創造の女神」と揶揄していた。
最後は超展開によって家で戦争が起きると、母親を殺そうとするが横からの爆弾で爆死した。

熱狂者(演:スティーヴン・マクハティ)
彼が詩人として復活して作品を発表し、それを祝う為に家へやって来て教祖になる男。
スティーヴン・マクハディは代表作に『警察署長ジェッシィ・ストーン』シリーズがある。
母親と会って不快感を示されると、逆に同じぐらいの不快感を示してその場から姿を消す。
次に登場する時は、家が戦場と化している中、詩人を神として讃え信者を集めていた。
最後は生まれた赤ん坊をバラバラにして、みんなに分け与え、母親に刺されるも平然とする。

感想

個人的な評価

本作は「第74回ヴェネツィア国際映画祭」のコンペティション部門と「第42回トロント国際映画祭」のスペシャル・プレゼンテーションで上映されました。
どうやら本作は日本でも公開を予定していたが、とある事情から中止となった作品である。
アメリカ本土ではダーレン・アロノフスキー監督の作品としては、大規模な公開となったけど、結果は大惨敗となりました。
それに加え、多くの人が酷評しており、製作会社であるパラマウント社も頭を抱えました。
ハッキリ言って、本作は素直に楽しめるような作品ではなく、ある程度の知識を必要とするような内容となっています。
まず、多くの日本人には理解できない内容であり、逆にメタファーにしている題材を熟知している人なら批判が生まれるかもしれません。
本作は「聖書」を題材にした作品でありながら、そこはストレートではなく、現実とリンクするような形で描かれています。
一見して普通の生活を送る夫婦であるが、突然の訪問者から一気に世界観が変わっていく。
そこから「?」という展開が次々と起きているが、すべては主人公である母親に問題の後始末が集約されていきます。
つまり、母親とは「地球」の事を示していて、詩人である彼は「創造神」という事になる。
更に訪問した男性は「アダム」で、その妻が「イヴ」で、長男が「カイン」で次男が「アベル」となります。
そして、ラストの方に登場する赤ん坊が「イエス・キリスト」であり、それを心待ちにしていた者たちが「神を信奉する人々」という構図になる。
完全に「聖書」の物語をなぞっている作品だが、大胆なメタファーを使っているのが本作最大の特徴と言えるだろう。
なので、宗教に興味が薄い日本人にとって馴染みが薄く、何より「聖書」の物語を知っている人もそんなにいるワケじゃない。
だからこそ、日本での劇場公開を中止したのだろうし、それに赤ん坊がバラバラに切り刻まれるというシーンもあったからだろうと思われる。
個人的には「なるほど」という感想を持ったが、残念ながら、それ以上でもそれ以下でもないのが正直な印象でした。
現実からファンタジーに移行する流れは強引すぎるけど、どうしても「彼」が訪問者を赦している理由の説明がないのが納得できなかった。
これだけ壮大なメタファーをやっているのだから、個人的には「彼」が人々に分け与える強烈な理由が欲しかったのです。
しかし、本作はあくまで「聖書」がモチーフなので、ダーレン・アロノフスキー監督はそこまで踏み込めなかったのかもしれない。
でも、だからこそダーレン・アロノフスキー監督にはもう一歩踏み込んで、もっと強烈な世界を展開させて欲しかったです。
それでも、本作は充分にインパクトのある作品となっているが、個人的には物足りない部分が多くありました。