武士の献立　RE-2560

作品情報

あらすじ

加賀藩の料理方である舟木伝内が息子の嫁にと連れてきたのは、確かな料理の腕を持ちながら、気の強さから一年で離縁された春だった。
伝内に懇願されて二度目の結婚を決意した春だが、跡取りで夫となる安信は無気力で料理が大の苦手。
年上の春は必死になって夫の安信に料理を教える事になるが、その裏では加賀藩で改革派が動きを見せるのだった。

登場人物&出演者

・舟木春（演：上戸彩）
主人公。江戸浅草の料亭の娘だったが、火事で両親と家を失い、一度離縁するも包丁侍の舟木家に嫁ぐ。
上戸彩はテレビドラマ、映画、ＣＭ、それに歌手としても現在でも活躍しています。
年上女房で料理に対して敬意を持っていて、ヘタレな安信に
夫からは「古狸」と呼ばれても、文句を言わず、従う姿はまさしく古くからの日本妻の姿。
その一方で、親代わりとなった加賀藩の側室だったお方との関係も親子のようでした。

・舟木安信（演：高良健吾）
舟木家の次男。本来は剣術の使い手であり、本職である包丁侍をバカにしている。
高良健吾は数多くの映画に出演し、近年の出演作には『シン・ゴジラ』、『ふきげんな過去』、『蜜のあられ』などがあります。
元々は次男で舟木家の役職を継ぐはずじゃなかったが、長男が休急死して後を継ぐ事になって不満を持っている。
包丁侍をバカにしていたが、それを許せない春に諭され、料理を教え込まれる事になる。
最初はクソ野郎だったが、春の影響を受けて、本作で一番成長する人物になります。

・舟木伝内（演：西田敏行）
舟木家当主。当代きっての料理人であり、包丁侍としての誇りを持っている。
西田敏行は数多くの映画に出演し、近年の出演作には『人生の約束』、『ギャラクシー街道』、『ラブ＆ピース』などがあります。
地に落ちた加賀藩の威信を刀ではなく、料理で取り戻すとする包丁侍らしい立ち回りでした。

・舟木満（演：余貴美子）
舟木伝内の妻で安信の母。長男を亡くして次男の安信に多大な期待を寄せている。
余貴美子は様々なテレビドラマや映画に出演し、近年の出演作には『続・深夜食堂』、『後妻業の女』があります。
第一に舟木家の将来を考えており、暴挙に出ようとした安信を咎める姿が印象的だった。

・今井佐代（演：成海璃子）
剣術道場「養心館」の跡取り娘で舟木家の次男だった安信との結婚を望んでいた。
成海璃子はテレビドラマ、映画などで活躍し、近年の出演作には『古都』、『無伴奏』があります。
まさに武家の娘として安信が惚れるのは分かるが、それ以上の魅力は今一つなかった。

・今井定之進（演：柄本佑）
剣術道場「養心館」に婿入りし、師範を務める。改革派として活動をしている。
柄本佑は舞台俳優である柄本明の長男で、性格俳優として多くの作品に出演しています。
家を取り潰しにされても、改革派として活動するも犬死にしてしまう一番可哀想な人。

感想

個人的な評価
本作は『武士の家計簿』に続くドラマ時代劇となっています。
時代劇と言えば、どうしても戦国とか剣術が出てくる作品が多い。
しかし、本作は多少剣術が出ても、本題は料理となっている。
その中で登場する「包丁侍」という役職は本作で初めて知りました。
刀の代わりに包丁を持って、活躍する武士の姿を映しています。
前作の『武士の家計簿』でも刀を使わない武士の活躍を描いていました。
本作の見どころは次々と出てくる料理であり、きちんとクローズアップしています。
ただ、本作には家族愛も挿入されているが、どうにも中途半端な印象を持った。
全体的に物語はスムーズに進んでいき、ドラマチックな展開が少し弱い。
料理は濃いかもしれいないが、内容としては薄味な印象を持った。
特に春と安信が強い絆で結ばれる過程が淡々すぎて、今一つ伝わってこない。
何より安信が暗殺計画に参加できなかった春の行動に対して、その後の和解の描写がない。
二人が和解する場面が必要だと思うが、父親が病で倒れた事で場面が切り替わる。
それなのに、次の場面には二人が食材探しの旅に行くのは、どうにも納得できなかった。
物語が淡々と進んでいるせいで、家族愛のテーマも取って付けたような印象を持った。
どうせやるなら、もっと春と安信の深い部分に踏み込むべきだったと思う。
上辺だけでやってしまっているせいで、二人が最後に結ばれるのはご都合主義に感じた。
それでも、本作は包丁侍という役職を描いているのは悪くないと思った。
ただ、家族愛を入れてしまったので、どっちつかずになったのは残念でならなかった。