作品紹介
公開年月 | 2016/06/11 |
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ジャンル | SF/サスペンス |
原作 | なし |
監督 | アレックス・ガーランド |
脚本 | アレックス・ガーランド |
製作 | アンドリュー・マクドナルド、アロン・ライク |
製作国 | イギリス |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
世界最大の検索エンジンを運営するブルーブック社でプログラマーとして働くケイレブは、社内試験の結果、社長のネイサンが隠遁生活を送る山荘に招かれて一週間滞在する事に。
しかし、人里離れたその場所はネイサンが人工知能を開発する為の研究施設になっていた。
そこでケイレブに与えられた役目は、ネイサンが開発した人工知能の実用性と人間性についてのテストに協力する事。
そして、ケイレブの前に女性型のロボット“エヴァ”が姿を現し、戸惑いと興味を持ちながら会話を重ねていくのだった。
登場人物&出演者
・ケイレブ(演:ドーナル・グリーソン)
主人公。ブルーブック社のプログラマー。15歳の時に両親が交通事故で亡くなっている。
ドーナル・グリーソンは代表作に『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、『レヴェナント:蘇えりし者』などがあります。
会社の抽選で当たった事になっているが、実は社長から厳選され、研究に招かれている。
あくまでエヴァの研究成果を試す為に招待されているので、利用される立場であった。
なんちゃってSFの本作を象徴するのに、基本的な役割はエヴァの相手をするだけ。
思い出したかのようにプログラマーらしいセリフを言うが、なぜか社長に一蹴される。
最後の方では結局エヴァに利用されるだけで可哀想な役回りとなりました。
・エヴァ(演:アリシア・ヴィキャンデル)
ヒロイン。女性型ロボット。誕生した時から言語能力は完璧で表情も豊かである。
アリシア・ヴィキャンデルは代表作に『セブンス・サン/魔使いの弟子』、『リリーのすべて』などがあります。
なんちゃってSFなので、機械的な要素よりも感情が乏しい女性のように見えました。
社長にとって完成しているワケじゃなく、廃棄される事に危機感を覚えている。
だから社長が連れてきたケイレブを利用して、見た事がない世界へ飛び出そうとする。
素晴らしい能力を持っているはずだが、それをまったく感じさせないのは本作の特徴です。
・ネイサン(演:オスカー・アイザック)
ブルーブック社の社長。天才プログラマーだが、基本的に酒を飲んで体を鍛えているだけ。
オスカー・アイザックは代表作に『インサイド・ルーウィン・デイヴィス/名もなき男の歌』、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』があります。
誰を意識したキャラクターか分からないが、見た目がテロリストと言っても違和感ない。
なぜヒゲ面にしたのか、なぜ坊主なのか、なぜムダに体を鍛えているのか分からない。
主人公が専門的な言葉を並べようとすると、それを遮って感情論に持ち込む。
本当に天才プログラマーなのかと疑うレベルであるほど説得力に欠けています。
・キョウコ(演:ソノヤ・ミズノ)
ネイサンの研究施設で働くハウスメイド。エヴァの旧世代モデルで言葉がしゃべれない。
ソノヤ・ミズノはモデルやバレリーナとして活躍し、本作が映画デビュー作となっています。
いきなり登場して無言でメイドみたいな事をしているけど、見た目はどう考えても社長のお楽しみの為にしか見えない。
感想
個人的な評価
近年はやたらと人工知能を題材にした作品が多く製作されている。
古くは『2001年宇宙の旅』から始まり、SFアクションのヒットシリーズ『ターミネーター』、近年では『トランセンデンス』や『ザ・マシーン』などがある。
特にアクション性よりもドラマ性を重視した人工知能の作品が比較的多い。
監督は小説家、脚本家として活躍し、本作が映画監督デビュー作となるアレックス・ガーランドが務めています。
脚本家としての代表作に『28週後…』やリメイク版『ジャッジ・ドレッド』があります。
ほとんどの人工知能をテーマにした作品は大規模な施設の場所で行われるが、本作は人里離れた山荘で社長が直接研究をしている。
あくまで本作は少人数に展開していて、舞台もほとんど山荘の中と限られています。
サスペンスをやるにはもってこいの密室であり、少ない登場人物による駆け引きもある。
その中で最大の要素となる人工知能から作り出されたエヴァは、最大手の検索エンジンをベースにしています。
検索エンジンと言えば、世界で最も有名なGoogle、日本で多くの人が使うヤフーなどが知られているだろう。
さすがにそれらを直接使えないが、ニュアンスとして使っている感じです。
最初から完成している状態で登場する人工知能のエヴァは、話し方や態度は少しクールな女性にしか見えない。
機械的な部分はワザと透明にしているところだけで、表情も人間そのものである。
つまり、本作では意図的に見えるところを機械にして、見えないところを人間にしている。
人工知能のイメージとしては、感情が一切なく、あくまで合理的に物事を考えてる点。
しかし、本作のエヴァは感情を持ち、人間の思考について理解しているという人間臭い部分を最初から持っている。
個人的にはこういう演出はあまり好きではなく、機械だけど人間寄りの人工知能はなんだかSFよりもファンタジーに見えてしまった。
そもそも研究施設なのにカード一枚でセキュリティを管理するのは幼稚すぎる。
あと、本作は人工知能がテーマなのに、それ以上のロボット工学の方が数段スゴイと思う。
人工知能を第一に語っていて、ロボットのボディはオマケみたいな扱いだが、その技術は明らかにオーバーテクノロジーすぎる。
本作は明らかに科学的な根拠をぶっ飛ばして、なんとなくそれっぽい感じにしている。
だから足に着いた現実に近い物語というよりは、完全なるファンタジーだと感じた。
エヴァをたった一人で開発した社長は天才だけど、それを感じさせない肉体派。
一応、メガネをかけてインテリっぽくしているようだが、説得力がまるでないのです。
そして、人工知能やロボットには必ずやらないといけない「三原則」もありません。
一番重要なシステムのはずだが、外部へ情報が漏れる事を極端に嫌う社長がそのような凡ミスをするのもおかしい。
もの凄い豪華なプレゼントの箱だが、中身は不具合だらけのオモチャが入ってくる感覚。
本作は低予算だけど、山荘を出た景色の素晴らしさだけは印象的でした。