ソード・アーチャー/瞬殺の射法 RE-2399

作品紹介

公開年月  2016/03/11
ジャンル  アクション/歴史劇
原作  なし
監督  シュ・ハオフォン
脚本  シュ・ハオフォン
製作  ルン・シエ
製作国  中国
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

20世紀初頭、混乱する中国では武術を極める各流派が覇権を争い合っていた。
そんな武術家の抗争を正義の名の下に仲裁し収める役目を担う若きジャッジ・アーチャーなる弓の審判人がいた。
中国全土の道場を巡る中、ジャッジ・アーチャーは復讐を依頼する一人の女性と出会い、やがて彼は予期せぬ究極の戦いを迫られるのだった。

登場人物&出演者

ジャッジ・アーチャー/リュウ・バイユン(演:ソン・ヤン)
主人公。瀕死だった先代ジャッジ・アーチャーを救う。七代目のリュウ・バイユンとなる。
ソン・ヤンは代表作に『ソード・アイデンティティ』、『ファイナル・マスター』などがあります。
過去に姉が男に犯されてしまい、それで発狂してなぜか名前を捨てて新たな人生を歩む。
その先にいたのがリュウ・バイユンという武術家の抗争を仲裁する男でした。
残念ながら武術の達人には感じられず、ミュージカルで踊っているような印象を持った。
せめて、もう少し体を鍛えていれば説得力が出たけど、その程度という感じでしょう。

クァン・イーミン(演:ユー・チェンフイ)
好敵手。34歳で達人となって仕えるべき主を30年に渡って捜し求めている。
ユー・チェンフイは代表作に『ソード・アイデンティティ』、『白髪妖魔伝』があります。
楊司令官という人物に惚れ込み仕えるが、その人物は失脚しているという状態である。
もうすぐ返り咲くとにらんでいて、楊司令官こそが仕える人物だと信じている。
毎朝、果物屋から梨をもらって、その香りを嗅ぐ事で精神的な癒しをもらっている。

エードン(演:イェニー・マーティン)
武術抗争をしていた父親が道場破りのクァンに呆気なく殺されてしまう。
イェニー・マーティンは本作が映画デビューとなっています。
リュウ・バイユンに復讐を依頼するも、何度も断れ、何度も拳を交えている。
基本的にスーツを着こなしていて、クァンの弟子となぜか行動している。
結局、父親の復讐はなんだったのかと思ってしまうようなクライマックスでした。

ユエ・ヤホン(演:リー・チョンユアン)
普段は劇団に属している。実は真の主を捜し求めていたクァンの妻を自称する。
リー・チョンユアンは本作が映画デビューとなっています。
なぜか果物屋に扮していたリュウ・バイユンの元に色気ムンムンで登場する。
元々はクァンからリュウ・バイユンの様子を探るように仕向けられていた。

感想

個人的な評価

ウォン・カーウァイ監督の『グランド・マスター』で脚本と武術顧問を務めたシュ・ハオフォンの監督二作目となる。
『グランド・マスター』の脚本家と言えば、納得するような作品だと感じました。
とにかく、本作はストーリーと登場人物たちの関係性が明瞭ではない。
ストーリーについては、主人公が何をしたいのか分からない。
それだけならしょうがないと諦めるが、主人公と敵対する達人も何がしたいのか分からない。
つまり、本作の中軸を担う二人の登場人物の行動が不明瞭でどんな物語か伝わらない。
冒頭で主人公の姉はよく分からない男に犯されるが、別に復讐するワケでもなく、ただ発狂しているだけ。
それでなぜか主人公が名前を捨てて、姉の元から立ち去っていくというワケの分からない展開になる。
で、主人公が走っていた先には武術家の抗争を仲裁するリュウ・バイユンと遭遇し、そこから彼が跡を継ぐ事になる。
強引ってレベルじゃない流れに何度も「?」という感じになり、当然のようにフォローするような説明がない。
気づいたら主人公はジャッジ・アーチャーになっていて、強そうな雰囲気を出しているが、体つきが達人にはまったく見えない。
相対するライバルの達人もジジイだが、こちらも強そうに見えないという絶望的な雰囲気。
そこへ父親の復讐を頼み込むハーフの美女、劇団にいる事が疲れた美女が舞い込んで、なぜか主人公はベッドインする。
弓矢を握っている時間よりも、女と一緒にいる時間の方が長いという達人。
そして、本作は全体的にカンフーの動きと音の演出に比重を置いている。
確かに心地良いリズム感であるが、ストーリーは破綻、登場人物の関係性が不明瞭など、映画としては論外の内容になっている。
一度観ただけでは意味が分からないし、それを説明しようという気がないストーリー。
肝心のカンフーアクションも、見慣れている人なら退屈に感じるだろう。
なぜなら、登場人物はなんちゃってカンフーしかできず、ミュージカルのような演出だから迫力がまったくない。
如何にジャッキー・チェンやジェット・リーが凄いのか分かるようなカンフーアクション。
シュ・ハオフォン監督は武術監督としてはいいかもしれないが、映画監督や脚本家としては三流レベルだと言える。
新しい事にチャレンジするのはいいが、それは基本のカンフー映画が分かっている事が前提であり、本作はその基本を無視している。
ただ、主人公とベッドインする女優陣たちはみんな美しいのが救いでした。