作品紹介
公開年月 | 2016/02/25 |
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ジャンル | カンフー |
原作 | なし |
監督 | ノンタコーン・タウィースック、ウィラポール・プーマルフォン |
脚本 | ノンタコーン・タウィースック |
製作 | ノンタコーン・タウィースック |
製作国 | タイ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
代々タイの古典仮面舞踏劇“コーン”で英雄ハヌマーンを演じる家系に育ったヌア。
ある日、ギャングの一団との争いに巻き込まれたヌアは、そこに居合わせた恋人のメイ・フィンが殺されてしまう。
一方、メイ・フィンの妹であるリー・インが中国から帰国し、姉の死を乗り越えてヌアとともにギャング団と闘う決意を固めるのだった。
登場人物&出演者
・ヌア(演:サムレット・ムアンプット)
主人公。祖父のクラと古典仮面舞踏劇“コーン”を演じる。その傍らでココナッツを販売。
サムレット・ムアンプットは代表作に『マッハ!ニュー・ジェネレーション』、『チョコレート・バトラー』などがあります。
過去に恋人だったメイフェンをチンピラのソーとの騒動で亡くし、ずっと自分を責めている。
ソーにヒドイ火傷を負わせた事でずっと狙われ、祖父も呆れるほど復讐心を燃やしていた。
祖父からムエタイの奥義が秘められた“猿の踊り”を習い、ソーに一矢を報いようとする。
最後はクラとリー・インを助け出し、舞踏劇を再開して、その後は幸せに暮らす事に。
・リー・イン(演:パンヤーナット・チラロートタナカセーム)
メイフェンの妹。ずっと中国で歌唱を習っていたが、メイフェンの代役として帰国した。
パンヤーナット・チラロートタナカセームは代表作に『Rak rao khayao kwan』があります。
しかし、実際は歌唱試験に落ちてしまい、その代わりとして棒術による殺陣を習っていた。
帰国してからヌアと折り合いが合わなかったが、次第に意気投合していきショーをする。
ソーの暴走で父親が撃たれ、クラとともに誘拐されるが、なんとか抜け出して暴れ回った。
最後はやって来たヌアと協力してソーの部下を倒し、見事にクラを助け出す事ができた。
・クラ(演:プラサート・トン=アラム)
ヌアの祖父。代々古典仮面舞踏劇“コーン”を演じている。メスの猿を娘と思っている。
プラサート・トン=アラムは本作が長編映画デビュー作となります。
過去にヌアがメイフェンを亡くした事を気にするが、チンピラと関わる彼をダメ人間という。
ソーの寄越したチンピラに絡まれた時、ヌアを助ける為にムエタイの奥義を使い抜け出す。
ヌアが未だに怒りを募らせている事を指摘しながらもムエタイの奥義“猿の踊り”を教えた。
ソーの暴走でリー・インと捕まった時に腹を刺され、暴行を受けてもなんとか生きていた。
最後はソーに抵抗するも首吊りされるが、ヌアとリー・インの助けによって生還した。
・プワク(演:アウタワット・イントン)
ヌアの友人。中国人観光相手に荷物を運ぶ仕事をしている。何かと見栄を張ろうとする。
アウタワット・イントンは本作が長編映画デビュー作となります。
いつも調子が良くヌアがチンピラのチアに絡まれると、それに合わせて笑っていた。
そこで出会ったリー・インを気に入って、隙があれば彼女に近づこうと下心満載で話す。
クラとリー・インがソーに誘拐され、クンやヌアとともに町へ出てなんとか探そうと手伝う。
最後はクラとリー・インを助けに行くヌアの邪魔をしたチアを倒して行かせた。
・クン(演:ピタヤ・パンスリンガム)
警察官。ヌアやクラとは顔馴染みで、過去にあった出来事を理解して二人を見守っている。
ピタヤ・パンスリンガムは代表作に『オンリー・ゴッド』、『ニンジャ・アベンジャーズ』などがあります。
過去にソーの悪事を暴こうとしたが、父親の裏回しによって危うく職を失いそうになる。
現在は交番で見回りをする低い身分に留めているが、何かとヌアたちを気にかける。
本格的にソーの卑怯な手に追いつめられるヌアたちに隠れ家を提供し、独自に調査する。
最後はソーの家に侵入して逮捕されたヌアを助け、クラとリー・インの居場所を探していた。
・チア(演:サイチェン・ウォウィロー)
チェ・ゲバラを意識した出で立ちで彼の顔をプリントしたTシャツまで着ているチンピラ。
サイチェン・ウォウィローは代表作に『戦場からの脱出』、『ニンジャ・アベンジャーズ』などがあります。
ココナッツの彫刻を売っていたヌアに金を貸していて、返済をさせようと強硬手段を取る。
その時に通りかかったリー・インにボコボコにされ、当然のように因縁を持つ事になる。
実はバカ息子で騒ぎばかりを起こすソーの手下で、ヌアを目の敵にして執拗に狙っていた。
最後はクラとリー・インを助けようとしたヌアを邪魔するが、プワクによって阻止された。
・テッド(演:パラメ・ノイアム)
チャンチャイの側近。常にチャンチャイの傍にいて、息子ソーの面倒も見ている忠実な部下。
パラメ・ノイアムは代表作に『Body』、『ゴースト・フライト407便』などがあります。
クズで無能な問題児であるソーを叱るチャンチャイの傍にて、その様子を黙って見ていた。
買った女が悪口を知ったソーが顔を切りつけ後始末を頼まれると、殺さずに逃がした。
ソーがヌアたちを殺そうとした動画をネットに投稿され、チャンチャイの命令で痕跡を消す。
最後はソーを見つけて止めようとしたが、部下たちが殺されて、自身も結局は殺された。
・チャンチャイ(演:プスタリット・プロンバンダル)
大物政治家。次の選挙を控えているが、問題ばかりを起こす息子のソーに手を焼いている。
プスタリット・プロンバンダルは代表作に『Fireball』、『Sming』などがあります。
右半身に大火傷を負った息子を心配するどころか、勝手な行動をしないように言いつける。
あくまで自分の選挙が第一であり、問題を起こす息子の代わりに裏で手を回している。
しかし、ソーの暴走がネットの動画にアップされ、政党から除名されて失脚してしまう。
最後は息子が殺人容疑で逮捕されるニュースを見て、拳銃によって自殺を遂げる。
・ソー(演:カズ=パトリック・タン)
大物政治家の息子。部下を引き連れてクラブで遊び回るチンピラ。クズの中のクズ。
カズ=パトリック・タンは代表作に『マッハ!弐』、『ニンジャ・アベンジャーズ』がある。
過去にヌアと因縁を持っていて、クラブで暴れた時に右半身に大火傷を負わされている。
なんとかヌアに復讐しようとするが、父親から厳しく止められるも裏で色々とやる。
そのせいで父親は政党を除名されてしまうが、更に暴走して側近まで殺してしまう暴挙に。
最後はクラとリー・インを捕まえるが、乗り込んできたヌアに倒され、逮捕された。
感想
個人的な評価
本作はアクション映画が多く製作されているタイ製の作品となります。
タイ映画を国際的に有名にした人物と言えば、やはり、トニー・ジャーが第一人者です。
トニー・ジャーが主演した『マッハ!!!!!!!!』は世界的に大ヒットして、同時にムエタイの強さとアクション性を示しました。
そこからトニー・ジャーに続いてジージャー・ヤーニンも登場し、タイ映画を盛り上げる事になりました。
そんな中で本作もムエタイを取り上げているが、少しアレンジをして伝統的な舞踏劇を組み合わせてアクション性となっています。
本作の現代は『Monkey Twins』となっていますが、その理由はハヌマーンと孫悟空を演じる主人公とヒロインの競演が由来となっています。
どちらも猿をモデルにしたキャラクターであり、主人公とヒロインがそれぞれ舞踏劇で演じる事からタイトルにしています。
本作では主人公とヒロインの身体能力が非常に高く、本人たちがこなしているアクションはなかなかキレがあります。
特に二人がチンピラ相手に一本の棒を取り合いながら戦っているシーンは非常に面白い。
もちろん、両者が演じている舞踏劇での役もきちんとこなしていて、これだけでも良い見世物だと言えます。
しかしながら、本作は2時間近い長尺になっている事もあって、ストーリー構成はあまり良いと言えません。
主人公はすでに恋人を亡くしたところから始まっていて、その為に少しずつ小出しにしながら回想をしていきます。
これが本作のテンポを非常に悪くしているし、そもそも恋人とのエピソードはダイジェストなので冒頭に置いても問題はなかった。
むしろ、小出しにしているせいで後からやって来る恋人の妹が不憫で仕方なかったです。
結局、主人公は亡くした恋人をずっと想っているが、そこに登場した妹は代わりにしかならない存在になってしまう。
やはり、これは主人公が前へ歩み出す為の物語なので、いつまでも亡くした恋人の事を引きずった演出はマイナスだと感じた。
あとは悪役があまりにも都合が良すぎて、人を何人も殺しているのに、大物政治家の息子というだけでお咎めなしなのはさすがにやり過ぎだと思った。
最後に主人公たちが倒して、ようやく警察に捕まっているが、どれだけタイの警察は汚職まみれで捜査がザルなのか勘違いしてしまう。
本作は主人公とヒロイン、それに祖父の身体能力が高いのは分かったが、それを魅せる演出と構成があまり良くなかった。
物語は90分に収めて、亡くした恋人の出来事を冒頭に置き、あとはテンポ良く進んでいればもっと面白くなっただけに残念な作品でした。