作品紹介
公開年月 | 2012/09/13 |
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ジャンル | ホラー |
原作 | フジテレビ 『トリハダ/夜ふかしのあなたにゾクッとする話を』 |
監督 | 三木康一郎 |
脚本 | 三木康一郎、ブラジリィー・アン・山田、ほか |
製作 | 藤原努、梶野祐司、ほか |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
【見えざるものの中にある真理】由美子はマンションと駅の間にあるトランクルームを借りていて、夜に荷物を置くと斜め向かいに男と遭遇し……。
【異常な愛情と信念の6日間】宅配便で働く孝史は不在票を見て電話してきた横田という女性に配達へ行き、仕事の終わりにコインランドリーで洗濯をすると……。
【好奇心から生まれる想像と漆黒】夜のバスの前の席に座っている女子高生の携帯電話が目に入った良和は、ついつい意味深な文字を読んでしまい……。
【理想と現実の相違から訪ねる闇】付き合っている男にしつこくされ別れを切り出す葉子はある日、引っ越したばかりの部屋に帽子を深く被った男が鍋を訪ねてくる……。
【自身に降りかかった悪夢と結末の相違】夕子が仕事から帰ると、上着のポケットに小さく丸めた紙に「30」と書かれ、翌日には「29」と書かれた紙が入っていて……。
【誘惑の疑念と葛藤と脅迫】専業主婦の真貴子は毎週金曜日に限って帰りが遅い夫を疑うも最後まで問い詰められず、ある日、ライフスタイルを改善すると名乗る女性から電話がかかる……。
登場人物&出演者
・高林ひかり(演:谷村美月)
主人公。家電メーカーのコールセンターに勤める。上司の中村と秘かに不倫をしている。
谷村美月は代表作に『神様のパズル』、『カナリア』などがあります。
目を覚ますと窓に外から人の手が当てられたような形跡を見て、不気味だと思ってしまう。
無能な同僚の美香に変わってクレーマーの処理して帰宅し、隣近所と他愛もない会話をする。
上司との不倫に未来はないと悟り、隣人のオバサンにもバレて、ついに暴走を果たす。
最後はオバサンを殺害し、上司の妻に許可をもらって男を殺し、自殺を笑いながら遂げた。
・美香(演:宮崎美穂)
家電メーカーのコールセンターに勤める若い女性。クレーマーの処理に戸惑っていた。
宮崎美穂はアイドルグループ「AKB48」チームAのメンバーで、長編映画デビュー作となる。
上司が無能さを見てられず、代わりにひかりが引き受けるもクレーマーの仕打ちに引く。
またしてもクレーマーを処理できず、ひかりが引き継ぐも毎度のように怒られていた。
最後は会社にやって来ないひかりを心配する一方で、上司に媚びを売っていた。
・宮脇和世(演:松本海希)
ひかりの隣に住んでいるオバサン。いつも夜遅く帰るひかりを笑顔で気遣っていた。
松本海希は代表作に『マルサの女』、『真夏の方程式』などがあります。
実はその正体は連日に渡ってひかりをターゲットにしていたクレーマーだと判明する。
何も言い出せないひかりをボロクソに罵声を浴びせるが、顔を合わせると何事もなく接する。
ついにひかりが電話口で反論をしてしまうと、本性を暴いて彼女の不倫を口にしていた。
最後はエレベーターでひかりに本性を見せるが、ブチ切れた彼女に殺害されてしまう。
第一話【見えざるものの中にある真理】
・由美子(演:木南晴夏)
主人公。マンションと駅の間にあるトランクルームを借りている。仕事帰りに荷物を置く。
木南晴夏は代表作に『20世紀少年』シリーズ、『百年の時計』などがあります。
同じ列に気持ち悪い男が立っていると、急いで出て行っていくもカギを忘れて戻り遭遇する。
別の日にも男が自分のトランクを開けようとして、それを見て鉄パイプを手にする。
最後は男に忠告して鉄パイプを何度も振り下ろして撲殺し、トランクルームに遺体を隠した。
・男(演:松浦祐一)
トランクルームに借りている気持ち悪い男。由美子の存在に気付いてずっと見ていた。
松浦祐一は代表作に『東京ゾンビ』、『ガチバン』シリーズなどがあります。
次の日には由美子のトランクルームを開けようとしてシャッターを激しく揺らしていた。
最後はその現場を見られてしまい、由美子に鉄パイプで撲殺されトランクルームに隠された。
第二話【異常な愛情と執念の6日間】
・孝史(演:古川雄輝)
主人公。宅配便に勤めている。高林ひかりの家に荷物を持っていくも居留守を使われる。
古川雄輝は代表作に『脳内ポイズンベリー』、『風の色』などがあります。
文句を言いながら不在票を置くと、横田という女性の荷物を送り届けるもストーカーされる。
その日から横田にしつこく付きまとわれ、コインランドリーの洗濯物を取られそうになる。
常軌を逸した横田はシャンプーのボトルに切り落とした小指を入れて仕込んでいた。
最後はしつこい電話に怒鳴っていたら、横田が飛び出して車で轢くも生きていて責任を取る。
・横田(演:笹野鈴々音)
孝史が勤めている運送会社に荷物を頼んでいた小さな女性。再配達で荷物を受け取っていた。
笹野鈴々音は代表作に『遠くの空に消えた』、『蠱毒/ミートボールマシン』などがあります。
その日から孝史を見てひと目惚れし、何度も電話をかけて一方的な愛情を伝えていた。
次には孝史が使っているコインランドリーに来ると、彼の洗濯物を取ろうとするも失敗。
エスカレートしていくと、孝史が使うシャンプーのボトルに切り落とした小指を入れていた。
最後は孝史の車の前に飛び出し轢かれるが、生きていて彼に責任を取らせる事になる。
第三話【好奇心から生まれる想像と漆黒】
・良和(演:野間口徹)
主人公。バスで家に帰っていた中年のサラリーマン。一番後ろの座席に座っていた。
野間口徹は代表作に『ゼロの焦点』、『サラリーマンNEO/劇場版(笑)』などがあります。
前に座っていた女子高生の携帯電話を興味本位で覗き、そこで下世話なやり取りを見る。
次第にその内容がおかしな方向になっていると気付くと、思わず目を背けてしまう。
また女子高生の携帯電話を覗くと、それがバレていると知ってすぐに降りようとした。
最後は女子高生の隣にいた男がメールの相手であり、隣に座られて逃げられなくなった。
・女子高生(演:入来茉里)
バスで家に帰ろうとした良和の前に座っていた女子高生。メールでやり取りをしていた。
入来茉里は代表作に『海の金魚』、『のぞきめ』などがあります。
最初は下世話な内容だと良和は思っていて、そのやり取りが段々とエスカレートする。
メールの内容が次第に怪しい方向へ流れていき、殺人を犯した展開に変わっていた。
ずっとメールを覗いていた良和の存在に気付いていて、仲間の男から殺害の提案を受ける。
最後は男が同じバスに乗っていて、良和を殺す事になって、一人で高笑いをしていた。
第四話【理想と現実の相違から訪ねる闇】
・葉子(演:佐津川愛美)
男の理想が高くて何人も付き合って振っている。友人からも遊び人だと言われるような始末。
佐津川愛美は代表作に『蝉しぐれ』、『海と夕陽と彼女の涙/ストロベリーフィールズ』などがあります。
夜になって隣人の川村がお裾分けでシチューを持ってくるが、一度目は断ってしまう。
二度目は居留守を使うが、三度目は出て川村がイケメンだと分かって喜んで受け取っていた。
シチューを温め直して食べると、おいしいと分かって半分以上平らげてしまう。
最後は隣人が一人暮らしの女性だと分かり、シチューが人間の肉だと判明して便器に吐いた。
・川村(演:菊田大輔)
葉子の隣人と名乗る青年。夜になってから葉子の家のチャイムを鳴らしてお裾分けをする。
菊田大輔は代表作に『映画 桜蘭高校ホスト部』、『ピーチガール』などがあります。
一度目は断ってしまう、次の日は居留守を使われるが、三度目は葉子が出てくれた。
洋食屋で働いていて練習の為にシチューを作っていたが、余る事からお裾分けをしていた。
最後は連日のようにニュースで頭部が切断された殺人事件の犯人だと葉子に気付かれた。
第五話【自身に降りかかった悪夢と結末の相違】
・夕子(演:石橋杏奈)
主人公。都内に勤めるOL。家に帰るとポケットに入った「30」と書いた紙を見つける。
石橋杏奈は代表作に『きみの友だち』、『泥棒役者』などがあります。
次の日になると今度は「29」からカウントダウンしていき、堪らずに友人に相談をした。
いつメモをポケットに入れられたのか分からず、怯えていると「インラン」と書かれる事に。
仕返しに脅迫するメモを自分のポケットに入れるが、カウントが「0」になって楓に相談。
最後はポストを覗いた楓がボウガンで額を撃ち抜かれ、死亡すると笑顔を浮かべていた。
・楓(演:朝倉えりか)
夕子の同僚で友人。ポケットに入ったカウントダウンのメモを怖がる夕子を励ましていた。
朝倉えりかは代表作に『集団殺人クラブ/最後の殺戮』、『劇場版/媚空ビクウ』があります。
冗談で何かのストーカーだと言って励まして、夕子もそうだと信じ込んで元気を取り戻す。
カウントダウンが「1」の紙が夕子に家にあって、怖くなった彼女の為に家に泊めていた。
最後は何もないと夕子を家に連れ戻すが、ポストを覗くとボウガンの矢が額に刺さって死亡。
第六話【誘惑と疑念の葛藤と脅迫】
・中村真貴子(演:白羽ゆり)
主人公。専業主婦。夫の健二と二人暮らしをするが、彼の浮気は絶対に許さない。
白羽ゆりは代表作に『大奥』、『デスノート/Light up the NEW world』などがあります。
厳しい言葉とともに出勤する健二を見送るが、彼が裏でコソコソ浮気している疑念を持つ。
洗濯物を干している時にカウンセリングの電話がかかり、一度目は断ってしまう。
次に夫を殺害する予告だと分かって、一億円の生命保険が下りると分かって承諾をした。
最後は銀行の口座に振り込まれた一億円を見て、ウキウキしながら料理を作り始める。
・中村健二(演:小林高鹿)
真貴子の夫。家電のコールセンターに勤めている。部下の高林ひかりと不倫している。
小林高鹿は代表作に『プラトニック・セックス』、『チェブラーシカ』などがあります。
妻から厳しく浮気をしないように言われているが、平然と不倫関係を続けていた。
ひかりを都合の良い女として肉体関係だけを持っていたが、彼女の主張に逃げてしまう。
応答のないひかりのアパートに行くと、隣のオバサンが死体になっていて驚いて固まる。
最後は返り血を浴びたひかりを見て動揺し、質問する彼女に答えられず殺される事に。
感想
個人的な評価
本作はフジテレビで放送されるテレビドラマ『トリハダ/夜ふかしのあなたにゾクッとする話を』が元ネタとなります。
シネマサンシャインにて三週間限定ロードショーとして劇場公開されています。
テレビドラマには「幽霊は出ない」、「超常現象は起きない」、「音楽で恐怖を煽らない」、「過度な演出はしない」、「日常から逸脱しない」という五箇条が存在する。
その為、本作はあくまで日常で起きる可能性のある恐怖を描いていて、他のホラー映画と違った視点で物語を展開させようとしています。
あくまで人間が魅せる恐怖を中心にしていて、誰でも被害を受ける側か、被害を与える側になり得る事を示しています。
オムニバス形式として物語が成り立っているが、一応は横の繋がりを持っている話があるような感じとなります。
しかし、その中にはほとんど繋がりがない話もあるので、ここら辺がちょっとばかり不満の材料になってしまっています。
オムニバス形式になっている意味を成立するのには、それぞれの話が横の繋がりを強く意識させる必要性があります。
本作はそれを意識させているが、どうにも弱すぎても上手さはあまり感じられなかった。
驚くような点と点の繋がりがあれば、本作はもっと面白くできたけど、それを怠ったせいで微妙なラインになってしまった。
多くのホラー映画を見て耐性がついている人には物足りないし、五箇条のせいで限界が見えてしまっているような気がしました。
制限を決めるのはいいと思いますが、それを活かせるだけの才能が集まればいいけど、残念ながら本作にはそのような人は製作陣にはいなかったようです。
ただ、唯一不気味だと思ったのは第二話に登場した横田さんであり、演じた笹野鈴々音だけは話題を一人かっ攫っていました。