作品紹介
公開年月 | 2017/11/10 |
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ジャンル | ドラマ/サスペンス |
原作 | なし |
監督 | マーティン・マクドナー |
脚本 | マーティン・マクドナー |
製作 | グレアム・ブロードベント、ピート・チャーニン |
製作国 | イギリス、アメリカ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
ミズーリ州の田舎町エビングではある日、道路脇に立つ三枚の立て看板に地元警察への辛辣な抗議メッセージが出現する。
娘を殺されたミルドレッド・ヘイズが、7ヶ月経っても一向に進展しない捜査に業を煮やして掲げたモノである。
名指しされた署長のウィロビーは困惑しながらも冷静に理解を得ようとするが、部下のディクソン巡査はミルドレッドへの怒りを露わにするのだった。
登場人物&出演者
・ミルドレッド・ヘイズ(演:フランシス・マクドーマンド)
主人公。レイプ事件の被害者の母親。7ヶ月も音沙汰なしで看板にて問いかけをする。
フランシス・マクドーマンドは代表作に『ミシシッピー・バーニング』、『ファーゴ』などがあります。
そのせいで警察はもちろん、娘の死に同情的だった街の住民から反感を買っていた。
それでも強気でウィロビー署長からの言葉に屈せず、元夫の言葉にも立ち向かっていた。
看板を燃やされた復讐として警察署を燃やし、そのせいでディクソンが大火傷を負う。
最後はディクソンと和解して、レイプ魔の制裁をするべく彼と一緒に旅へ出る事となった。
・ジェイソン・ディクソン巡査(演:サム・ロックウェル)
警察学校を6年かけて卒業している。暴力的な人物で黒人やメキシコ人を差別的に見ている。
サム・ロックウェルは近年の出演作に『バッド・バディ!私と彼の暗殺デート』、『ポルターガイスト』などがあります。
暴力沙汰を起こしてクビにならないのはウィロビー署長が証拠をすべてもみ消しているから。
母親と暮らしているマザコンであり、彼女が差別主義者であるせいで大きな影響を受ける。
ウィロビー署長の自殺でウェルビーをボコボコにして、後任の署長にクビを宣告された。
最後は改心して犯人の手がかりを得るも人違いだと知るが、ミルドレッドと制裁の旅に出る。
・チャーリー(演:ジョン・ホークス)
ミルドレッドの元夫。元警官でミルドレッドに暴力を振っていた。現在は19歳の少女と交際。
ジョン・ホークスは代表作に『パーフェクト・ストーム』、『アメリカン・ギャングスター』などがあります。
看板を出したミルドレッドに理由を聞こうとしたが、真っ先に暴力を振るおうとした。
ロビーによってなんとか落ち着いたが、ミルドレッドの考えに対して賛同をせず家を出た。
ミルドレッドとジェームズと食事デートに居合わせ、警察への放火が間違えだと口にする。
最後は食事していた席に来たミルドレッドに余ったワインを差し入れされて彼女を見送った。
・ジェームズ(演:ピーター・ディンクレイジ)
ミルドレッドの小男の友人。バーではウェルビーと一緒にビリヤードをやっていた。
ピーター・ディンクレイジは代表作に『ピクセル』、『X-MEN:フューチャー&パスト』などがあります。
ミルドレッドに恋心を抱いていて、何かと声をかけてデートに誘うとするも断られる。
警察署に火を付けたミルドレッドを庇い、そのおかげで彼女と食事のデートに誘う。
最後はミルドレッドの冷たい態度に傷つき、彼女に落胆して涙を浮かべながら店を出た。
・レッド・ウェルビー(演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)
広告代理店の経営者。ミルドレッドが看板に目をつけ、娘の事件が未解決という広告を出す。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズは代表作に『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』、『ゲット・アウト』などがあります。
早速と看板に対して文句を言いに来たウィロビー署長の言葉に対しても言い返していた。
警察や住民からの圧力を受け、ミルドレッドの支払いが停滞して取り下げる流れにされる。
ウィロビー署長が自殺を遂げると、ついにキレたディクソンによって重傷を負わされる。
最後は病院に運ばれたディクソンにオレンジジュースを与え、彼の心を大きく変える事に。
・アン・ウィロビー(演:アビー・コーニッシュ)
ウィロビーの妻。二人の娘に恵まれ幸せな生活を送っていた。夫が末期ガンで心配している。
アビー・コーニッシュは代表作に『エリザベス:ゴールデン・エイジ』、『リミットレス』などがあります。
ミルドレッドの行動に追い込まれる夫を心配し、なんとか彼を安心させようとする。
夫が吐血して警察をしばらく休んでいると、久しぶりに家族だけで楽しい時間を過ごした。
最後は夫が自殺して、ミルドレッドに残した手紙を渡してやり場のない怒りを見せた。
・ビル・ウィロビー署長(演:ウディ・ハレルソン)
エビング警察の署長。末期のガンを患っている。ミルドレッドの出した看板に振り回される。
ウディ・ハレルソンは近年の出演作に『猿の惑星:聖戦記』、『ウィルソン』があります。
看板を出しているウェルビーに直訴して取り下げるように言いつけるも拒否されてしまう。
暴力的なディクソンは良い人間だと信じていて、何が起きても彼をずっと守っていた。
ミルドレッドの尋問をしていたが、突然の吐血によって警察の職を一時的に休職する事に。
最後は家族との楽しい思い出を残して自殺し、ミルドレッドの看板の費用を一ヶ月分払った。
感想
個人的な評価
本作は『第74回ヴェネツィア国際映画祭』のコンペティション部門で脚本賞を受賞しました。
他に『第90回アカデミー賞』では主演女優賞、助演男優賞を受賞し、作品賞、脚本賞、作曲賞、編集賞にノミネートされています。
様々な映画賞で高い評価を受けた本作だが、特に主演のフランシス・マクドーマンドと助演となるサム・ロックウェルの評価が高くなっています。
まず、主人公のミルドレッドを演じたフランシス・マクドーマンドはアカデミー賞の他、エミー賞とトニー賞を受賞し、演劇の三冠王を達成している実力派である。
とにかく、本作はフランシス・マクドーマンドの一人舞台と言っても過言じゃないぐらい強烈な存在感を出しています。
娘がレイプされた末に殺されている悲惨な事件を経験するが、未だに犯人が捕まっていない事に憤りを警察に持っている。
そこで彼らを奮起させる為に三つの看板を出すが、これによって警察は大きく変わる事になります。
行動しない事こそが罪だと思わせるミルドレッドの行動力は、安定していた地元を大きく動かした結果を生み出しています。
決して娘とは良好な関係じゃなかったミルドレッドだが、彼女を亡くして誰よりも後悔している気持ちが伝わってくる。
そんなミルドレッドと対峙する警察側は手を焼いていくが、その中でも差別主義者であるディクソンの存在もまた強烈である。
何をするのか分からないディクソンですが、物語が終わる頃には敵対していたはずのミルドレッドと旅をする事になる。
本作はミルドレッドの主張を押し通す物語であるが、別の観点ではディクソンの成長物語でもありました。
あれほど差別的な考えを持っていたディクソンだったが、ミルドレッドの行動で考え方が変わっていく過程は非常に面白い。
危険な雰囲気を持っていた男があそこまで心変わりして行動する姿は、心強くて彼の成長を素直に受け入れられます。
事件は解決していないが、ミルドレッドやディクソンの人生が変わっていく様子を描いた本作はなかなか良かったと思います。