砂上の法廷 RE-2307

作品紹介

公開年月  2016/03/25
ジャンル  ミステリー/法廷
原作  なし
監督  コートニー・ハント
脚本  ニコラス・カザン
製作  アンソニー・ブレグマン、ケヴィン・フレイクス、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

巨額の資産を持つ大物弁護士が自宅で殺害され、17歳の息子マイク・ラシターが容疑者として逮捕される。
何も語ろうとしないマイクの弁護を引き受ける事になったのは敏腕弁護士のラムゼイ。
法廷では検察側の証人が次々とマイクに不利な証言をし、有罪は間違えないと思われていた。
しかし、ラムゼイは証言のわずなか綻びを見逃さず、証人たちのウソを暴くのだった。

登場人物&出演者

リチャード・ラムゼイ(演:キアヌ・リーブス)
主人公。敏腕弁護士。容疑者となったマイクをよく知る。どうしても裁判に負けたくない。
キアヌ・リーブスは近年の出演作には『ノック・ノック』、『エクスポーズ/暗闇の迷宮』などがあります。
新人のジャネルに対して、法廷の厳しさを教えるとともに敗色濃厚な状況でも最後まで負けたくない気持ちを持つ。
状況を冷静に分析し、少ない可能性から勝ちを見出そうとするが、途中から雲行きが怪しくなっていくのです。

ジャネル(演:ググ・ンバータ=ロー)
ラムゼイを補佐する弁護士。ラムゼイが信頼するウォルターの娘で実力はお墨付き。
ググ・ンバータ=ローは35作に出演し、テレビドラマや映画などで活躍しています。
何もしゃべらないマイクの影響で負けが濃厚だが、彼女は証人のウソを見破る。
以前は法律事務所の上司に横恋慕してストーカーと化してしまい、その結果、事務所をクビになってしまう。
ラシター家とは無関係な第三者として、異様な裁判について違和感を覚えていく。

マイク・ラシター(演:ガブリエル・バッソ)
物語の中心人物。事件後、ずっと沈黙を保っていた。真実を知るがなぜか沈黙を守る。
ガブリエル・バッソはテレビドラマ『キャシーのbig c/いま私にできること』が有名です。
ずっと沈黙を貫いていたが、その理由が衝撃的であり、単なる黙秘権ではない作戦だと分かって一気にその態度の意味が分かります。

ロレッタ・ラシター(演:レニー・ゼルウィガー)
マイクの母親で殺されたブーンの妻。夫に対して学歴がない事に多大な負い目を持つ。
レニー・ゼルウィガーは代表作に『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズで知られる。
傲慢な夫に対して、常に顔色を窺っていて、毎日のように暴力を受けていた。

ブーン・ラシター(演:ジム・ベルーシ)
事件の被害者。大物弁護士。実力を持っているけど、人間として最低のクズ野郎。
ジム・ベルーシは近年の出演作には『ニューイヤーズ・イブ』、『ゴーストライター』などがあります。
本作では故人となっているが、その威圧的な態度は短いシーンでも充分な説得力がある。

感想

個人的な評価

法廷映画は数多くあるけど、本作は無実を一切主張しない被告人を弁護士がなんとか助けるという歪な内容となっている。
普通なら冤罪だとか、罠にハメられたとか、そんな人物を救う弁護士が活躍するのが王道の法廷映画だと言えます。
しかし、本作はかなり異質な作品であり、被告人が沈黙を守っていた理由は素直に驚く。
そこから更に裏の真意を探っていき、法廷のシーンから真実を見出していく展開。
ここでキアヌ・リーブスが演じるラムゼイがマイクを無罪にする勝ちにこだわる理由が分かっていきます。
当初はなぜ沈黙を守っているマイクを頑なに勝たせたいか、終盤になってその真意が怪しくなっていくのです。
そんなおかしな状況に疑問を投げかけるジャネルを演じたググ・ンバータ=ローの存在は非常に大きいと感じさせる。
これにより、ずっと正しいと思っていたラムゼイのやり方に観ている側が不信感を与える効果を生じさせる。
素直な法廷映画ではなく、二重にも三重にも仕掛けられたミスリードが光る作品である。
ただ、登場人物が限られてしまっているので、その裏を考えると真実がすぐに分かる。
物語としても狭い世界での話しであり、どうしても全体的に地味な印象を持ってしまう。
そもそも法廷映画自体は地味な展開が多いので、本作は退屈になりそうなところで、タイミング良く衝撃的なセリフを置いている。
演出面については上手いと思うが、どうにも何か決定的に足りない印象もありました。
登場人物の中で一番濃いのが死んだブーンというのも少し痛いところです。
無表情な演技が得意なキアヌ・リーブスには良い役だが、もう少しスケールを広げて欲しかったところです。