作品紹介
公開年月 | 2004/04/24 |
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ジャンル | スポーツ/コメディ |
原作 | 『サトリーレック』(モチーフ) |
監督 | ヨンユット・トンコントーン |
脚本 | ヨンユット・トンコントーン |
製作 | ジラ・マクリン、プラサート・ヴィヴァッタナナンポン |
製作国 | タイ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
タイの国体で優勝したバレーボールチーム“サトリーレック”だったが、ノンが高額のギャラと引き換えにライバルチームに移籍した。
そのチームは快進撃を続け、ノンは時の人となってテレビ番組でサトリーレックの悪口を言ってしまう。
ジュンは怒り、チームを立て直そうと引退して中国に渡ったピアに協力を求めるのだった。
登場人物&出演者
・ジュン(演:チャイチャーン・ニムプーンサワット)
サトリーレックのメンバー。国体で優勝するもノンが抜けてから敵対心を強く持ってしまう。
チャイチャーン・ニムプーンサワットは代表作に『Pop weed sayong』などがあります。
男問題で軍隊をクビになり、レストランを開いて働く場所を用意するも裏切られて許せない。
勢いがなくなっていたチームを盛り上げるべく、中国に渡っていたピアを誘うと考えつく。
大学時代は自分をゲイだと公言し、同じ境遇のモンなどの仲間を見つけてチームに誘う。
最後はノンと仲直りするも決勝戦で負けるが、チームが再び一つになった事で満足していた。
・ノン(演:ジョージョー・マイオークチィ)
サトリーレックの元メンバー。大金を積まれて『ディップ・オーソット』に移籍している。
ジョージョー・マイオークチィは代表作に『アタック・ナンバーハーフ』があります。
ディップ・オーソットではキャプテンを務め、サトリーレックとは非常に険悪な仲になる。
実はレストランの儲けを男に貢いでしまい、それを知ったジュンによってクビにされた。
大学時代はゲイだと認めなかったが、ジュンの言葉で心を変えて本当の自分を見つけ出す。
最後はジュンと和解し、ディップ・オーソットと接戦で負けるが、絆を取り戻して満足した。
・チャイ(演:ジェッダーポーン・ポンディー)
サトリーレックのメンバーでキャプテン。弱体化したチームを再興するべくピアを再び誘う。
ジェッダーポーン・ポンディーは代表作に『I Miss U』、『Deep in the Jungle』がある。
ゲイで結成されたチームだとテレビで宣伝され、妻がそう信じて実家に行ってしまう。
監督の言葉に従ってジュンとともにピアをチームに誘うべく、二人で遠い中国に向かった。
夢であった国際試合を中国で行い、ジュンとノンが仲直りして再び元のチームに戻した。
最後はディップ・オーソットと対戦し、ケガしたノンをカバーするなど活躍を見せた。
・ピア(演:ゴッゴーン・ペンジャーティグーン)
サトリーレックの元メンバー。恋人を別れてしまい、単身中国の田舎へ引っ越していた。
ゴッゴーン・ペンジャーティグーンは代表作に『アタック・ナンバーハーフ』があります。
サトリーレックの調子を戻すべく、ジュンたちがワザワザやって来る事を快く出迎える。
中国ではスター的なショーダンサーになっていて、恋人に地元でスポーツ・クラブの会長。
その縁でサトリーレックは国際試合をして、そのおかげでジュンとノンは仲直りした。
最後はディップ・オーソットと対戦し、持ち前の変化球サーブを使って活躍した。
・モン(演:サハーパープ・ウィーラカーミン)
サトリーレックのメンバー。バレーをしながらジュンとともにレストランを開店させている。
サハーパープ・ウィーラカーミンは代表作に『アタック・ナンバーハーフ』があります。
勝てなくなっているチームの為にジュンがピアを誘う提案をするが、店の経営を優先する。
大学時代ではジュンよりも先輩だったが、同じ境遇という事で親友のような関係になる。
最後は帰ってきたノンや三つ子たちを出迎え、ディップ・オーソットとの対決で奮闘した。
・ウィット(演:アピチェート・ウォンカウィー)
サトリーレックのメンバー。国体で優勝してから両親と別れ、自分の道を突き進んでいた。
アピチェート・ウォンカウィーは本作が長編映画デビュー作となります。
大学時代はジュンたちの先輩として厳しい練習に付き合っていたが、実はゲイだと告白した。
険しい道をたどったジュンたちと違い、知り合いのパイロットに頼んで空路でピアの元に。
最後はサトリーレックが再びチームとしての絆を取り戻し、影ながらも活躍した。
・ビー(演:シリタナー・ホンソーポン)
国体でサトリーレックを優勝に導いたオナベの監督。ノンがチームを抜けた事を残念に思う。
シリタナー・ホンソーポンは代表作に『アタック・ナンバーハーフ』があります。
調子の落ち込んでいたチームを盛り上げるべく、チャイにピアを誘うように頼み込んだ。
ウィットのおかげでテスト中の空路でピアのところにジュンたちよりも先に到着していた。
仲違いしていたジュンとノンたちをなんとか仲直りさせるべく、その機会を作ろうとした。
最後はディップ・オーソットとの対戦で敗れるが、チームが一丸となった事で笑顔で終わる。
・アン(演:ハティアート・ジャロエンカイチャナ)
大学時代のバレーボールチームのマネージャー。レズビアンで女性マネージャーと付き合う。
ハティアート・ジャロエンカイチャナは代表作に『Koo tae patihan』などがあります。
両親に自分がレズビアンと告白できず、ずっとお見合相手を紹介されてうんざりしている。
ジュンたちと出会って体と性の不一致を認め、ついに両親へ告白してスッキリする。
その後、民主化に反対する団体に抗議する運動に参加し、アメリカ留学して以来音沙汰なし。
最後はアメリカからの手紙で、白人の夫と子供がいて、みんなの嫉妬を集めてしまう。
感想
個人的な評価
本作は大ヒットしたゲイで結成されたバレーボールチーム『サトリーレック』の実話を描いた作品の続編となります。
前作は完全なる実話ベースでしたが、本作はオリジナルのストーリーとなっています。
とは言っても、完全なるフィクションではなく、実話のエピソードを交えた構成となります。
当時は話題となったゲイによるバレーボールチームはタイ国内はもちろん、日本でもかなり話題となりました。
前作では差別を受けていたゲイたちが優勝するというサクセスストーリーだったが、本作は過去を振り返る物語となっています。
非常に分かりやすいスポ根ドラマとなった前作と違い、サトリーレックのゲイたちがどのように出会ったのか描かれている。
やはり、彼らは差別を受けたり、イジメを受けたり、本当の自分を見出せなかったりと、全員が悩んでいたのが分かる。
現代社会でもゲイを含めたLGBTの人たちはなかなか理解されず、苦しい思いをしています。
いくら彼らに対する偏見がひと昔よりも良くなったとは言え、場所によっては未だにLGBTの存在を認めない人も多いでしょう。
これは実際に身の回りにそう言った人たちがいないと分からないし、彼らがどんな思いを抱いているのか分かりません。
ですが、そんな環境でも彼らがお互いを支えにして強く生き、誰よりも楽しく人生を過ごしているのが素晴らしいと言えます。
あれだけのエネルギッシュなテンションこそ、男性や女性にはないモノで、それこそ彼らに許された存在感だと思います。
前作ではバレーボールの試合はオマケ程度だったが、本作はかなり工夫されて、短いカット割りで迫力を演出している。
ただ、ちゃんと観るとバレーボールとしての試合は迫力がなく、あくまで本作は登場人物のドラマが中心だと分かります。
特に本作ではジュンとノンの確執がメインとなっていて、頑なにお互いを牽制するが、仲直りした時の感動は悪くないです。
本作はフィクションであるけど、サトリーレックが全国優勝した一回だけをきちんと守り、ちゃんと本作で負けている点もいいと思います。
決勝戦には惜しくも負けてしまうが、彼女たちがそれ以上のモノを得て、笑顔で終わったのは納得できる構成でした。
前作から感じた事ですが、人はやっぱり「愛嬌」があれば、どんなに微妙な容姿でも可愛く見えてしまう。
それは常に明るく振る舞っていたジュンから分かる事で、彼女はいつも笑っていて、愛嬌を振りまく仕草は可愛らしく見える作品でした。