セーラー服と機関銃/卒業 RE-2293

作品紹介

公開年月  2016/03/05
ジャンル  ドラマ/青春/ヤクザ
原作  赤川次郎 『セーラー服と機関銃・その後』
監督  前川弘二
脚本  高田亮
製作  堀内大示、芦田健、下田淳行、ほか
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

一度は弱小ヤクザ“目高組”の組長をやる事になった星泉。
高校三年生となった今では組は解散し、商店街にある“メダカカフェ”の店長になっていた。
そんな中、巷では浜口組を傘下に収める堀内組が暗躍し、泉の街が壊されようとした。
任侠道に反する堀内組のやり方に反発した浜口組・幹部の月永に協力を求められ、泉はかくしてヤクザの世界へと戻る事になるのだった。

登場人物&出演者

【目高組】

星泉(演:橋本環奈)
主人公。目高組の組長であった星嗣夫の姪。協定により目高組を解散させている。
橋本環奈はアイドルとして活躍し、本作が映画初主演でデビュー作となっています。
本作が女優としてのデビュー作であるけど、思っていた以上に堂々とした演技でした。
もう少し下手だと思ったら、ちゃんとしているので、これは予想外の頑張りだったと思う。
しかし、大前提として設定にムリがあるのに、橋本環奈で更にムリが出ています。
薬師丸ひろ子、長澤まさみはそれなりに絵となるが、橋本環奈では浮いてしまっている。
どう見ても子供にしか見えず、シリアスなヤクザの世界では完全に合っていなかった。
演技はそれなりに出来ただけに、本作自体が彼女のイメージに合っていないのが残念です。

土井(演:武田鉄矢)
組員。先代から信頼を寄せる古株。泉を一番大事に思う父親のような存在。
武田鉄矢は近年の出演作には『振り子』、『くじけないで』などがあります。
途中でいなくなるけど、クライマックスに合流して恩返しをする。

裕次(演:大野拓朗)
組員。若者らしい立ち振る舞いで、リーゼントがトレードマーク。
大野拓朗は代表作に『インシテミル/7日間のデス・ゲーム』があります。
以前は浜口組の組長の車に立ちションをして、目高組の先代に助けられた。

晴雄(演:宇野祥平)
組員。スキンヘッドと口ヒゲと、まさにヤクザというキャラクター。
宇野祥平は数多くの作品に出演し、近年は『セトウツミ』、『二重生活』があります。
以前は父親と石鹸工場を経営していたが、潰れて裕次に拾われる形で組に入った。

【浜口組】

浜口(演:伊武雅刀)
組長。絶対的な力を持つ堀内組の前で素直に頭を下げて傘下に下る。
伊武雅刀は近年の出演作には『ミュージアム』、『後妻業の女』などがあります。
目高組とは協定を結んでいたが、あっさりと捨てる仁義のない器の小さい男。

月永(演:長谷川博己)
若頭。インテリヤクザであり、独自の情報網から堀内組の暗躍を知る事になる。
長谷川博己は近年の出演作には『シン・ゴジラ』、『二重生活』などがあります。
あっさりと堀内組の傘下に入った組長を見限って組を出て行きます。
最初は目高組の敵っぽい演出だが、仲間になるなら心強い味方だと言えます。

【ホリウチ都市デザイン】

安井(演:安藤政信)
ホリウチ都市デザインの社長。各地方の街を食い物にするヤクザ。
安藤政信は近年の出演作には『花芯』、『貞子vs伽椰子』などがあります。
頭のネジが外れているようで、ぶっ飛んだ言動の中に知的な部分を見せている。
やはり、こういうイカレたキャラクターは安藤政信が上手いと分かります。

真淵(演:古館寛治)
刑事。目高組とは知り合いだったが、ホリウチ都市デザインと繋がっている。
古館寛治は様々な作品に出演し、近年では『淵に立つ』があります。
浜口組に嫌気が差して堀内組に寝返るも、最後は裏切ろうとして安井に撃たれる残念な人。

くさかべ(演:鶴見辰吾)
市長選の候補者。肩書きでは食品会社社長だが、実は堀内組の介護施設で働いていた。
鶴見辰吾は近年の出演作には『シン・ゴジラ』、『はなちゃんのみそ汁』などがあります。
食品会社を潰して堀内組に拾われ、口達者という事で市長候補となった。

感想

個人的な評価

本作最大の注目は角川映画40周年記念作品ではなく、橋本環奈のデビュー作である。
インターネットに投稿された「奇跡の一枚」と言われた写真でブレイクする。
アイドルとして絶大な人気を誇り、福岡を拠点に活躍している人気アイドルです。
それが映画初主演にしてデビュー作を飾ったのが、伝説的なアイドル映画である本作。
もう何度も実写映画化された使い古したネタなので、基本的に新鮮味はない。
女子高生が機関銃を持つ衝撃的なシーンは本作ではインパクトがない。
そんな事よりも、完全に橋本環奈ではイメージに合っていないのが最大のミスです。
どうやら、権力者にゴリ押しされてのキャスティングで、本人も断れなかったのだろう。
橋本環奈は演技自体が悪くないので、単純に作品が彼女に合っていなかったです。
で、肝心のストーリーは中盤まで意外にも悪くない印象を持ちました。
普通の女子高生と実はヤクザでした、という流れは上手く活かされていたと思います。
しかし、本作の盛り上がるヤクザの抗争が始まった場面から左肩下がりになる。
撃ち合いとなるシーンでは、誰がどこの組か分からず、何が起きているのかサッパリです。
前川弘二監督はアクションの撮り方がヘタクソとしか思えないほど演出がクソです。
それで、ここを起点に作品がクソになっていって、シリアスな展開の中で橋本環奈は更に浮いてしまうのです。
武田鉄矢はもはや存在がギャグ、シリアスをやる長谷川博己は逆に浮く、安藤政信は暴れるのに最期が呆気ない。
すべてにおいて本作は迷走していて、後半になって強引に収束させているのも痛い。
角川映画40周年記念作品なのにクソ映画並みの内容では浮かばれない。
やっぱり、邦画業界は大人の事情が先行するビジネスであり、作品など二の次となる。