ミラクルバナナ RE-2265

作品情報

公開年月  2006/09/16
ジャンル  ドラマ
原作  なし
監督  錦織良成
脚本  錦織良成
製作  鈴木大介、日向武夫
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

大使館派遣員としてハイチ共和国に赴任した幸子は、政情が不安定で貧困にあえぐ国民の姿を目の当たりにする。
貧しくて学校にも通えないばかりか、紙が貴重なためノートすら買えない子供も多い。
そんなある日、捨てられたバナナの木から紙ができる事を知った幸子は、バナナの紙を作るプロジェクトを立ち上げるのだった。

登場人物&出演者

三島幸子(演:小田山サユリ)
主人公。当初はタヒチへの派遣あと思っていたが、実際はハイチという天然ぶりを発揮する。
小田山サユリはテレビドラマや映画で活躍し、近年は『女が眠る時』に出演しています。
タヒチをハイチと間違えても気にせず、電気が切れても、銃声があっても気にしない。
そんな図太い神経を持っているからこそ、本作で壮大なプロジェクトを立てられると思う。
日射しの強いハイチではノースリーブを着ているが、半年もいるのに色白に違和感。
演技について上手くない部分が目立ち、特にセリフがないシーンはかなり微妙だった。

フィリップ(演:アドゴニー)
大使館では現地職員として幸子とは良き話し相手になってくれる人物。
アドゴニーはファニエスト外語学院で活躍し、タレントとしても活動しているらしい。
本作ではバラエティ番組で見せるコミカルなキャラクターとはまったく違う真面目な人物。
フランス語もネイティブだから当然上手く、俳優としての演技も無難にこなしていました。
小田山サユリの微妙な演技とは違い、経験が浅いのに無難な立ち回りをしている。
バラエティ番組のアドゴニーとは別人と思えるほど、現地職員という感じがしました。

中田享輔(演:山本耕史)
大学院生。バナナの紙を作る上で幸子のプロジェクトを手伝う事になる。
山本耕史は近年の出演作には『劇場版/びったれ!!!』、『ギャラクシー街道』があります。
教授の忙しく代わりにやって来るが、ハイチの治安に多大な不満を持っている。
淡々となんでも受け入れる幸子とは違い、ちゃんとリアクションしてくれています。

松井康弘(演:津田寛治)
日本大使館職員。いつも無愛想で仕事に追われ、幸子の考え方に賛同できない。
津田寛治はテレビドラマ、映画、舞台、それに吹き替えなど幅広く活躍しています。
まさに仕事人間な日本人という感じであり、大使館の職員としての業務をこなしている。

山村たか士(演:緒形拳)
和紙職人。昔からの職人という感じで、黙々と作業をしていく。
緒形拳は日本アカデミー賞で数々の賞を受賞し、大きく貢献したベテラン俳優でした。
当初はハイチ行きを拒んでいたが、幸子たちの熱意に負けて現地へと飛ぶ事になる。
さすがはベテラン俳優の演技力には深みがあって、手つきも本物の職人だと思わせる。

感想

個人的な評価
本作は舞台がハイチとなっているが、現地の撮影は隣のドミニカ共和国で行われている。
監督と脚本を務めた錦織良成は、書店でバナナの紙でできた絵本をつけたところから企画が始まったという。
その中でバナナの紙ができる過程に惹かれ、錦織良成監督は関係者に取材しています。
更にハイチでの情勢も考慮した本作は、紙を作るだけに限らず、不安定な社会についても言及しています。
日本の裏側にある同じ島国でありながらも、日本とは違って社会が不安定なハイチ。
そこにいる人々は逞しく生きているが、基本的な教育や資源不足に悩まされています。
主人公である幸子はタヒチをハイチと間違える天然だけど、だからこそ現地でも馴染める。
こんな人は日本では天然で片付けられるが、ハイチのような国では必要な人物だと言えます。
幸子の前向きな行動は自然と人々を引きつけ、いつしか国家プロジェクトにしていく。
基本的に本作は淡々と物語が展開していくので、伝記映画にも通ずるところがあります。
バナナの木から紙を作るのがゴールで、それに向かって物語が進んでいくだけ。
本当なら色々と問題に直面していたはずだが、本作ではかなり端折っている。
伝記映画は淡々とゴールに向かった進むだけで、緩急や抑揚がほとんどないので、本作も余計な仕掛けがなく平坦に進んでいく。
最初に行動を起こしたのは幸子だが、その後のプロジェクトは専門家たちに任せている。
だからクライマックスでは彼女の存在が消えてしまったのは残念でならなかった。
あとは物語が平坦すぎて、途中で起きるちょっとした暴動も取って付けたように感じられるのは残念に思えた。
ただ、世界各地の貧困国には実際にボランティアで日本人が多く派遣され、現地の人たちを助けています。
なぜが最近のテレビ番組はそのような人たちを取り上げているが、本作よりもドラマチックに物語がバラエティ番組でも観られるという皮肉があります。