作品紹介
公開年月 | 2016/10/22 |
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ジャンル | コメディ/ヒューマンドラマ |
原作 | 内村光良 『東京オリンピック生まれの男』 |
監督 | 内村光良 |
脚本 | 内村光良 |
製作 | 村田嘉邦、岩田天植、ほか |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
東京オリンピックの年に長野県塩尻市生まれた秋田泉一は、小学生の時に運動会の徒競走で一等賞となる。
それ以来、泉一はあらゆるジャンルで一等賞を獲りまくり“塩尻の金メダル男”と呼ばれるようになっていた。
ところが中学生になってから一等賞が獲れなくなってしまい、高校で巻き返しを図るも上手くいかない。
しかし、それは金メダルに取り憑かれた秋田泉一の波瀾万丈な人生の幕開けとなるのだった。
登場人物&出演者
・秋田泉一/壮年期(演:内村光良)
主人公。何をしても上手くいかず、世界に出て一番を目指そうと体を鍛えていた。
内村光良は近年の出演作に『内村さまぁ~ず/THE MOVIEエンジェル』、『西遊記』がある。
手漕ぎボートで太平洋横断に挑戦するが、嵐で転覆して無人島にたどり着く事になる。
そこで今まで培ってきた技術や経験を駆使して、必死に生き延びて一躍有名人となった。
しかし、それも長く続かなかったが、マネージャーだった頼子と出会って結婚する。
最後はプロのカメラマンとなるが、息子が徒競走で一番になり、ゴルフで金メダルを目指す。
・秋田泉一/青年期(演:知念侑李)
主人公。常に一番を取っていた事で中学に入学する前から「神童」として注目される。
知念侑李は代表作に『NIN×NIN/忍者ハットリTHE MOVIE』、『坂道のアポロン』がある。
あらゆる部活から勧誘され、水泳部では息継ぎなしの「無呼吸王」と呼ばれるようになる。
大会の選抜メンバーを決める時、異性の存在で集中力を見出して転落人生が始まる事に。
高校生になって表現部で人気を得るが、引退して再び冴えない日々を送っていく。
東京に出て一番を目指すも叶わず、今度は世界に出て一番を目指すべく戦いを挑む。
・亀谷頼子(演:木村多江)
泉一のプランニングマネージャー。各地の講演やテレビ出演などの仕事を管理する。
木村多江は代表作に『ぐるりのこと。』、『東京島』などがあります。
実は過去に北条頼子という芸名で歌手として活躍し、泉一を励ました張本人だった。
それについて「若気の至り」と片付けるが、酒を飲んで後悔の念を愚痴っていた。
泉一と同じように一番になれなかった過去を持ち、共感して結婚する事になる。
その後は泉一を陰から支え、落ち込んでいた彼を励まし続けた良き妻である。
・秋田留一(演:平泉成)
泉一の父親。房江とは同じデパートの紳士服売り場で働き、そこで出会っている。
平泉成は近年の出演作に『シン・ゴジラ』、『はなちゃんのみそ汁』などがあります。
泉一が小学生になった頃、房江とは仲違いしており、時々、どこかへ一人旅をしてしまう。
東京で一番を目指そうとする泉一を明るく送り出して、彼の成功を信じていた。
交通事故でケガした房江の看病し、退院する日に信号で車を止める姿が泉一に焼き付く。
・秋田房江(演:宮崎美子)
泉一の母親。デパートでの旅行先である白骨温泉で留一と意気投合し、そのまま合体した。
宮崎美子は近年の出演作に『植物図鑑/運命の恋、ひろいました』、『ピンクとグレー』などがあります。
何度も勝手に一人旅する留一との離婚を考えるが、結局はそのまま結婚生活を送っていた。
東京で一番を目指そうとする泉一の可能性を信じて、彼が自由に生きる事を応援した。
交通事故で入院するが、見舞いに来た泉一を心配させないように温かい笑顔で出迎えた。
・秋田泉一/少年期(演:大西利空)
主人公。それまでイジメめられる対象だったが、徒競走で一番になって金メダルに目覚める。
大西利空は代表作に『悼む人』、『ぼくのおじさん』などがあります。
常に全力を出し切って破竹の勢いで一等賞を取っていき、周囲から認められるようになる。
将来の夢が「一等賞」という漠然すぎる言葉に担任の川原先生を呆然とさせてしまう。
・村田俊太郎(演:ムロツヨシ)
劇団「和洋折衷」の代表。公演での練習風景を見ていた泉一をすかさず勧誘した。
ムロツヨシは近年の出演作に『銀魂』、『疾風ロンド』などがあります。
この劇団で天下を取ろうという意気込みを持ち、それに共感した泉一は入団を決める。
劇団員と恋愛していた泉一を諫めるが、実はゲイで単純に嫉妬していただけだった。
しかし、自分の誘いを泉一が断り、ニューヨークへ行くと決意して劇団を解散させた。
数年経って、オネェタレントとしてお昼のテレビ番組に出ているところを泉一が見つける。
感想
個人的な評価
本作は内村光良による原作、脚本、監督、主演を務めた作品となっています。
内村光良にとって監督として三作目の作品であり、元ネタは一人舞台『東京オリンピック生まれの男』である。
個人的にはお笑い芸人、特にコント職人のイメージが強い内村光良ですが、役者としては特筆した部分はない印象です。
同じくお笑い芸人で映画を撮るビートたけし、松本人志、品川ヒロシと比べて、あまりアクがないイメージでもあります。
その分、クセが強く人を選んでしまう作品ではない点では上記の方々と少し違います。
そんな本作は内村光良と、アイドルグループ「Hey! Say! JUMP』の知念侑李とダブル主演となっています。
本作の特徴として、ヒューマンドラマというよりは、一人の男の人生をダイジェストで語っているような構成です。
伝記映画に近い要素を持っているので、淡々と時系列に並べたエピソードを消化していく。
青年期では知念侑李が主人公を演じ、壮年期では内村光良が主人公を演じる内容です。
基本的に本作の主人公は典型的な神童から、徐々に落ちぶれて、結局は中途半端な人生になるという良く聞くような感じです。
これに関して、成功している人には面白くないかもしれないけど、主人公と同じような境遇の人にとっては共感する部分が多いでしょう。
小さい頃から色々と手を付けてきて、器用にこなしていたが、大人になってから全部が中途半端になってしまう人。
これについては他人事に見えず、なんだか自分を見ているような印象を持ちました。
本作では一応の成功を収めた主人公が過去を振り返っていくスタイルだが、そのピークがなぜか中盤過ぎで迎えてしまった。
何をやっても一番になれなかった主人公が無人島で遭難し、それまで得た技術と経験で乗り切っていく展開は面白いと思いました。
本来ならば、ここで終わるべき部分だが、その後も続いていくので、なんだかダラダラした感じになりました。
蛇足というワケじゃないが、せっかく金メダルに目覚めたところから始まっているので、その集大成となった無人島での遭難がピークになっている。
その後はなんだか過去が無意味になってしまい、再びスポットライトを浴びる事になったカメラマンの伏線が非常に弱いです。
やはり、過去から振り返っているならば、それと関連したクライマックスが欲しいところ。
これが無人島で達成してしまったので、どうしても残りの部分が余計に感じてしまう。
それでも知念侑李の演技も良かったと思うし、内村光良も50歳を迎えても体を張った演技をしていたのは良かった。
映画としての構成はあまり上手くないが、伝えたい事がちゃんと伝わる意味では及第点の作品だと思います。