作品紹介
公開年月 | 2017/03/31 |
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ジャンル | SF/アクション |
原作 | 士郎正宗 『攻殻機動隊』 |
監督 | ルパート・サンダース |
脚本 | ジェイミー・モス、ウィリアム・ウィーラー、ほか |
製作 | アヴィ・アラッド、アリ・アラッド、ほか |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
電脳ネットワークと肉体の義体化が高度に発達した近未来、世界最強の捜査官・少佐は悲惨な事故から生還し、脳の一部を除いて全身が義体化された。
少佐はタフで有能な精鋭メンバーを擁する公安9課を率いて、凶悪なサイバーテロ犯罪に立ち向かっていた。
ある時、ハンカ・ロボティックス社の関係者が殺される事件が発生し、捜査を進めるうちに少佐はクゼという凄腕ハッカーが浮かび上がる。
クゼを追っていく捜査の中で、少佐は自分の脳に残されたわずかな記憶に疑念を抱くようになるのだった。
登場人物&出演者
・ミラ・キリアン少佐/草薙素子(演:スカーレット・ヨハンソン)
主人公。テロ事件で体と両親を失い、ハンカ・ロボティックス社により義体で蘇生した。
スカーレット・ヨハンソンは近年の出演作に『SING/シング』、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』などがあります。
過去の記憶や肉体を失った事で人間としてのアイデンティティに疑問を持っている。
ようやくクゼを追いつめるが逆に捕まり、彼も自分と同じだが会社から見放されたと知る。
わずかに残った記憶や素性がすべて作られたモノだとオウレン博士から聞かされる。
最後は自分が家出少女でハンカに捕まった家でカッターの襲撃を受けるが9課に助けられた。
・バトー(演:ピルー・アスベック)
公安9課の同僚。少佐と相棒のような関係だが、基本的に人間嫌い。野良犬にエサを与える。
ピルー・アスベックは代表作に『LUCY/ルーシー』、『ベン・ハー』などがあります。
クゼを追う際に爆発によって両眼を負傷し、その代わりとして義体化した義眼を装着する。
上からの命令を忠実に遂行する一方、疑念を抱いている少佐に対しても共感をしている。
9課がハンカによってハメられたと荒巻からの連絡が入り、刺客たちを難なく倒した。
最後は少佐を処分しようとしたカッターの送り込んだ多脚戦車の襲撃から助け出す。
・トグサ(演:チン・ハン)
公安9課唯一の生身の人間。義体化を毛嫌いし、気楽にやっている同僚たちに呆れている。
チン・ハンは代表作に『ダークナイト』、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』などがあります。
ハンカにハメられたと荒巻から連絡が入り、食事している時に襲われるも返り討ちに。
・荒巻大輔(演:ビートたけし)
公安9課の課長。主に9課に指示を与えるが、いざという時は自ら現場に赴く事がある。
ビートたけしは近年の出演作に『女が眠る時』、『人生の約束』などがあります。
あくまで仕事として任務をこなし、総理大臣からの命令だけを忠実に遂行している。
人間の魂と義体を持った初めて成功した被験者の少佐を9課に迎え入れている。
オウレン博士の殺人犯が少佐だと主張するカッターを信じずに状況を静観していた。
最後はカッターにハメられた事を知り、犯罪者として本社に乗り込み少佐の許可で処刑した。
・ハイリ/素子の母(演:桃井かおり)
集合住宅アヴァロン・アパートに住む中年女性。1年前に娘の素子を亡くしている。
桃井かおりは近年の出演作に『ふたりの旅路』、『火/Hee』などがあります。
素性を知った少佐を温かく出迎え、彼女が娘の生まれ変わりだと知って最後は抱擁した。
・クゼ(演:マイケル・ピット)
凄腕のハッカー。ハンカ・ロボティックス社の人間を次々と殺している首謀者。
マイケル・ピットは代表作に『小説家を見つけたら』、『ヴィレッジ』などがあります。
公安9課を率いる少佐によって追いつめられるが、実は自分から接触を図っている。
その理由は自身がハンカ・ロボティックス社の被験者だが、失敗作として見放されたという。
完成された少佐の美しさに惚れ込むと同時に、ハンカの正体を話し彼女に協力を要請する。
最後は少佐とともにいた家へ戻るが、カッターの多脚戦車の襲撃と狙撃手により倒れる。
・オウレイ博士(演:ジュリエット・ビノシュ)
ハンカ・ロボティックス社の博士。少佐の義体化させ、彼女を一人の人間として扱っている。
ジュリエット・ビノシュは代表作に『イングリッシュ・ペイシェント』、『トスカーナの贋作』などがあります。
ハンカ・ロボティックス社はこれまで98人の被験者を使って実験し、その責任者を務める。
完成された少佐を愛し、彼女だけは特別な感情で接するが、クゼは失敗作だと吐き捨てる。
当然ながらクゼに命を狙われるも少佐に助けられるが、真実を知った彼女に拒絶された。
少佐の処分を下した会社の指示に背き、彼女を逃がした事でカッターに射殺された。
・カッター(演:ピーター・フェルディナンド)
ハンカ・ロボティックス社の社長。社運をかけた極秘プロジェクトを推し進めていた。
ピーター・フェルディナンドは代表作に『スノーホワイト』、『ハイ・ライズ』があります。
あくまで会社の利益を第一にして、唯一の成功者である少佐に対しても慎重な考えを持つ。
人間的な感情でクゼの味方になった少佐の処分を決定し、オウレン博士に手を下すよう指示。
しかし、オウレン博士も人間的な感情で少佐を助けてしまい、落胆するとともに彼女を射殺。
最後は少佐とクゼを多脚戦車で襲撃するが、本社へやって来た荒巻によって処刑された。
感想
個人的な評価
本作は長らく日本アニメとして絶大な人気を誇っていた作品です。
海外でもファンが多く、特に有名な話しではウォシャウスキー姉妹の『マトリックス』に多大な影響を与えました。
SFアニメとして確かな地位を築いた作品として、ハリウッドでようやく実写化されました。
ただし、ハリウッドという事で原作とは少し違ったアレンジがあるのは仕方ないと思う。
個人的な事だが、本作のレッドカーペットイベントに参加し、数人の出演者を間近で見る事ができました。
主演を務めたスカーレット・ヨハンソンだけじゃなく、日本人キャストのビートたけし、桃井かおり、福島リラなども間近で見ました。
ハッキリ言って、原作の『攻殻機動隊』は素晴らしい作品だと思うが、今回の実写映画化に関してはあまり期待していなかったです。
スカーレット・ヨハンソンはアクション女優として悪くないが、原作の主人公である草薙素子は日本人なので、どうしても違和感がありました。
しかし、これはハリウッドで実写化する日本アニメや漫画の宿命なので仕方ないでしょう。
物語としては『攻殻機動隊』の世界観をベースにして、主人公である少佐の素性と彼女を作り出した会社の陰謀が中心となっています。
その為、一見して分かりにくい構成になっていて、原作を知らない人だとかなり不親切な内容だと言えるかもしれません。
まず、本作は独自の近未来の世界が当たり前の前提で進む為、ここが受け入れないと先には進めないと思います。
この第一段階をクリアしても、次は義体化と少佐の電脳ネットワークがあって、これもまた非常に分かりにくい構造となっています。
そうなってくると、世界観を理解するだけで精いっぱいとなり、主人公たちが何をしないのか途中で分からなくなってしまう。
ラストになって散在していた内容が集約され、その目的が単純化する事でようやく分かりやすい展開になりました。
ですが、そうなった時にはすでに物語が終わりに差しかかっていて、多脚戦車というアクション性の高い場面が出てきます。
全体的に物語はシリアスで地味な展開であって、世界観も今一つ伝わらないせいか、なんだか映画に入りきれないところがありました。
ただ、主人公の少佐を演じたスカーレット・ヨハンソンは原作を抜きにして、さすがにアクション女優の地位を築いているだけに存在感があった。
特に義体化されたという事で感情はなるべく抑えていて、必要な場面でちゃんと出した時には非常に効果的だったと思います。
あとは人気の高いバトーを演じたピルー・アスベックも原作に最も近い感じだが、本作ではかなり人間臭い設定も悪くなかったです。
そんな9課の中で指示を飛ばす重要な役である荒巻をビートたけしが演じています。
確かに大物という意味ではビートたけしの起用は分かるが、そもそも彼の演技は上手くない上に滑舌が悪いからテンションが落ちる。
どうせなら、もっと演技が上手くて滑舌の良い日本人以外のキャストでも良かったと思う。
物語全体としてアクション性よりもサスペンスを重視した結果、ずっと地味な印象です。
どこか『ブレードランナー』のような世界観ながら、そこで生きる登場人物に魅力があまりないのが痛いところであった。
原作は元々がカルト的な人気を博していただけに、本作もその流れをくみ取ったばかりに地味な内容になってしまった。
やはり、実写映画化するならば、もっと思い切ったアレンジにして、派手なアクションを取り入れるべきだったと思います。
中途半端に原作への敬意を持った分、地味な作品になったのは非常に残念だと言えます。