作品紹介
公開年月 | 1996/03/02 |
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ジャンル | ホラー |
原作 | なし |
監督 | 中田秀夫 |
脚本 | 高橋洋 |
製作 | 仙頭武則、小林広司、ほか |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
監督デビュー作の撮影中、ラッシュフィルムに一本の未現像フィルムが混じっていた。
その中に謎の女が映っていたが、そのフィルムは昔、製作中止になった作品だと判明する。
しかし、そのフィルムを見てしまった時から次々と撮影現場に奇怪な出来事が起こり始めると、ついに死人が出てしまうのだった。
登場人物&出演者
・村井俊男(演:柳ユーレイ)
主人公。映画監督デビュー作の為に撮影を懸命にこなす。主演の黒川ひとみは憧れの存在。
柳ユーレイは代表作に『3-4X10月』、『呪怨』シリーズなどがあります。
デビュー作として撮影をしていて、頼りになる葉山のおかげで黒川ひとみにも会えた。
新人の沙織を立派な女優にするべく撮影をするが、彼女の転落死で中止を迫られてしまう。
フィルムの映像で幼少期に見たモノだと判明するも引き下がらず、強引に撮影を進めた。
最後は天井裏でフィルムの女を見てしまい、そのままどこかへと連れ去られてしまう。
・黒川ひとみ(演:白島靖代)
有名な女優。村井の映画監督デビュー作の為に葉山のオファーを受けて主演として参加する。
白島靖代は代表作に『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズ、『会社の怪談』シリーズなどがあります。
実は事務所での移籍問題が浮上していて、そのせいで社長から厳しい態度を取られている。
個人的にオファーを受けたせいで社長が現場に来るが、フィルムの女を見てなぜか帰られる。
過去の役で撮影が終わっても抜け出せず、しばらく映画の役と私生活が混同していたという。
最後は行方不明になった村井のアパートに行くが、フィルムの女が鏡に映っても気付かず。
・村上沙織(演:石橋けい)
新人の女優。村井の映画監督デビュー作とともに有名な女優にするべく指導を受けていた。
石橋けいは代表作に『右向け左!自衛隊へ行こう』、『ハード・コア』などがあります。
当初は緊張して演技もままならなかったが、次第に撮影現場に慣れてひとみと対等に演じる。
村井に対して気さくな態度で接し、考え込んでいる彼に無邪気にも手を振っていた。
まだ若いせいもあって、現場に慣れすぎてしまい、村井が助監督から指摘されていた。
最後は天井裏から村井に手を振るが、フィルムの女に突き飛ばされて転落死をしてしまう。
・葉山勝(演:菊池孝典)
プロデューサー。デビュー作となる村井の為に駆けずり、資金集めや出演者をオファーする。
菊池孝典は代表作に『高校教師』、『シベリア超特急』などがあります。
現場に慣れない新人の村井を叱咤激励し、順調に進んでいく撮影に満足な表情を浮かべる。
フィルムに別の映像が映ると困惑しつつ撮影を続行させるも、沙織の転落死で状況が変わる。
村井の要望でフィルムについて調べるが、このまま映画は中止するべきだと話していた。
最後は行方不明の村井のアパートに来るが、異様なひとみの写真を見て黙って回収していた。
・大谷(演:大杉漣)
ベテランの撮影カメラマン。現場では撮影の際に指示を出して完璧な環境を作り出している。
大杉漣は晩年の出演作に『恋のしずく』、『教誨師』などがあります。
新人の監督である村井に期待していて、絵コンテ通りに進めない方が大物になると話した。
フィルムに別の映像が映っていると編集室で確認し、処分されていない事に疑問を持つ。
撮影中に沙織が転落死してしまうが、何もできずにただその状況を見るしかできなかった。
最後は撮影が再開されるも主演のひとみや代役の予定にない演技が展開されても映していた。
・六さん(演:高橋明)
撮影所で長らく勤めるベテランの映像編集者。撮影所についての歴史を知る数少ない人物。
高橋明は代表作に『グローウィングローウィン』、『日曜日は終わらない』などがあります。
試写会でフィルムに別の映像が映っていると村井に相談され、一人で確認作業をしていた。
村井が確認にやって来ると、気味が悪いという理由から勝手に燃やしてしまっていた。
最後は再び来た村井に女の声が聞こえたと言って、他のフィルムを燃やすべきだと主張した。
・フィルムの女(演:李丹)
村井が映画監督デビュー作の為に撮ったフィルムの中に映った映像で不気味に笑っていた。
李丹は代表作に『不法滞在』、『輪舞曲/rondo』などがあります。
何度検証しても正体不明となっていて、ロケバスや撮影所の天井裏から出没していた。
その正体はドラマのキャラクターで実在しなかったが、いつの間にか存在するようになる。
村井は幼少期にその存在を見ていたが、実はずっと取り憑いていたような状況だった。
最後はひとみに化けて村井を天井裏に誘い出し、笑いながら彼をどこかへ連れ去ってしまう。
感想
個人的な評価
本作は後にジャパニーズ・ホラーの先駆者となる中田秀夫監督のデビュー作となります。
世界的に認められた『リング』とは違い、本作に関してホラー映画としての評価はあまり良くないようです。
現在のジャパニーズ・ホラーは貞子や伽椰子と言ったキャラクター主導で、アメリカン・ホラーとは違った方向性を示しています。
ジャパニーズ・ホラーが大ヒットして世界的に知られるのは『リング』からですが、実は本作が元祖だと言われています。
しかしながら、本作は元祖と言われているだけで、実際はそんなつもりで中田秀夫監督は作ったというワケじゃないようです。
結果的に「元祖」と言われているが、今のジャパニーズ・ホラーと比べて怖さはかなりマイルドで初心者でも簡単に入っていけると思います。
昔のバラエティ番組に多くあった心霊現象を扱った感じで、フィルムに無関係な女性が映っているというところから始まります。
同一ジャンルの作品というのは、成熟期を迎えてくると世界観や設定が複雑になるが、本作は単純で分かりやすい展開だと言えるだろう。
その為に現代のジャパニーズ・ホラーで目が肥えてしまっている人には物足りないでしょう。
ハッキリ言って、本作が「元祖」として扱われている事に少しの不満を持っていて、やはり『リング』からがジャパニーズ・ホラーが始まっていると感じました。
あくまで本作は参考程度として考えるべきで、これをジャパニーズ・ホラーの「元祖」として扱うのは違うと思います。
一部では崇拝的に本作を「元祖」として紹介しているが、個人的には結果的な形でジャパニーズ・ホラーの枠に入っているが、決して「元祖」じゃないという印象です。
全体的に邦画のダラダラした展開も怖さとは対極的で、主人公を演じる柳ユーレイの演技も下手なせいで引き込まれるほどじゃなかった。
ジャパニーズ・ホラーを語る上で必要不可欠な作品として鑑賞したが、残念ながら本作はそこまで多くを語るほどじゃなかったです。
ただ、それでもジャパニーズ・ホラーの原点とも言える雰囲気や想像での恐怖を演出させるところは悪くなかったと思います。