ビッグ・アイズ RE-2456

作品紹介

公開年月  2014/12/25
ジャンル  ドラマ/伝記
原作  『ビッグ・アイズ』シリーズを巡る実話
監督  ティム・バートン
脚本  スコット・アレキサンダー、ラリー・カラゼウスキー
製作  ティム・バートン、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

1958年、女手一つで娘を育てる為にサンフランシスコのノースビーチで似顔描きを始めるマーガレットは、そこで口が上手く社交的なウォルターと出会う。
ある日、マーガレットの描く大きな瞳の大きな子供の絵が、ひょんな事から世間の注目を集めるようになる。
ウォルターをそこに目をつけ、“ビッグ・アイズ”を自分の絵と偽り売るが、マーガレットは抗議するも言いくるめられてしまう。
それ以来、派手に遊び回るウォルターの陰で黙々と絵を描き続けるマーガレットは、意を決して絵の作者だと世間に公表するのだった。

登場人物&出演者

マーガレット・キーン(演:エイミー・アダムス)
主人公。内気で自己主張をしない。時代背景のせいで母子家庭として不安定な生活を送る。
エイミー・アダムスは近年の出演作に『メッセージ』、『バットマンvsスーパーマン/ジャスティスの誕生』などがあります。
出会ったウォルターによって、日の目を見なかった“ビッグ・アイズ”が世間の注目を集める。
しかし、実際はウォルターが描いた事になっていて、自身はゴーストペインターに。
娘や周囲にウソを貫く事に嫌気が差し、ついにはウォルターの元からハワイへ逃げ出す。
最終的に法廷でウォルターと争い、当然のように勝訴して、現在でも絵を描き続けている。
結局は気の弱さが招いてしまった事で、彼女を悲劇のヒロインと感じられなかった。

ウォルター・キーン(演:クリストフ・ヴァルツ)
マーガレットと再婚した相手。パリに一週間滞在して絵の勉強をした。主に風景画を描く。
クリストフ・ヴァルツは近年の出演作に『ターザン:REBORN』、『007/スペクター』などがあります。
実際は不動産業を営み、日曜画家として活動しているが、口達者でビジネスマンである。
終始に渡って“ビッグ・アイズ”の作者と偽るが、実際は絵を描いた事がない。
ただし、ビジネスマンとしての才能が高く、絵を有名にしたのは彼の功績だと言えます。
欲を出さず、マーガレットの作品だとしていれば、お互いに幸せな生活を手に入れたはず。
人を見た事がないが、マーガレット自身が彼そのものだと言っているから相当似ている。
特に何かを企んで閃いた時の笑う表情が悪魔の笑みに見えてしまうほど危ない人物に見えた。

ディック・ノーラン(演:ダニー・ヒューストン)
ゴシップ記事の記者。クラブでウォルターとバンドゥッチのケンカを新聞の記事にする。
ダニー・ヒューストンは近年の出演作に『ワンダーウーマン』、『PRESSURE/プレッシャー』などがあります。
ウォルターを時の人にした張本人であり、本作ではマーガレットたちの出来事の語り部。

ディーアン(演:クリステン・リッター)
マーガレットの親友。田舎から出てきたマーガレットに都会生活のノウハウを教える。
クリステン・リッターは代表作に『恋する遺伝子』、『俺たちハングオーバー!史上最悪のメキシコ横断』などがあります。
ウォルターが画廊を開催した時、マーガレットの絵がない事に不信感を抱いていた。
ようやくマーガレットが“ビッグ・アイズ”の作者だと認められ、安堵の表情を浮かぶ。

ルーベン(演:ジェイソン・シュワルツマン)
画廊のオーナー。時代は抽象画と言って、ウォルターの持ってくる風景画を突き放す。
ジェイソン・シュワルツマンは代表作に『ダージリン急行』、『ウォルト・ディズニーの約束』などがあります。
ウォルターのビッグ・アイズが話題となるも、安っぽいタッチだと見向きもしない。

ジョン・キャナデイ(演:テレンス・スタンプ)
ニューヨークタイムズの芸術評論家。テレビで“ビッグ・アイズ”とウォルターを批判する。
テレンス・スタンプは近年の出演作に『ミス・ペレグリンと奇跡のこどもたち』、『ランバート・アンド・スタンプ』などがあります。
これがきっかけでテレビに出たウォルターの“ビッグ・アイズ”が有名になってしまう。

感想

個人的な評価

本作は60年代のアメリカで一大ブームを引き起こした絵にまつわる実話がベース。
“ビッグ・アイズ”について、本作を鑑賞するまでまったく知らなかった。
しかし、当時の状況を実写映画化する事によって、その事実を知る事ができた。
これだから映画というのは素晴らしいツールだと分かる作品だと言えます。
普通にドキュメンタリーで見るとつまらないし、文字だと尚更読もうともしない。
だが、実際に映画化する事で、エンターテイメントと同時に楽しむ事ができる。
本作の主人公であるマーガレットは、まさしく職人気質なタイプの画家だと言えます。
大抵のアーティストは自分の絵の価値は自分が一番よく知っているだけに留まる。
そこから一歩、ビジネスとして成功させるアーティストはほとんどいません。
そんな中、ウォルターという自称・画家は口達者でビジネスマンとして非常に有能。
ただ、彼自身が成功だけじゃなく、すべて自分の手柄という欲によって身を滅ぼしてしまう。
マーガレットは内気で口下手、自分の絵を他人に売りつけるのは苦手なタイプ。
そこに現れたウォルターは正反対で、“ビッグ・アイズ”を売り出す才能を発揮する。
とにかく、本作では陰のマーガレット、陽のウォルターという演出が光っている。
表に出るのはウォルターの仕事、裏で絵を描くのはマーガレットという分担。
その結果、二人の仲に亀裂が生じて最後には法廷で争うまで憎しみ合う存在になる。
誰が本当の作者についてだが、法廷でやるより、両者に絵を描かせた方が解決が早い。
そう思っていただけに、法廷のシーンについては完全なる蛇足にしか感じなかった。
本来ならマーガレットが勝訴してカタルシスを得る場面だが、絵を描かせるだけで簡単に解決するとずっと思っていた。
だからクライマックスでは思ったほどのカタルシスを得られなかったのは痛い。
何よりシリアスな展開の中で繰り広げたウォルターの一人舞台は場違いに感じられた。
世の中、単純に考えれば上手くいく事も、片方の欲で歯車が狂ってしまうのは非常に残念。