作品紹介
公開年月 | 2013/02/23 |
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ジャンル | ホラー/パニック |
原作 | なし |
監督 | イサラー・ナーディー |
脚本 | コンギアット・コムシリ、チャニン・パンソン |
製作 | チャルーン・ラムプーンポーン |
製作国 | タイ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
バンコクからプーケットに向けて出発したサンセット航空の407便には、様々な事情を抱えた乗客が乗り込んでいた。
その中には新人時代にフライト中に幻覚を見てしまい、長期休暇を余儀なくされていたキャビンアテンダントのネウがいた。
ところが、407便が地上3万フィートの上空を飛行中、突然欧米人の乗客が倒れたのをきっかけに次々と怪現象が機内に起こるのだった。
登場人物&出演者
・ネウ(演:マーシャ・ワタナパーニット)
主人公。客室乗務員。新人時代にフライト中に幻覚を見て、余儀なく長期休暇をしていた。
マーシャ・ワタナパーニットは代表作に『Kwa Ja Roo Dieng Sa』、『Love on the Rocks』などがあります。
久々の職場復帰となって、同僚である王子たちと一緒に意気揚々と旅客機に乗り込む。
どう考えても一番経験が少ないのにリーダー役となるが、またも幻覚を見て明らかにヤバイ。
旅客機内で異変が起きてバンクと再会し、ケガしていた彼を看病して言う通りに動く。
最後はフェンに乗り移った先輩に殺されてしまい、幽霊となってバンクたちを見送った。
・バンク(演:ピーター・ナイト)
整備士。407便の整備を終えて帰ろうとしたが、物音を聞いて中に乗り込んで点検をした。
ピーター・ナイトは代表作に『3 A.M. 3D』があります。
旅客機が出発すると分かって降りようとするも入り口が閉められ、そのまま行ってしまう。
ようやく知り合いの副機長に助けられるが、その直後から旅客機内で異変が起きていく。
与圧システムを直し、今度は電気系統を直そうとするが、フェンの強い口調で立場を失う。
最後は暴走するフェンを倒し、墜落する旅客機を操縦してなんとか無事に着陸させた。
・ギフト(演:パッチャリー・タップトーン)
イギリスの大学に合格するも入学を拒否。パイロットスクールに通いたいと両親に訴える。
パッチャリー・タップトーンは代表作に『Heaven and Hell』があります。
誕生日で両親とともにプーケットへ行くが、常にパイロットのゲームをやっている。
旅客機内に異変が起きると存在感が消えていたが、急に女の子みたいに悲鳴を上げる。
みんなが逃げ出している時に姿をくらまし、キッチンの棚に隠れてフェンに見つかった。
最後は念願の操縦席に座るが、まさかの役立たずとなってバンクの操縦を見守って助かった。
・フェン(演:アンチャリー・ハサディーウィチット)
ギフトの母親。キャリアウーマン。教育に厳しくイギリスの大学を拒否するギフトを説得。
アンチャリー・ハサディーウィチットは本作が長編映画デビュー作となります。
のんびりと旅行を楽しもうとしている父親と違い、ギフトの態度が気に入らずイライラする。
旅客機内で異変が起きると、誰よりも先に文句を言い出し、客室乗務員たちに当たり散らす。
幽霊たちによる幻覚に惑わされるせいで、全員がそう見えてしまい、片っ端から殺していく。
最後はネウが新人時代に殺した先輩に乗り移られるが、転んできたキャビンに殺される。
・ヤムラス(演:パラメート・ノーイアム)
ギフトの父親。気が弱い。ずっと文句と愚痴を並べるフェンに圧倒されて無口になっている。
パラメート・ノーイアムは代表作に『Body』、『Mundane History』などがあります。
ギフトの誕生日だとフェンに釘を刺すも、何倍もの言葉で言い返されて結局はまた黙る。
空港でギフトがやっていたパイロットゲームを触り、墜落させて無言で娘に怒られてしまう。
旅客機内で異変が起きて恐怖に戦くギフトを見て、昔の自分を思い出してフェンを注意する。
最後はギフトとともに操縦席に乗り込むが、役立たずで結局バンクの操縦を見て助かった。
・王子(演:ティティ・ウェートブン)
ネウと同僚の男性客室乗務員。久しぶりに復帰したネウを出迎える。女性より女性らしい。
ティティ・ウェートブンは代表作に『Lud 4 Lud』、『9-9-81』などがあります。
バンクが貨物室から見つかって看病するが、そこに来たウェーブを怪しく思えてしまう。
不安になっていた乗客を元気づける為にネウとバンクが結婚したというウソを発表する。
旅客機内で異変が起きると、一番のビビリになってほとんど行動せず役立たずとなる。
最後は暴走するフェンから貨物室に逃げるが、ウェーブの投げた斧に当たって死亡した。
・ウェーブ(演:ナモー・トーカムニット)
ドレッドヘアーの男性乗客。父親の貯金を使って起業しようと考え、大儲けしようとする。
ナモー・トーカムニットは代表作に『Long khong』、『Game pluk phi』などがあります。
タイ語が分からず白人男性に言い寄られていたアンを助け、その縁で親しくなっていく。
アンと親しくなっていくが、あくまでビジネスを成功させる事が優先だと自分に言い聞かす。
旅客機内で異変が起きると行動的になっていくが、性根のビビリが発動してパニック状態。
最後は白人男性を殺し、アンも殺し、逃げようとしたところでフェンに殺されてしまう。
・アン(演:シーサギアン・シーハラート)
香港出身の女性乗客。出発時間が分からず白人男性に聞くも言い寄られてウェーブが助ける。
シーサギアン・シーハラートは本作が長編映画デビュー作となります。
その後もウェーブと近くの座席になって会話していき、タイ語が勉強中で彼が隣に座る。
旅客機内での異変が始まると、それまでの存在感を消してウェーブの影になっていく。
途中で幽霊に乗り移られてしまい、それを見たウェーブが気持ち悪がって遠ざけられる。
最後はまたも幽霊に乗り移られると、今度はパニック状態になったウェーブに撲殺された。
感想
個人的な評価
本作はタイ製ホラー映画で歴代最高の興行収入を収めている作品となります。
タイ映画というと、どうしてもトニー・ジャーを筆頭にしたアクション映画を連想します。
トニー・ジャー主演の『マッハ!!!!!!!!』、ジージャー・ヤーニン主演の『チョコレート・ファイター』などが思い出されるでしょう。
でも、タイもアジアの一員でありながら同時にジャパニーズ・ホラーの影響を受けています。
本作が歴代最高の興行収入を記録する前には『心霊写真』という作品があって、やはり、ハリウッドよりも日本のホラー映画に近い要素を持っているのが分かる。
そんな本作は密室である旅客機が舞台となるが、これはホラーに限らず、サスペンスやアクションで何度も使い古されたネタです。
こういう作品の利点は舞台が強制的に限られているので、予算としてはそこまでかからない代わりに、難点は脚本や構成力が面白さを左右する。
中途半端な既視感たっぷりの設定や演出では、目が肥える観客を満足させるにはよほどの実力者が作らないと凡作になってしまいます。
いくら本作がタイで大ヒットしたからって、他国で絶賛される保証がありませんので。
本作はあまり観ないタイ製の映画なので出演者は初めましてとなるが、日本人っぽいのでどこかで見たような顔がある。
ギフトは加藤諒、ウェーブは錦戸亮、役に立たない坊さんがU字工事の益子など、見た事のある人たちが出ている感じでした。
そんな濃いキャラクターたちが繰り出すホラー映画だと思って期待したが、想像以上に内容がメチャクチャでガッカリしました。
まず、大前提となる幽霊たちだが、彼らは幻覚を見せるのがメインで、生きている人たちを混乱させて殺し合いをさせる。
あとは主人公であるネウに強い恨みを持つ先輩が暴走する女に取り憑いて殺しにかかる程度で、基本的に直接的な事はまったくしません。
つまり、恐怖の根源となる幽霊たちを無視すれば、問題なくやり過ごせるという致命的な設定で怖さをすべて否定しました。
途中で主人公たちは目を瞑ってやり過ごすが、当然のようにバカが一人混じって違う行動を起こしてしまう。
こういう作品というのは90分以内がセオリーで、本作は100分を超えてしまい、ただでさえまとまりのない内容が更に破綻してしまっている。
緊張感が一切なく、単純に登場人物たちがギャーギャー騒いでいるだけで、観ている側としたら呆れてしまうような展開である。
加藤諒似のギフトがあれだけパイロットの伏線を張ったのに、結局旅客機を着陸させたのが整備士のバンクというオチも笑うしかない。
製作側はホラー映画の作り方が分からないと思えるほど、退屈でツッコミどころが多すぎてコメディ映画になってしまった作品となりました。