作品紹介
公開年月 | 2016/09/10 |
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ジャンル | 時代劇/コメディ |
原作 | 土橋章宏 『超高速!参勤交代』 |
監督 | 本木克英 |
脚本 | 土橋章宏 |
製作 | 矢島孝 |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
知恵と工夫でなんとか江戸にたどり着いた湯長谷藩の藩主・内藤政醇らは、故郷へ帰るべく江戸を出発する。
だが、道中で湯長谷で一揆が発生したという知らせが入り、二日以内に一揆を収めなければ藩はお取り潰しになるという。
実は政醇らによって打ち負かされた老中・松平信祝が復讐の為に企てた策略。
政醇たちは行きの倍の速さで故郷にたどり着くも、すでに城は乗っ取られていたのだった。
登場人物&出演者
・内藤政醇(演:佐々木蔵之介)
主人公。湯長谷藩4代藩主。相変わらず閉所恐怖症。お咲との祝言で有頂天に。
佐々木蔵之介は近年の出演作に『美しい星』、『3月のライオン』などがあります。
故郷である湯長谷が信祝の策略で荒らされ、それを止められなかった事を悔いる。
信祝に藩を取り潰されても、一人の侍として立ち向かって意地を見せる。
最後には人を信じない信祝を湯長谷に招き入れるほど、お人好しを発揮する。
・お咲(演:深田恭子)
ヒロイン。旅籠の飯盛女。政醇の側室となって男勝りから女性らしくなる。
深田恭子は代表作に『下妻物語』、『ヤッターマン』などがあります。
遊女の身で殿様と結婚する事に引け目を持つが、政醇の愛情で解消される。
・相馬兼嗣(演:西村雅彦)
湯長谷藩家老。藩で一番の知行取り。ケチで帰りの費用を用意していない。
西村雅彦は近年の出演作に『クローバー』、『草原の椅子』などがあります。
藩で一揆が起きて急いで帰る事になって、不眠不休での参勤交代を提案する。
・荒木源八郎(演:寺脇康文)
武具奉行。藩では一番の武芸者。江戸では剣術道場で圧倒的な力を見せる。
寺脇康文は代表作に『相棒』シリーズ、『俺物語!!』などがあります。
湯長谷城を目前に尾張柳生の襲撃を嗅ぎつけ、新陰流を操る諸坂と剣を交わす。
・秋山平吾(演:上地雄輔)
祐筆。参勤交代で負傷して湯長谷藩の江戸屋敷で療養をしていた。
上地雄輔は代表作に『クローズZERO』シリーズ、『ドロップ』などがあります。
強引な信祝のやり方に腹を立てて単身で乗り込もうとするが大岡忠相に止められる。
大岡が信祝が裏で何か企んでいる事を察知し、その協力をする事になる。
・今村清右衛門(演:六角精児)
膳番。槍術に秀でているが腹も出ている。江戸では料理の腕前を高く買われる。
六角精児は代表作に『相棒』シリーズ、『十三人の刺客』などがあります。
湯長谷城に囚われている女性たちに作戦を伝える紙を投げやりで知らせる役目に。
・増田弘忠(演:柄本時生)
馬廻。二刀流を操る。政醇の飼い猿の菊千代と仲良しで世話係となっている。
柄本時生は代表作に『フレフレ少女』、『アウトレイジ』などがあります。
非常に目が良く“千里眼”とも言われるほど遠くの字が読める特技を持っている。
・鈴木吉之丞(演:知念侑李)
側用人。弓の達人。江戸では弓の腕前で女性から黄色い声援を受け取る。
知念侑李は代表作に『金メダル男』、『忍びの国』などがあります。
藩で帰る途中の川で溺れる相馬を助けようとするが丸太にぶつかって行方不明に。
・瀬川安右衛門(演:近藤公園)
江戸家老。江戸城で湯長谷藩の代表として常駐し、何かと知らせを持ってくる。
近藤公園は代表作に『ウォーターボーイズ』、『十三人の刺客』などがあります。
前作と同じく本作ではお咲とともに別行動で湯長谷藩を目指していく。
・雲隠段蔵(演:伊原剛志)
戸隠流の抜け忍。当初は道案内を申し出るが、目的は金だけを受け取るだけだった。
伊原剛志は近年の出演作に『家族の日』、『ラスト・ナイツ』などがあります。
娘のお美代を人質に捕られ、仕方なく政醇たちを襲うも決して裏切りではなかった。
その後は政醇たちの為に働き、湯長谷城を取り戻し、信祝を蹴散らす協力をする。
・柳生幻道(演:宍戸開)
尾張柳生。闇に生きる者。信祝の策略に協力する代わりに湯長谷藩の藩主を約束される。
宍戸開は代表作に『テルマエ・ロマエ』シリーズ、『マイフェニックス』などがあります。
信祝にとって邪魔になる存在を自身の家臣とともに次々と消していく危険な人物。
最後には湯長谷城を取り戻そうとした政醇の活躍、三太夫の裏切りで呆気なく死ぬ。
・諸坂三太夫(演:渡辺裕之)
尾張柳生。新陰流の使い手。幻道の手先として荒木と互角の勝負を演じる。
渡辺裕之は代表作に『オン・ザ・ロード』、『ガメラ/大怪獣空中決戦』などがあります。
大名に興味がなく、ただ己の鍛えた剣を使いたいだけという剣術バカでした。
・森極蔵(演:中尾明慶)
尾張柳生の一人。僧侶。スイカのような爆弾の球体で攻撃を仕掛ける。
中尾明慶は代表作に『キャプテントキオ』、『のぼうの城』などがあります。
一見して頭脳派だと思えば、信祝の悪事をバラす役目を担うだけと存在でした。
・松平信祝(演:陣内孝則)
悪役。江戸幕府老中。前作で政醇たちの活躍で悪さがバレて蟄居を命ぜられる。
陣内孝則は近年の出演作に『種まく旅人/みのりの茶』、『なくもんか』などがあります。
首席老中に最も近いと言われていたが、湯長谷藩との出来事で候補から脱落する。
江戸城内では笑い者にされるが、尾張柳生を使って次々と消していく危険人物になる。
実は天下を狙う大きな計画を用意していて、最後まで自分のやる事が正しいと思っていた。
・大岡忠相(演:古田新太)
南町奉行。大岡越前守。藩の取り潰しをした信祝を単身で討ち取ろうとした秋山を止める。
古田新太は近年の出演作に『土竜の唄/香港狂騒曲』、『シン・ゴジラ』などがあります。
一連の幕閣殺害事件を調べており、その犯人が信祝と疑って秋山とともに調査する。
信祝の策略を知る一旦となる森極蔵を捕まえ、最終的に自白させて行動に出る。
感想
個人的な評価
前作では時代劇でありながらも現代的なスピーディーな展開が人気を博しました。
最近の時代劇はテレビから撤退し、ほとんど観なくなっているのが現実です。
ただ、映画ではまだまだクォリティーの高い作品が多く、本作もその一つと言えます。
タイトルにもあるような“超高速”な展開は時代劇の雰囲気とは対照的です。
時代劇というと、なんだかのんびりしたイメージだが、本作はそれを変えてくれています。
とにかく、すぐに知恵を出して、すぐに実行して、すぐに結果が出るという現代的な演出だと言えるだろう。
だから時代劇であっても現代的なテンポとして、ヒットしたのではないかと思う。
本作はある意味、この前作から続く形で完結編とも言えるような立ち位置となっています。
参勤交代というのは本来、江戸へ来るだけじゃなく、故郷に帰るまでだと言われる。
だから前作は前編であって、本作が後編となってようやく完結するという感じだろう。
キャストは前作から続投しており、あの面白さをそのまま継続させているのは大きいです。
主人公となる内藤政醇を演じた佐々木蔵之介以下、湯長谷藩のメンバーはそれぞれの得意分野を活かして創意工夫をしています。
特に前作で縦横無尽の大活躍だった筆頭家老の相馬を演じた西村雅彦は、本作でも体を張った演技を惜しげもなく披露する。
そして、カタルシスを生んだ悪役の粛清の張本人である松平信祝を演じた陣内孝則も、本作では更にパワーアップしています。
前作では特別出演であったが、本作では主人公を食ってしまう勢いで存在感を出している。
絵に描いたような悪代官みたいな表情は、非常に分かりやすい悪役となっていました。
本作から登場する尾張柳生家でも、渡辺裕之が演じた諸坂三太夫は非常に格好良かった。
参勤交代をテーマにした作品として、前作はテンポの良さ、本作は政醇の寛大さと信祝のあくどさを全面的に出していました。
残念ながら前作と比べてパワーダウンしてしまったが、それでも踏み込んだ内容として良作だと言えます。
何よりあれだけ苦労して湯長谷から江戸に来たのに、帰りが簡単になってしまったのは痛い。
それでは完全に前作が前フリになってしまい、本作の構成としては残念と思いました。