高慢と偏見とゾンビ RE-2487

作品紹介

公開年月  2016/09/30
ジャンル  ホラー/コメディ
原作  ジェーン・オースティン 『高慢と偏見』(元ネタ)

セス・グレアム=スミス 『高慢と偏見とゾンビ』

監督  バー・スティアーズ
脚本  バー・スティアーズ
製作  マーク・バタン、ブライアン・オリヴァー、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

18世紀のイギリス、謎のウイルスが蔓延し、増殖したゾンビが次々と人を襲う時代。
片田舎で暮らすベネット家の5人姉妹は、幸せな結婚に憧れながらもカンフーや剣術の訓練に励みゾンビと戦う日々を送っていた。
そんなある日、近所に資産家のビングリーが引っ越し舞踏会が開かれると、5人姉妹は胸をときめかせる。
だが、次女のエリザベスはビングリーの友人ダーシーの高慢な態度に反感を抱くと、それ以来、両者は反発するのだった。

登場人物&出演者

エリザベス・ベネット(演:リリー・ジェームズ)
主人公。次女。5人姉妹の中で気が強く、武術と教養を両立する贅沢だと断言する。
リリー・ジェームズは代表作に『タイタンの逆襲』、『シンデレラ』などがあります。
ダーシー大佐の高慢な態度に偏見を持ち、最初から彼に対して嫌悪感を示している。
しかし、不器用な性格であるダーシーの本心を知って、あっさりと手のひら返しをします。
ツンデレ要素のあるキャラクターだが、個人的にあまり好きではないタイプです。
どうせ相手役と結ばれるのだから、意地を張っている段階が気に入らなかったです。

ダーシー(演:サム・ライリー)
大佐。ゾンビに対して徹底した厳しい態度を取り、他者に対しても高慢な態度を取る。
サム・ライリーは代表作に『ロシアン・ルーレット』、『マレフィセント』などがあります。
実はレディ・キャサリンの甥であり、多才な妹を自慢にしている。
感情をほとんど出さないが、その理由をハッキリと描かなかったのは不満に残る。
高慢さを出しているだろうけど、どうにも感情なしで正論を言っているだけだと感じた。

ウィカム(演:ジャック・ヒューストン)
中尉。ゾンビを退治する為にメリトンの部隊へ入る。ダーシー大佐に対して因縁を持つ。
ジャック・ヒューストンは代表作に『アメリカン・ハッスル』、『リスボンに誘われて』などがあります。
過去にダーシーと一緒に育ったが、約束された聖職禄を他人に与えた事で仲違いする。
本作の悪役となっているけど、ゾンビのリーダーにしてはオーラがなかった。
そもそも、ゾンビを従えている描写が少なすぎて、悪役としての印象が薄かった。

ジェイン・ベネット(演:ベラ・ヒースコート)
大富豪のビングリーに見初められる。5人姉妹の中で一番の美人で言い寄られる。
ベラ・ヒースコートは代表作に『TIME/タイム』、『ダーク・シャドウ』などがあります。
ビングリー邸へ向かう道中でゾンビと遭遇し、なぜか寝込むというミスリードを展開。
その後、何事もなかったようで、あとは単なる美人という設定だけで空気となっていました。

ビングリー(演:ダグラス・ブース)
大富豪。ベネット家の5人姉妹から結婚相手を出そうとしてジェインを見初める。
ダグラス・ブースは代表作に『ノア/約束の舟』、『ジュピター』などがあります。
自宅へ招いた時にジェインが病気になり、ゾンビ感染の恐れがあっても想いを寄せる。
キャラクターとして描写が少なく、金持ちの坊っちゃんとしても地味すぎて印象に残らない。

コリンズ(演:マット・スミス)
牧師。5人姉妹のいとこ。ベネット家の5人姉妹から結婚相手を探している。
マット・スミスは代表作に『ロスト・リバー』、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』などがあります。
レディ・キャサリンの隣に住んでいて、自称・お世辞の才能を持っているという。
最初はジェインを妻と考えるが、相手がいる事を知ってエリザベスに鞍替えをする。

ミスター・ベネット(演:チャールズ・ダンス)
ベネット家の大黒柱。ゾンビに備えて5人の姉妹に東洋武術を習わせている。
チャールズ・ダンスは近年の出演作に『世界一キライなあなたに』、『アンダーワールド/ブラッド・ウォーズ』などがあります。
自分が亡くなると娘たちを養えないが、現実的な母親と違って彼女たちの幸せを思う。

ミス・ベネット(演:サリー・フィリップス)
ベネット家の母親。ずっとしゃべっていて、目上の人には媚びを売る典型的な女性。
サリー・フィリップスは代表作に『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズ、『バースデイ・ガール』などがあります。
娘たちの将来を危惧して、より好条件の相手と結婚するべきと現実的な意見を持つ。
口が災いの元を体現するような人物で、ジェインの結婚や彼女が病に倒れる原因を作った。

レディ・キャサリン(演:レナ・ヘディ)
英国一の剣の達人。夫に先立たれ、一人娘のアンは病気がちで社交界にデビューしていない。
レナ・ヘディは近年の出演作に『LOW DOWN/ロウダウン』、『300<スリーハンドレッド>/帝国の逆襲』などがあります。
甥のダーシーがエリザベスに求婚した事で止めようとするが、彼女の強さに触れる事に。
それによって、ゾンビが迫る中でベネット家を英国一安全な自分の家へと招き入れる。

メアリー(演:ミリー・ブレイディ)
ベネット家5人姉妹の三女。メガネをかけていて、イビキが非常にうるさい。
ミリー・ブレイディは代表作に『レジェンド/狂気の美学』などがあります。
コリンズの求婚を断ったエリザベスに代わり、彼と結婚するという突飛な考えを口にした。

キティ(演:スーキー・ウォーターハウス)
ベネット家5人姉妹の四女。一番微妙な立ち位置でほとんどセリフがない。
スーキー・ウォーターハウスは代表作に『あと1センチの恋』、『ダイバージェントNEO』などがあります。
末っ子のリディアと一緒にいる事が多いけど、ほとんど愛想笑いをしているだけ。

リディア(演:エリー・バンバー)
ベネット家5人姉妹の末っ子。まだ若いせいか食い気が勝り、エリザベスに対抗心持つ。
エリー・バンバーは代表作に『ノクターナル・アニマルズ』などがあります。
ウィガムの暴走で何も知らずに駆け落ちで連れて行かれるが、それは罠の為だけ。

感想

個人的な評価

原作はセス・グレアム=スミスの同名小説が基になっています。
更に原作の元となっているジェーン・オースティンの『高慢と偏見』という文学作品。
この『高慢と偏見』はキーラ・ナイトレイ主演の『プライドと偏見』で実写映画されている。
原作と本作では文学作品にB級映画でお馴染みのゾンビを加えるという思い切った脚色。
残念ながらジェーン・オースティンの原作、映画『プライドと偏見』は読んだ事も、鑑賞した事がないので本作が初めてとなる。
どうやら原作に忠実な流れで物語が展開されるので、本作を鑑賞する前に小説か映画の方で予備知識としてあった方がより楽しめるらしい。
知らないモノはしょうがないので、本作から新鮮な気持ちで鑑賞しています。
さすがに本作は文学作品を扱っているだけに、他のゾンビ映画とは一線を画します。
まず、時代が18世紀のヨーロッパのビクトリア朝という事で、衣装や建物が豪奢である。
きちんと時代考証もされているようで、ゾンビがいなくても成立する物語だと言えます。
どうしてもキーラ・ナイトレイの実写映画があるので、それと比べて見劣りするかもしれないだろうと思う。
逆にゾンビ映画としての要素が思っていたよりも少なく、オマケという印象が残っている。
そもそも、本作にゾンビは必要なのかというと、残念ながら代用が利くような感じです。
ゾンビが実際にしゃべったり、意見を述べるなどのオリジナル要素があるけど、どうにも違うような気がしました。
大前提としてゾンビ映画である必要性がないのは一番の痛手だと感じました。
確かに本作は他のゾンビ映画とは違うが、見慣れている人からすれば物足りないです。
逆に文学作品を好む人からすれば、ゾンビが登場して台無しだと思うかもしれない。
つまり、本作はどっちつかずの中途半端な作品になっていると感じました。
ゾンビ映画の醍醐味であるグロテスクなカニバリズム、感染する恐怖、人間の恐ろしさはほぼありません。
なので、ゾンビという真逆の要素を加えたインパクトしかなく、ゾンビ映画が好きな人からすれば、弄ばれた印象を受けてしまう。
本作に登場するゾンビは原作に合わせ、普通にしゃべって人間社会でも生きていける。
やはり、文学作品に登場するゾンビは気品があって、ただ食欲に委ねるモノじゃないです。
それは逆に既存のゾンビ映画を否定しているような気がして、なんだかゾンビ映画として見るのは違う気がしました。