フィラデルフィア RE-2216

作品情報

公開年月  1993/12/23
ジャンル  ドラマ/法廷
原作  なし
監督  ジョナサン・デミ
脚本  ロン・ナイスワーナー
製作  エドワード・サクソン、ジョナサン・デミ
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

弁護士アンドリュー・ベケットは所属する一流法律事務所で上級弁護士を目指す善良な人物。
そんなある日、昇進のかかった訴訟の間際、思いがけぬトラブルに見舞われ、更にエイズ発症という理由で突然事務所を解雇される。
これを不当解雇としてアンドリューは訴訟を起こそうとするが、行く先々の弁護士に断られ、かつて一緒に戦った黒人弁護士ジョー・ミラーにも助けを求めるが、彼はエイズ及びゲイに無関心で断ってしまう。
時が経ち、クリスマスの夜、ジョーは思いがけず図書館でアンドリューを目にするが、そこで差別的な扱いを受けようも戦おうとする姿に興味を抱く。
それは弁護士として正義を貫こうとするアンドリューの姿勢にジョーは共感し、一流法律事務所を相手に訴訟を起こすという前代未聞に挑むのであった。

登場人物&出演者

アンドリュー・ベケット(演:トム・ハンクス)
主人公。有能な弁護士であるが、ゲイでエイズを患っている事を隠していた。
隠し事を知った上層部は彼を罠にはめ、解雇をしてしまうが、それを不当として訴える。
トム・ハンクスは本作の演技によりアカデミー主演男優賞を受賞しています。
近年の出演作には『ハドソン川の奇跡』、『ブリッジ・オブ・スパイ』があります。
とにかく、本作はエイズによって弱っていく主人公をトム・ハンクスが熱演しています。
冒頭での野心に満ちた姿から、終盤で見せる弱った姿のギャップも凄まじかった。
時間が経過していく過程で衰弱する様子はまるで本当に病気していると思うほどです。

ジョー・ミラー(演:デンゼル・ワシントン)
もう一人の主人公。テレビにも出演する有名な弁護士でゲイやエイズを毛嫌う。
アンドリューの姿勢に感銘を受けて、差別的な思考を置いて一緒に戦う。
デンゼル・ワシントンはアカデミー賞で主演男優賞と助演男優賞を受賞した実力派。
近年の出演作には『イコライザー』、『2ガンズ』、『フライト』があります。
中盤以降は物語を引っ張っていくだけの存在感と安定性をみせました。
やはり、デンゼル・ワシントンの演技は人を引き込むだけの魅力があります。

チャールズ・ウィラー(演:ジェイソン・ロバーズ)
悪役。一流法律事務所としてのプライドを持ち、部下にエイズやゲイがいる事を許さない。
その為、ウソをついていたアンドリューを大人の恐ろしい一面で引導を渡す。
ジェイソン・ロバーズはテレビ、映画、舞台と幅広く活躍し、2本の作品でアカデミー助演男優賞を受賞しています。
アンドリューが憧れていた人物だったが、そのやり方は独善的である意味、弁護士らしい。

ベリンダ・コーニン(演:メアリー・スティーンバーゲン)
チャールズらの弁護をする女性弁護士。ジョーと戦った手強い相手。
メアリー・スティーンバーゲンは『バック・トゥ・ザ・フューチャーPart3』で知られる。
尋問の時に見せる余裕のような笑顔は手強さを印象づけ、ジョーの相手として申し分なかった。

ミゲール(演:アントニオ・バンデラス)
アンドリューの恋人。誰よりもアンドリューの体調を気づかっていた。
アントニオ・バンデラスはアクション俳優として現在でも第一線で活躍しています。
シリアスなドラマでもしっかりと演じていて、アンドリューを支える恋人を好演しました。

感想

個人的な評価
本作が舞台になったフィラデルフィアはギリシア語で「兄弟愛」を意味し、一つのテーマになっているゲイを意識しているようです。
物語のベースは実際に起きた出来事をモデルにしており、1987年と1990年に同様の訴訟問題がありました。
当時のアメリカではエイズに対する差別、ゲイに対する差別が残っていた時代。
その二つを持ってしまったアンドリューが病と戦いながら法廷に立つ姿を描いた本作は色々と考えさせられます。
日本でも馴染みが薄かった同性愛者は現在テレビなどで多く見られ、以前のような差別的な考えが薄くなっています。
エイズについてもどんな病気であって、感染経路も分かっているので、こちらも同様に差別的な扱いが薄くなっています。
しかし、当時はどちらも公然と差別的な扱いを受けていて、本作からもその状況が生々しく伝わっているような構成でした。
そんな主人公を演じたトム・ハンクスの役者魂が伝わり、本当に病気なのではないかと思わせるほどでした。
アンドリューを支える弁護士のジョーも最初は差別的な態度だったが、段々と打ち解けていく過程も良かったです。
多分、本作は公開された当時、ゲイやエイズ患者の間違った見解を正す意味として大きく貢献したのだろう。
実際にエイズ患者がどのように衰弱していき、ゲイはどのような人々か分かりやすく提示してくれている。
ただ、それ以上にトム・ハンクスの素晴らしい演技、デンゼル・ワシントンの惹きつける演技で本作はより深みを増していると思います。