作品紹介
公開年月 | 1993/12/01 |
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ジャンル | ドラマ/宗教 |
原作 | なし |
監督 | ベルナルド・ベルトルッチ |
脚本 | マーク・ペプロー、ルディ・ワーリッツァー |
製作 | ジェレミー・トーマス |
製作国 | イギリス、フランス |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
シアトルに暮らすコンラッド夫婦の元に、突然やって来た僧侶に彼らの息子はチベットのラマ高僧の生まれ変わりかもしれないと告げられる。
ラマ僧ノルブから手渡された一冊の絵本に生まれ変わり候補のジェシーはのめり込んでいく。
その絵本はシッダールタ王子(ブッダ)が苦難を乗り越え、仏教の悟りを開くまでの家庭を記す物語であった。
こうして、ジェシーはブッダに強く興味を持ち、それは次第に反対していた両親を動かす事になるのだった。
登場人物&出演者
・ノルブ(演:イン・ルオチェン)
ラマ僧。師であるドルジェ僧の生まれ変わりを探していた。病魔により余命幾ばくもない。
イン・ルオチェンは中国出身で俳優の他に脚本家、演出家、翻訳家として活躍していました。
9年の間も師の生まれ変わりを探していたが、遠いアメリカの地まで足を運んでいる。
劇中では英語をしゃべっていて違和感ありまくりだが、まさにラマ僧と言える雰囲気です。
温かく大きい存在であり、ジェシーの父親から疑いをかけられても、落ち着いた口調で諭していく姿が印象的でした。
そして、無事に師の生まれ変わりを探し当て、瞑想の中で新たな旅に出る姿も印象的です。
・ジェシー・コンラッド(演:アレックス・ヴィーゼンダンガー)
シアトルに住む少年。遠いチベットのラマ僧、ドルジェの生まれ変わりとして告げられる。
アレックス・ヴィーゼンダンガーは本作が映画出演2作目となっています。
ネパールやブータンでは明らかに浮いた存在だが、その無邪気でかき消してくれています。
普通なら怪しむところだが、素直にノルブの話しを聞き入れてのめり込む姿は印象的。
・シッダールタ王子(演:キアヌ・リーブス)
ブッダ。釈迦。当初は王子として過保護に育てられるが、外の世界を見て考えが変わる。
キアヌ・リーブスは近年の出演作には『砂上の法廷』、『エクスポーズ/暗闇の迷宮』などがあります。
すっかりと『マトリックス』の超人的なイメージ、『ジョン・ウィック』のような冷酷な殺し屋とは違う本作。
仏教の開祖であるブッダを演じたキアヌ・リーブスはどこから浮世離れしたイメージを上手く活かしている。
特に悟りを開いてなんとも言えない表情で微笑むシーンは強烈なインパクトを残します。
・ディーン・コンラッド(演:クリス・アイザック)
ジェシーの父親。親友のエヴァンと事業を手がけている。家を購入したばかり。
クリス・アイザックは俳優の他にシンガーソングライターとしても活躍しています。
当初はチベットのラマ僧たちを怪訝に思い、ジェシーを引き離そうとする。
たが、ビジネスパートナーがタイミング良く事故死して、チベットに向かう事になる。
この心変わりがあっさりしすぎていて、都合が良すぎると感じてしまった。
・リサ・コンラッド(演:ブリジット・フォンダ)
ジェシーの母親。数学の教師をしている。チベットのラマ僧を歓迎して家に入れる。
ブリジット・フォンダは代表作に『アサシン/暗殺者』、『キス・オブ・ザ・ドラゴン』などがあります。
なぜかディーンとは違って、急にジェシーをチベットに行かせたくないと言い出す。
一人だけシアトルに残されるので、物語の途中からほとんど消えてしまいます。
・ラジュ(演:ラジュ・ラル)
ドルジェ僧の生まれ変わり候補の一人。猿が友達で身寄りがなく日銭を稼いでいる。
ラジュ・ラルは本作が映画デビュー作となっています。
猿のように動きが早く、ジェシーとはお互いを見つけ合って仲良くなる。
・ギータ(演:グラシュマ・マカール・シングー)
ドルジェ僧の生まれ変わり候補の一人。自分こそが生まれ変わりだと宣言する。
グラシュマ・マカール・シングーは本作が映画デビュー作となっています。
気が強く最初はジェシーとラジュを見下すが、次第に認め合って仲良くなる。
感想
個人的な評価
本作はベルナルド・ベルトルッチが監督と原案を務めています。
『ラストエンペラー』、『シェルタリング・スカイ』と合わせて、東洋三部作と言われているアジアを舞台にした作品群。
その中で本作は「仏教」という欧米人には馴染みがない宗教がテーマになっています。
それまで丁寧に描いてきたアジアを舞台にした作品を手がけたベルナルド・ベルトルッチ監督だが、本作でもその手腕が確実に発揮されています。
公開当初は白人が生まれ変わり候補に批判があったけど、本作からは仏教に対して敬意を表した構成と演出になっています。
現代ではドルジェ僧の生まれ変わりを探す一方、同時にシッダールタ王子の物語も同時に展開していて、非常に分かりやすい構造になっている。
ストーリー性について乏しいが、仏教への敬意が感じられるから面白いと思える。
とにかく、本作で仏教を伝えるラマ僧のノルブを演じるイン・ルオチェンが素晴らしい。
彼の冷静な立ち振る舞いはまさしく、悟りを開こうとしている僧を彷彿とさせます。
もちろん、生まれ変わり候補となるジェシー、それと他の二人であるラジュー、ギータも短いながらも個性を出している。
これについて、キリスト教の教えにある三位一体に通じていて、欧米人に馴染み深い教えを組み込んでいる。
白人がチベットの中にいるのはかなり浮いているが、これは映画から成し得るのだろう。
普通に考えたかなりおかしいし、強引すぎる展開だと思える。
ただ、本作では仏教の輪廻転生をきちんと伝えている点では評価できる。
宗教映画であるが、堅苦しい内容ではなく、軽い感じの内容は非常に観やすいと作品でした。