美女と野獣/2014年版 RE-2327

作品紹介

公開年月  2014/02/12
ジャンル  ファンタジー/ラブロマンス
原作  ガブリエル=スザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ 『美女と野獣』
監督  クリストフ・ガンズ
脚本  クリストフ・ガンズ、サンドラ・ヴォ=アン
製作  リシャール・グランピエール
製作国  フランス、ドイツ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

都会で裕福な暮らしをしていた商人一家が貿易船を大嵐で失い、破産してしまう。
一家が田舎に移り住むと、贅沢に慣れきった三人の兄と二人の姉は不満を募らせるが、末娘のベルだけは家族が一緒にいられる事に幸せを感じていた。
そんなある日、森で吹雪に見舞われた父は偶然見つけた古城に逃げ込み九死に一生を得る。
いくら探しても主人の姿が見えず、父は帰り際に庭で美しいバラを目にして、思わずベルの土産に一輪を取った瞬間、世にも恐ろしい野獣が姿を現すのだった。

登場人物&出演者

野獣/王子(演:ヴァンサン・カッセル)
主人公。実は某国の王子。狩りが大好きだが、それは悲劇を招く事になる。
ヴァンサン・カッセルは代表作に『ドーベルマン』、『イースタン・プロミス』があります。
古城にこもって思い出に浸り、見た目だけじゃなく、性格まで野獣のようになっている。
でも、実はベルをひと目で気に入って、言動は荒々しいのにとても優しいというツンデレ。
最初はベルを強引に所有しようとするが、彼女と過ごす時間で忘れていた愛を思い出す。
しかも、見た目は恐ろしいクセに、ベルの強気な発言で逃げ出す豆腐並みのメンタル。

ベル(演:レア・セドゥ)
ヒロイン。商人一家の末娘だが物欲はない。家族との絆を大切にする。
レア・セドゥは近年の出演作には『007/スペクター』、『あるメイドの密かな欲望』などがあります。
タイトル通り、やはり、レア・セドゥは美女という言葉が似合うほどに美しいです。
商人一家は贅沢な暮らしに慣れているのに、なぜか彼女だけは違うという特別扱いです。
なので、恐ろしい姿の野獣を前にしても強気であって、取引まで持ち込むという強い女性。
見た目で恐れられている野獣も惚れてしまうのは当然と言えるでしょうね。

プリンセス(演:イボンヌ・カッターフェルト)
王子に嫁いだ美しい女性。実は森の妖精で人間の愛を知りたい為に変身していた。
イボンヌ・カッターフェルトは主にテレビドラマやテレビ映画で活躍している。
狩りに出ていた王子が仕留めた牝鹿だったが、それはプリンセスというオチ。
彼女は王子に罪はないと懇願するも、父親の怒りに触れて王子を野獣に変える事に。

商人(演:アンドレ・デュソリエ)
ベルの父親。貿易によって財を築くも船を失い破産。元の生活を取り戻そうと奔走する。
アンドレ・デュソリエはフランス出身で、代表作に『アメリ』、『ヴィドック』があります。
ダメな長男のせいで追われる事になり、古城を発見した事でベルの運命を変える。
それで身代わりとなったベルに心を痛め、寝たきりになるというダメな親父でした。

マキシム(演:ニコラス・ゴブ)
商人の長男。一家が破産してペルデュカスから借金を踏み倒し、お尋ね者になっていた。
ニコラス・ゴブは43作に出演し、テレビドラマや映画で活躍しています。
妹を巻き込んだ最大のクズであるけど、なぜかお咎めなしという納得できない結末。

ペルデュカス(演:エドゥアルド・ノリエガ)
顔に傷がある男。商人の長男に借金して踏み倒された。何よりお金が大好きな悪党。
エドゥアルド・ノリエガはスペイン出身で、代表作に『デビルズ・バックボーン』、『アラトリステ』などがあります。
野獣の古城でやりたい放題をするけど、相手が悪すぎて小物にしか見えなかった。

感想

個人的な評価

これまで何度も実写映画化やアニメ化された『美女と野獣』が原作です。
どうやら原作には原本となるガブリエル=スザンヌ・ド・ヴィルヌーヴと、短縮版を書いたジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモンの二つがあります。
本作は監督のクリストフ・ガンズによれば、原本のヴィルヌーヴ版を参考にしています。
実写映画として四作目となる本作だが、フランス人が製作した作品として、一作目のジャン・コクトー監督以来となっています。
さすがに本作は最新の映像技術を使っている事もあって、ファンタジーとは相性が良い。
幻想的な世界を美しく鮮やかな色で表現し、その立つ“美女と野獣”を引き立てる。
とにかく、本作ではレア・セドゥが非常に魅力的であって、野獣がひと目惚れをするのは必然とも言えるだろう。
それに対して、なぜか野獣の方は見た目以上に性格が野獣のように歪んでしまっている。
そこへ光の如く登場するベルを演じるレア・セドゥが癒しとなるのです。
まさにレア・セドゥをどれだけ美しく魅せるかに焦点を当てている構成だと感じた。
ただ、ベルは野獣に対して真の愛ではなく、どこか同情のような印象を受ける。
同情が愛情に変わっていくのだろうが、野獣になる前の人間の姿での描写が少ないので、どうしても魅力が伝わらない。
だからこそ、ベルは同情だけで野獣に愛を傾けた事にちょっとばかり都合の良さを感じた。
あとは古城を荒らすペルデュカスたちは単なるチンピラだが、あっさりと突破されて、倒されるところも微妙すぎる。
それに盗賊のようなマネをしたベルのダメな兄貴たちが野獣を助けただけで許すのも都合が良すぎると感じた。
そもそも、ベルのような完璧な女性と血が繋がっている兄や姉たちのクズぶりが余計に目立ってしまう。
本作は御伽話や童話という感じのハッピーエンドだが、色々と納得できない部分があって、だからこういうタイプの作品は素直に受け入れられない。
ただ、レア・セドゥが美しかったので、その分はプラスになります。