ファースト・マン RE-3124

作品紹介

公開年月  2018/10/12
ジャンル  ヒューマンドラマ/伝記
原作  ジェームズ・R・ハンセン

『ファーストマン:ニール・アームストロングの人生』

監督  デイミアン・チャゼル
脚本  ジョシュ・シンガー
製作  ウィック・ゴッドフリー、マーティ・ボーウェン、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

1961年、空軍でテストパイロットを務めるニール・アームストロングは幼い娘を病で亡くすも寡黙な彼は感情を表に出す事はなかった。
ニールは悲しみから逃れる為にNASAのジェミニ計画の宇宙飛行士に応募し、採用されると過酷な訓練に打ち込んでいく。
それは宇宙開発戦争でソ連に後れを取っていたアメリカが、人類未到の月に足を踏み入れるという壮大な計画だった。

登場人物&出演者

ニール・アームストロング(演:ライアン・ゴズリング)
主人公。テストパイロットを務めるが、娘を亡くした事で宇宙飛行士を目指すようになる。
ライアン・ゴズリングは近年の出演作に『ブレードランナー2049』、『ラ・ラ・ランド』などがあります。
NASAの宇宙飛行士に選出されると、人類初の月面着陸計画を知って執着するようになる。
テストパイロット時代で何人もの仲間の死を味わっているが、感情を出さずに耐えていた。
アポロ11号の船長に選ばれると、重圧から家族を蔑ろにするも妻の言葉で思い直す事になる。
最後は月面着陸を成功させて地球へ帰還し、ジャネットと再会しても何も語らず見つめた。

ジャネット・アームストロング(演:クレア・フォイ)
ヒロイン。ニールの妻。テストパイロット時代からニールが無事に帰ってくるか心配する。
クレア・フォイは代表作に『デビルクエスト』、『アンセイン/狂気の真実』があります。
宇宙飛行士になると一緒に喜んでいたが、ちゃんと帰ってくるのか神経をすり減らしている。
カレンを亡くしてから一度もニールと娘について話しをせず、それをちゃんと理解する。
地球に帰れない可能性があるとして、何も話さないニールに息子へ説明するように主張した。
最後は無事に地球へ帰還したニールの元へ行き、何も語らない彼をずっと見つめていた。

エド・ホワイト(演:ジェイソン・クラーク)
NASAの宇宙飛行士。ニールとは家族ぐるみで付き合っていて、仕事場でも頼りにしている。
ジェイソン・クラークは近年の出演作に『セレニティー:平穏の海』、『ウィンチェスターハウス/アメリカで最も呪われた屋敷』などがあります。
アメリカ人で初の宇宙遊泳を行っていたが、ソ連に先を越されて人類初は叶わなかった。
同じく友人だったエリオットが訓練中の事故で亡くなり、それをニールに伝える事になる。
エリオットの葬儀から帰ったニールを庭で見つけ、彼に家族サービスをするように進言した。
最後はアポロ1号の船長に選ばれるが、訓練中に火災が発生して対処できずに死亡した。

エリオット・シー(演:パトリック・フュジット)
NASAの宇宙飛行士。ニールやエドたちと同じように選ばれて一緒に厳しい訓練をしていた。
パトリック・フュジットは代表作に『あの頃ペニー・レインと』、『ダレン・シャン』などがあります。
ニールとエドとも交流を深めて、彼らの家で一緒に食事をして宇宙遊泳について語っていた。
最後はジェミニ9号の船長に選ばれ、搭乗前に訓練機でテストするも事故に遭い死亡した。

バズ・オルドリン(演:コリー・ストール)
NASAの宇宙飛行士。エリオットの葬儀では冷静に事故の事を振り返って全員の反感を買う。
コリー・ストールは近年の出演作に『ゴールド/金塊の行方』、『カフェ・ソサエティ』などがあります。
アポロ11号のパイロットに選出され、記者会見の際には気を利かせた答えをしていた。
寡黙で感情を見せないニールとは対照的に自分の考えを出し、度々場の雰囲気を壊している。
月面着陸のパイロットとして未知の挑戦を成功させ、船長のニールと喜びを分かち合った。
最後は人類で最初に月へ足をつけたニールに続き、二人目として世界に知られる事になった。

ディーク・ストレイン(演:カイル・チャンドラー)
NASAの元宇宙飛行士。マーキュリー計画で「マーキュリー・セブン」の一人として有名。
カイル・チャンドラーは近年の出演作に『ゲーム・ナイト』、『キャロル』があります。
NASAの飛行士育成部門の責任者となり、選ばれたニールやエドたちの訓練にあたっていた。
ニールたちと違って政治的な面を考慮する立場にあって、計画を進める上でリスクを減らす。
訓練が何度か失敗すると計画の中止を迫られるが、それでもアポロ計画を実現させた。
最後はニールやオルドリンたちが月面着陸を成功させ、ジャネットを夫に会わせてくれた。

感想

個人的な評価

本作は人類で初めて月面着陸を成功させたニール・アームストロングの半生を描いた作品となっています。
今から58年前に成し遂げた偉業であるが、実際に行ってきたニール・アームストロングという人間の半生を描いています。
これまで有人飛行計画をテーマにした作品が多く作られていますが、本作はあくまでニール・アームストロングの家族や友人たちの物語となります。
その為、月面着陸は物語の中で中心ではなく、ニール・アームストロングがたどってきた出来事を淡々と描いています。
監督は『セッション』や『ラ・ラ・ランド』で高い評価を受けたデイミアン・チャゼルという事で期待をしました。
さすがに何を描こうとしているのかハッキリしていて、映画にはあまり向かないニール・アームストロングを理解した演出が際立っていました。
やはり、本作は伝記映画という属性を持っている事もあって、決して派手じゃなくて出来事を順番に並べているだけです。
伝記映画の弱点として脚色をやり過ぎると事実を食い違ってしまうので、どうしても制限が多くて映画的な手法があまり使えない点です。
そうなってくると、全体的にエピソードを並べるだけになってしまうのですが、ここは監督がどのように描くかによって作品の良し悪しが違ってくる。
その点、本作では伝記映画の淡々とした描写と、多く語らないニール・アームストロングとの相性は抜群だと言えるだろう。
ハッキリ言って、映画としての面白さはあまりないが、逆にドキュメンタリーほど主人公の内面に踏み込んでいるワケじゃない。
沈黙の多い本作はまさにニール・アームストロングという人物を表現していて、この演出が随所に感じさせられます。
ニール・アームストロングが月へ執着した出発点は幼い娘を亡くした事からだが、最も身近な妻にさえも言わずに自分の中だけで葛藤している。
月面着陸でニール・アームストロングが見せた涙は、人類の偉業よりも自分が長年抱えていた娘に対する悔しさを償おうとしていたのだろうと思います。
ただ、多くの語らないニール・アームストロングの真意は分からず、彼がなぜカレンの形見を置いていったのか本人にしか分からないでしょうね。
とにかく、感情をほとんど見せないニール・アームストロングを演じたライアン・ゴズリングの演技は見事としか言えません。
ですが、個人的には映画的な面白さを期待しただけに、淡々とした伝記映画の枠を出ず、2時間を超える長尺も少しキツイと感じました。