ゾンビデオ VD-78

作品紹介

公開年月  2012/12/29
ジャンル  ホラー/コメディ
原作  なし
監督  村上賢司
脚本  河合克夫
製作  山口幸彦、小林智浩、ほか
製作国  日本
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

映画製作会社で働くアイコはゾンビの対処方法を紹介したビデオ「ゾンビ学入門」を発見。
同じ頃、ヤスデをリーダーとするゾンビ軍団が日本にゾンビハザードを起こし、アイコのいる会社へと乗り込んでくるのだった。

登場人物&出演者

吉村アイコ(演:矢島舞美)
主人公。映像製作会社に勤務。社長のコネでムリヤリ雇われ、部長から雑用を頼まれる。
矢島舞美は代表作に『仔犬ダンの物語』、『冬の怪談/ぼくとワタシとおばあちゃんの物語』などがあります。
資料に必要な映像をビデオテープから探しているうちに「ゾンビ学入門」を発見する。
約束の時間に資料を取りに来た先方がゾンビとなり、部長が襲われ、咄嗟に動いて撃退する。
その後、押し寄せてきたゾンビたちをビデオのいう通りに倒し、ゾンビハンターに覚醒。
最後はゾンビを支配しているビデオを破壊し、同級生のカナブンとともに街へと繰り出す。

橋本トモジ(演:宮崎吐夢)
アイコの先輩。極度のゾンビオタクで、アイコの見つけたビデオで知識を披露する。
宮崎吐夢は代表作に『ハチミツとクローバー』、『さよなら歌舞伎町』などがあります。
ジョージ・A・ロメロのゾンビ映画を崇拝し、同年代のゾンビ映画を多くコレクションする。
実際にゾンビハザードが起きても、何もする事ができず、アイコに助けられるだけ。
逃げているうちに油断して噛まれてしまい、最後の方ではゾンビ化する一歩手前になる。
ビデオでゾンビ化を治すはずが、逆にモンスターとなるもアイコの活躍で処分される。

ヤスデ(演:鳥居みゆき)
ゾンビ軍団を束ねるリーダー。40年前に発生したゾンビハザードの生き残り。
鳥居みゆきはピンのお笑い芸人で映画の代表作に『全然大丈夫』、『虎影』があります。
10年前に米軍基地を脱出し、地下に潜んで反撃の機会をずっと狙っていた。
脳ミソがむき出しになっているが、意識を保っていて普通の人間と同じく会話が可能。
カナブンを誘拐して妹として育てるが、それは自分が人間である事を忘れない為。
最後はカナブンによって脳ミソを取られ、バカになって人畜無害の存在になる。

カナブン/金山文子(演:中島早貴)
ゾンビ軍団を束ねるヤスデの妹。ランドセルを背負い、ヤスデのサポートをしている。
中島早貴は代表作に『仔犬ダンの物語』、『王様ゲーム』などがあります。
常にビーフジャーキーを携帯し、人肉を欲しがるヤスデの欲求を抑える役目を果たす。
ずっと自分もゾンビだと思い込んでいたが、実際はただの人間で誘拐されていたと知る。
アイコとは同級生だった事もあって、事実を知ってヤスデから離れてしまう。
最後は自分を襲うとしたヤスデの脳ミソを引きちぎって無力化させてアイコとともに街へ。

宇津瀬ミツオ(演:大堀こういち)
アイコが勤務する映像製作会社の社長で、同じビルの一階で系列会社を営業している。
大堀こういちは代表作に『シコふんじゃった。』、『悪夢のエレベーター』などがあります。
オネエで映像製作会社の部長とは恋人関係で、アイコたちが来るまでゾンビ襲撃を知らず。
40年前に米軍と協力して作った「ゾンビ学入門」について当時の出来事を解説した。
ビデオを手本に武器を作り、ゾンビ化を治す三本目のビデオを橋本に見せようとする。
しかし、モンスターに変化した橋本によって緑色の液体をかけられて溶けてしまう。

真佐クル世(演:菅野麻由)
40年前に製作された「ゾンビ学入門」でゾンビについて解説や撃退方法を紹介する。
菅野麻由は代表作に『ゾンビアス』、『いま、殺りにゆきます』などがあります。
ビデオではセクシーさと爽やかさで実際のゾンビを相手に撃退を明るく伝えている。
実はゾンビたちを支配する信号を送っていて、橋本をモンスターに変えてしまう。
最終的に橋本を使って人間たちを支配しようとするが、覚醒したアイコによって破壊される。

感想

個人的な評価

本作は和製ゾンビ映画であると同時にバカ映画でもあります。
コメディ色の強いゾンビ映画と言えば、何度も書いていると思うが『ショーン・オブ・ザ・デッド』がダントツで面白い作品です。
ハリウッドじゃないイギリス映画だからこそ、あのような雰囲気が出せるゾンビ映画です。
邦画には多くのゾンビ映画があるけど、劇中でも言っているようにロメロ監督の影響によって日本でも作られるようになりました。
そもそも、ゾンビ映画と低予算作品は非常に相性が良いので、邦画でもバンバン作ってもおかしないでしょう。
ですが、基本的にゾンビ映画好きは海外に比べて日本では少ないので、需要に対する供給は限られてしまう。
和製ゾンビ映画はあまり面白いのないが、最近では『オー・マイ・ゼット!』は邦画特有の会話劇を中心にした作品でした。
『オー・マイ・ゼット!』はかなり面白い作品なので、オススメしたいが、本作はその路線とは少し違っています。
展開がメチャクチャなバカ映画という位置づけで、製作側も意識した演出となっている。
特に製作側がゾンビ映画について熟知しており、その知識を惜しげもなく披露しているのは大きいと思います。
多くのゾンビ映画を例題に出しているが、ほとんどが70年~80年代の古い作品で、ある意味、ゾンビ映画史の勉強にもなります。
低予算ゾンビ映画らしく、舞台は弱小映像製作会社のビルに限定されています。
面白いと思ったところでは、ゾンビを倒す時に派手な血飛沫があるので、ビルを汚さない為に予め養生ビニールを貼っているのが素晴らしい。
これを内装工事に見せかけて、実はビルを汚さない為の準備なのは許せる演出でした。
こういうバカ映画では理屈など考える必要性がなく、どこまで製作側がバカをやってくれるかがポイントとなります。
本作では主人公が急にゾンビハンターとなったり、ゾンビを率いるリーダーが意識のあるゾンビだったり、ゾンビオタクは最後まで使えないなど、ネタは豊富に揃っている。
それを実現させる役者たちも頑張っていて、主人公には強さよりも可愛らしさが求められ、矢島舞美は確実に役目を果たしていました。
意識のあるゾンビに鳥居みゆきをキャスティングしたのは非常に大きく、最後にバカとなる演技もなんだか愛らしい印象です。
ゾンビオタクを演じた宮崎吐夢の止まらない知識の吐露は典型的な姿で見事に体現する。
本作のゾンビはメイクもしっかりしているが、安っぽいカラーコンタクトだけは微妙だが。
ロメロ監督の名前が何度も登場している事なので、当然、ゾンビはクラシック型でノロノロと近づくもアゴの力は強烈です。
全体的にコメディタッチのゾンビ映画で、安っぽさがあるけど、バカ映画としてちゃんと機能しているのはいいと思う。
やろうとしている事は伝わってくるが、もう少し予算をかけて工夫した方がいいかなと。
もちろん、ゾンビ映画に興味のない人にとってクソ映画だが、多くのゾンビ映画を観ている人ならば本作は一定以上の評価を与えるでしょう。