作品紹介
公開年月 | 2018/09/14 |
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ジャンル | ドラマ/伝記/犯罪 |
原作 | なし |
監督 | ヤン・ドマンジュ |
脚本 | アンディ・ワイス、ローガン・ミラー、ほか |
製作 | ジョン・レッシャー、ダーレン・アロノフスキー、ほか |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
1983年、デトロイトに暮らす不良少年のリチャード・ウェルシュ・JrはFBIの情報提供者として活動するようになる。
ウェルシュ・Jrはアメリカ史上最年少の情報提供者で、囮捜査に貢献するもFBIはその功績を一切報いる事はなかった。
それに憤慨したウェルシュ・Jrはコカインの密売をして、弱冠16歳にして麻薬ビジネス界の大物までのし上がるのだった。
登場人物&出演者
・リック/リチャード・ウェルシュ・Jr(演:リッチー・メリット)
主人公。デトロイトで父親と姉とともに暮らす。劣悪な環境で自然と不良少年となる。
リッチー・メリットは本作が長編映画デビュー作となります。
地元のギャングに詳しい事からスナイダー捜査官から囮捜査の情報提供者として引き受ける。
情報提供者だとバレてしまい、腹を撃たれて一命を取り留めるも人工肛門になってしまう。
惨めな生活から抜け出す為にアート・デリックと組んで麻薬王となって幸せを手にする。
最後はドラッグ売人として逮捕され終身刑となるが、30年の服役を経て仮釈放が認められた。
・リチャード・ウェルシュ・Sr(演:マシュー・マコノヒー)
ウェルシュ・Jrの父親。違法に売られている銃を見本市で購入して売り捌いている。
マシュー・マコノヒーは近年の出演作に『ダークタワー』、『ゴールド/金塊の行方』がある。
将来はビデオ店を開いて子供たちの為により良い未来を与える為に金を稼ごうとする。
FBIが情報提供者として話しを持ちかけると、拒否するもリックが無断で協力してキレる。
惨めな生活から抜け出す為にリックのドラッグ売買を手伝い、望んでいた幸せを手にした。
最後はリックが逮捕されて減刑の為に奔走するが、結局は叶わず2014年に他界した。
・ドーン・ウェルシュ(演:ベル・パウリー)
ジュニアの姉。ロクデナシの父親に辟易している。ドラッグに溺れているが納得している。
ベル・パウリーは代表作に『ロスト・エモーション』、『メアリーの総て』などがあります。
あまりにもだらしない父親に呆れてしまい、ほとんど変わらないクズ野郎の恋人の元に行く。
久しぶりにリックと会うもドラッグ漬けで顔色が悪く、借りた祖父の車まで盗まれた。
ドラッグ漬けからリックと父親に助け出され、薬が体から抜けて平穏な日々を送っていく。
最後は服役するリックの為に彼の娘を連れて来て、父親とともに欠かさず面会に来ると誓う。
・バード捜査官(演:ロリー・コクレーン)
デトロイトを中心に活動するFBI捜査官。スナイダーと組んで街のギャングを捜査している。
ロリー・コクレーンは代表作に『パブリック・エネミーズ』、『ブラック・スキャンダル』などがあります。
ウェルシュとは顔見知りで情報提供を依頼するも断られ、リックに目をつけて協力させる。
態度の悪いリックに父親の犯罪を提示して、協力する代わりに逮捕しないと条件を言う。
リックが勝手にドラッグを売り捌き始めると、それを無視してジャクソン刑事に任せていた。
最後はリックの擁護を父親に約束するも通じず、目的だった市長も逮捕できずに失敗する。
・スナイダー捜査官(演:ジェニファー・ジェイソン・リー)
デトロイトを中心に活動するFBI捜査官。地元のギャングに詳しいウェルシュに接触する。
ジェニファー・ジェイソン・リーは代表作に『ミセス・パーカー/ジャズエイジの華』、『ヘイトフル・エイト』などがあります。
当初は父親に情報提供を依頼するが、彼よりも詳しいリックに目をつけて協力させる。
上から目線でリックを脅すジャクソン刑事を制し、あくまで同じ目線で情報提供を依頼する。
リックがジョニーの仲間に撃たれると見舞いに来て、情報を提供して彼らを逮捕させた。
最後はリチャードにリックの減刑を裁判に直訴するも通用せず、市長の逮捕にも失敗した。
・ジャクソン刑事(演:ブライアン・タイリー・ヘンリー)
デトロイト警察の麻薬課に属する刑事。リックが情報提供者となる事で指示していく。
ブライアン・タイリー・ヘンリーは代表作に『ビール・ストリートの恋人たち』、『チャイルド・プレイ/2019年版』などがあります。
当初は無礼なガキとして悪態をつくが、リックが思っていた以上の成果を挙げて認める事に。
リックを終始に渡ってまったく信用せず、彼を利用してギャングたちから情報を引き出す。
更にドラッグを与えて売り方を教えて、リックに麻薬王としての足がかりを作る元凶となる。
最後は麻薬王となったリックを待っていたかように逮捕し、喜々として理由を述べていた。
・キャシー・ヴォルサン=カリー(演:テイラー・ペイジ)
デトロイト市長の姪。ジョニーとは恋人。お嬢様育ちながら犯罪者のジョニーと結婚する。
テイラー・ペイジは代表作に『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』などがあります。
どんな男でもメロメロにする色気を放っていて、唯一の白人であるリックも魅了していた。
市長の姪としてのメンツを重んじていて、ジョニーが小バカにされても優先していた。
ジョニーが逮捕されると、ずっと見ていたリックを誘って彼の念願だった肉体関係となる。
最後はリックがFBIとの取引で市長を逮捕するエサにされるが、結局は失敗してしまう。
・ブー・カリー(演:RJ・サイラー)
デトロイトを仕切っている黒人ギャングのジョニーの弟。白人であるリックと親友の関係。
RJ・サイラーは代表作に『ぼくとアールと彼女のさよなら』、『パワーレンジャー/劇場版』などがあります。
ジョニーたちはすでに犯罪者として足を洗えない状況だが、まだマトモな将来を期待される。
情報提供者となったリックの正体を知らず、一緒にドラッグを売り捌いて悪の道に走る。
最後は撃たれたリックの情報提供でカリーの一家が逮捕され、その道連れとして捕まった。
・ジョニー・カリー(演:ジョナサン・メジャース)
デトロイトを仕切っている黒人ギャングのボス。10年に渡ってドラッグや武器を売っている。
ジョナサン・メジャースは代表作に『荒野の誓い』、『キャプティヴ・ステート』がある。
父親の集めた武器を売りに来たリックの度胸を認め、弟の友人という事で快く購入する。
リックが勝手にドラッグを売り捌いていたのを知ると、注意するも彼の腕前を評価していく。
売人の抗争で警察沙汰となってしまい、リックが情報提供者だと知って殺しを命じた。
最後は生き延びたリックの情報提供で逮捕され、有罪となって20年の服役をする事になる。
・アート・デリック(演:エディ・マーサン)
年の半分以上をマイアミで過ごし、キューバ人の密売人とドラッグの商売をしている。
エディ・マーサンは代表作に『ハッピー・ゴー・ラッキー』、『シャーロック・ホームズ』シリーズなどがあります。
ジョニーの結婚式に参加していて、挨拶に来たリックと親しげに仕事の口添えを約束した。
最後は撃たれたリックが惨めな生活から抜け出す為に仕事を与え、彼を麻薬王に仕立てた。
感想
個人的な評価
本作は実在したリチャード・ウェルシュ・Jrの実話を描いた作品となります。
『ブラック・スワン』でアカデミー賞を受賞したダーレン・アロノフスキーが製作として参加しています。
モデルとなったリチャード・ウェルシュ・Jrは存命中で、1987年に8キロのコカイン所持で終身刑の有罪となっている。
その後は30年に渡って模範的な服役者として認められ、2017年には仮釈放されています。
80年代のデトロイトは自動車産業が衰退した事を受けて、失業者で溢れかえって治安はアメリカの都市で最悪だったと言われています。
その中で育ったリックは当然のようにマトモな人生を歩まず、16歳にして麻薬王になるのは自然な流れだと言えるだろう。
何よりデトロイトは多くの黒人がいる中で、白人として彼らに溶け込んでドラッグを売り捌いていた事から本作のタイトルの名前がついたという。
そんな主人公のリックを演じるのはリッチー・メリットだが、本作が映画デビュー作というだけじゃなく、演技も初めてというヤン・ドマンジュ監督が期待する新人です。
パッと見の印象からジェシー・アイゼンバーグのようなイメージだが、残念ながらリッチー・メリットにはオーラがあまりないです。
まず、本作の主演を張るにはリッチー・メリットには華がなく、彼が単独で物語を背負いには色々と足りなかったです。
そんな穴埋めをしてくれたのは主人公の父親を演じるマシュー・マコノヒーであり、その存在感はラストでより強くインパクトを放っています。
本作は80年代の最悪とも言えるデトロイトを舞台にして、マトモな社会じゃない事を主人公の目線を通して伝えてくれています。
環境が人を作るという地で行くような展開であり、主人公のリックは善悪の区別が普通じゃないのは仕方ないと言えるだろう。
それでも、惨めな生活から立ち上がろうとする精神は立派だと思うが、その手段がドラッグというのは決して褒められるような事じゃない。
何度も父親はマトモな仕事をしようとするが、当然のように惨めな生活から抜け出せず、結局はリックのドラッグに頼ってしまったのも罪深いだろう。
結果としてリックだけが捕まって終身刑を食らう事になるが、自業自得の有罪に同情は湧かないが、そのような環境と時代に生まれた彼には同情します。
30年に渡って非暴力犯罪者として最も長く服役して、ようやく仮釈放が認められた彼の言葉には自分の過ちを悔いていた思いが伝わってきます。
今後のリックは家族を大事にする良き人間になると分かっただけでも、彼にとって本作の意味が出てくるだろうと感じました。