ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 RE-2870

作品紹介

公開年月  2018/01/12
ジャンル  サスペンス
原作  ワシントン・ポスト 『ペンタゴン・ペーパーズ』
監督  スティーヴン・スピルバーグ
脚本  リズ・ハンナ、ジョシュ・シンガー
製作  エイミー・パスカル、スティーヴン・スピルバーグ、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

1971年、泥沼化するベトナム戦争で国防総省は調査と分析した文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を作成するが、ニューヨーク・タイムズが一部をスクープした。
ライバル紙に先を越されたワシントン・ポストでトップの女性発行人キャサリン・グラハムと編集主幹ベン・ブラッドリーは焦ってしまう。
キャサリンとベンは残りの文書を入手しようと奔走し、政府を敵に回してまで信念を懸けた決断をするのだった。

登場人物&出演者

キャサリン・グラハム(演:メリル・ストリープ)
ワシントン・ポストの発行人。夫のフィリップが自殺して、会社を引き継ぐ事になった。
メリル・ストリープは近年の出演作に『メリー・ポピンズ/リターンズ』、『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』などがあります。
役員や高いポストにいる経営陣から信頼されず、家族経営に問題があると指摘されている。
国防長官とは長年の友人であり、彼のメンツを潰すニュースを記事にする事を躊躇っていた。
文書の掲載をする強い覚悟を持った事で、無視されていた立場を捨て、経営者として成長。
最後は他の新聞社も味方となり、ブラッドリーとともにワシントン・ポストを有名紙にした。

ベン・ブラッドリー(演:トム・ハンクス)
ワシントン・ポストの編集主幹。週刊誌であったニュースウィークから引き抜かれている。
トム・ハンクスは近年の出演作に『ザ・サークル』、『インフェルノ』などがあります。
記事を決める重要なポジションを担い、キャサリンの意見にも反対をハッキリと示している。
以前は記者としてケネディと付き合いがあって、彼を批判する記事を一切書かなかった。
文書を入手して記事にするべく敏腕の記者たちを集め、数時間で精査して掲載を目指した。
最後は裁判でも他の新聞社が味方となり、地方紙から全国紙へと会社を有名にする事に成功。

ベン・バグディキアン(演:ボブ・オデンカーク)
ワシントン・ポストの編集局次長で記者。以前はシンクタンクのランド研究所に勤務した。
ボブ・オデンカークは代表作に『ケーブルガイ』、『ネブラスカ/ふたつの心をつなぐ旅』などがあります。
国防長官の報告書を暴露したエルズバーグの元同僚で、文書を手に入れるべく彼を探す。
エルズバーグを探すべく手当たり次第に電話をかけ、ようやく居所を突き止めて接触する。
ニューヨーク・タイムズが差し止めを受けてしまうと、代わりとして文書を掲載すると約束。
最後は情報源の危険さを承知で記事を書き上げ、キャサリンが許可して公表する事に。

フリッツ・ビーグ(演:トレイシー・レッツ)
ワシントン・ポストの取締役会長。夫の会社を受け継いだキャサリンをサポートしている。
トレイシー・レッツは代表作に『追跡者』、『レディ・バード』などがあります。
役員会で発言力がないキャサリンに代わって、彼女の考えを役員たちに力強く話していた。
あくまでキャサリンの味方であり、彼女の経営手腕に疑問を持つアーサーを止める役になる。
ブラッドリーがどうしても文書を掲載すると譲らず、キャサリンに電話をして助言を与えた。
最後は掲載する決断したキャサリンに従い、不本意として反対するアーサーを制止した。

アーサー・パーソンズ(演:ブラッドリー・ウィットフォード)
ワシントン・ポストの取締役。自殺したキャサリンの夫フィリップを慕っていた。
ブラッドリー・ウィットフォードは代表作に『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』、『ゲット・アウト』などがあります。
会社を取り仕切るのがキャサリンになり、経営的に厳しくなって辛辣な意見を述べていた。
家族経営に疑問を持っていて、役員を増やすべきという意見をキャサリンに申しつけた。
あくまで会社をビジネス方面から考えていて、株主や社員たちの安定した将来を口にする。
最後は文書の公表を決めたキャサリンに反対するが、その場で彼女にクビを宣告された。

ロバート・マクナマラ(演:ブルース・グリーンウッド)
第8代アメリカ合衆国国防長官。ベトナム戦争について政府の意向を汲んで対応していた。
ブルース・グリーンウッドは代表作に『ザ・コア』、『スター・トレック』シリーズがある。
実際はベトナム戦争の実情を政府が隠している事に罪悪感を持ち、報告書を作らせた。
戦地へ赴いたエルズバーグが報告書を公表した為、メンツを潰される状況に追い詰められる。
長年の友人だったキャサリンを味方につけようとするが、結局は裏切られてしまった。
最後は助言を求めたキャサリンに政府の恐ろしさを訴え、文書の公表を止めるべきだという。

ダニエル・エルズバーグ(演:マシュー・リス)
元アメリカ合衆国軍事アナリスト。戦地へ赴いて戦況は泥沼化している事実を知る事になる。
マシュー・リスは代表作に『タイタス』、『デス・フロント』などがあります。
国民に実態を隠し続ける政府に罪悪感を持ち、ニューヨーク・タイムズに文書を渡した。
ニューヨーク・タイムズが司法省から差し止めされ、今度はワシントン・ポストを頼った。
政府に対する反逆行為で刑務所行きの罪でも、国民に公表するべきだという信念を持つ。
最後は文書を持ち出した当人としてテレビに出て、政府のやった事は間違っていると断言。

感想

個人的な評価

本作は『第90回アカデミー賞』にて作品賞と主演女優賞にノミネートされています。
他に『第75回ゴールデングローブ賞』では作品賞(ドラマ部門)、監督賞、主演女優賞(ドラマ部門)、主演男優賞(ドラマ部門)、脚本賞、作曲賞にノミネートされています。
常に大衆映画を撮っているスティーヴン・スピルバーグ監督がシリアスな珍しくシリアスで社会派の作品を撮りました。
本作はスピルバーグ映画の中でも最も短い期間で製作された作品だとなっています。
その理由として、当時の大統領選でドナルド・トランプが当選する事をスピルバーグ監督が危惧していたからだという。
本作は政府の大規模で長年に渡る隠蔽体質を暴露した作品であり、これは決して他人事じゃない問題だと思います。
最初に取り上げたニューヨーク・タイムズはすでに世界的な新聞社として認知され、新聞が出た当時は大きな話題になりました。
とにかく、本作では経営の経験がまったくないキャサリンが除け者にされ、役員会で話しが進んでいく場面が印象的でした。
家族経営のおかげで社長のポストにいるが、役員は誰もキャサリンを認めていない非情なる現実が垣間見えました。
だからこそ、ブラッドリーが動いて文書を手にした時、迫った重要な決断を下す事ができたのかもしれません。
許可するのは簡単だが、それまでの過程はどんなに難しく、個人の欲望だけでは下せない苦しさが伝わってきます。
しかし、決断を下した後のキャサリンが経営者として目覚めて、口出しする役員をクビにしたシーンは素晴らしかったです。
本作では「決断」という大きな役割以外、見せ場がなかったキャサリンを演じたメリル・ストリープの上手さを改めて実感させられました。
それまでは頼りなくて、役員会でも発言できない弱い立場だったのに、決断を下した後の強くて信念のある姿はいい意味でまるで別人でした。
ただ、ワシントン・ポストを一躍国際的に有名にした『ウォーターゲート事件』がエピローグで出ているので、もしかすると続編の可能性がある。
またも同じキャストで是非とも続編を製作して、特にキャサリンの成長を見てみたいと思わせる作品でした。