作品紹介
公開年月 | 1975/02/18 |
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ジャンル | カンフー/アクション |
原作 | なし |
監督 | ホー・メンファ |
脚本 | ニー・クァン |
製作 | ランメ・ショウ |
製作国 | 香港 |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
清朝の暴君である雍正帝は背く者を処刑していたが、人望の厚い忠臣たちを暗殺するように命じていた。
命令を受けたシンは「血滴子」という恐ろしい暗器を開発し、それは円盤のように飛び、敵の首に取り付いて瞬時に切断するという。
その使い手として訓練を受けたマーは非情な帝のやり方に反旗を翻し、かつての仲間たちに追われる事になるのだった。
登場人物&出演者
・マー・トン(演:チェン・カンタイ)
主人公。皇帝護衛官。血滴子の使い手として訓練を受ける。優秀な腕前で褒賞を受ける。
チェン・カンタイは代表作に『嵐を呼ぶドラゴン』、『燃えよ!じじぃドラゴン/龍虎激闘』などがあります。
当初は裏切り者の暗殺だけだと思っていたが、民から慕われる忠臣の殺害に考えが変わる。
弟が血滴子で殺されると、暗殺者としての任務に疑問を持ち、ルオの助けで脱走をする。
女芸人のユー・ピンに助けられると、一緒に暮らして子供を儲けて平和に過ごしていた。
最後はシューに追い詰められるが、家族を守る強い意志によって勝利して平穏を手にする。
・シエ・ティエンフー(演:ウォン・ユー)
皇帝護衛官。マーの弟。優れた技術を持つ兄と違い、吊り輪で高い身体能力を見せつけた。
ウォン・ユーは代表作に『少林虎鶴拳』、『少林寺三十六房』などがあります。
それが雍正帝の目に止まると、すぐに宮中の女性ワンジューを褒美にもらうも戸惑った。
雍正帝のお墨付きをもらい受けると、ワンジューを正式な妻に迎えて仲良く暮らしていた。
マーと同じく裏切り者ではなく、民衆から慕われる忠臣の暗殺に困惑して拒んでしまう。
最後は裏切り者としてシューの告げ口で雍正帝に知られ、ワンジューとともに暗殺された。
・ルオ・ポン(演:リン・ウェイツー)
皇帝護衛官。マーとシエ兄弟と非常に仲が良く、常に二人と一緒に行動を共にしている。
リン・ウェイツーは代表作に『北京原人の逆襲』、『Big Brother Cheng』などがあります。
マーとシエが雍正帝から褒美をもらうと、自分の事のように彼らと一緒に喜んでいた。
裏切り者の暗殺について考えが違ってきたマーたちと同じく、任務に対する不安を持つ。
シエが暗殺されると、次はマーの番だと察知すると、彼を逃がすべく助力をしていた。
最後は逃亡生活を送っていたマーを見つけて挨拶するが、シューの襲撃で殺されてしまう。
・ユー・ピン(演:リュウ・ウーキー)
ヒロイン。女芸人。政治を風刺にした歌と踊りを披露して町中で日銭を稼ぐ日々を送る。
リュウ・ウーキーは代表作に『金瓶梅』、『The Teahouse』などがあります。
逃亡していたマーが食堂に立ち寄ると、小銭を分けてもらうとして彼から匿う事を頼まれる。
その縁で追われていたマーを助け、ケガした彼の治療まですると一緒に暮らす事になる。
マーが農作業に精を出す中で妊娠していて、平穏な日々を送るも魔の手が忍び寄っていた。
最後はシューの襲撃を受けて子供と逃げ出し、マーが無事に帰って家族ともに幸せに暮らす。
・ワンジュー(演:アイ・ティー)
雍正帝に使える宮中の女性。吊り輪での高い身体能力を発揮したシエの褒美として贈られる。
アイ・ティーは代表作に『燃え立つ欲望』、『Crazy Bumpkins』などがあります。
初めての女性に当初戸惑っていたシエは、宮中の女性だと分かって初夜は何もされず。
次の日には雍正帝からお墨付きをもらうと、正式にシエの妻として彼を支えていく。
最後はシエが暗殺を拒んだ事が雍正帝に知られると、夫とともに血滴子によって殺された。
・シン・カン(演:クー・フェン)
雍正帝の配下。恐怖政治を敷く雍正帝に逆らえず、忠臣を暗殺する殺人武器を開発していく。
クー・フェンは代表作に『片腕必殺剣』シリーズ、『プロジェクトBB』などがあります。
その結果、暗器「空飛ぶギロチン」を開発して、雍正帝から精鋭12人の訓練を任命される。
特に優秀なマーとシューは皇帝から高く評価され、怯えていた日々から解放されていく。
弟が暗殺された事で裏切り者となったマーの殺害を命じられると、葛藤しながらも実行した。
最後はシューの裏切りによって雍正帝の殺害命令を下され、呆気なく血滴子で殺される。
・シュー・シュワンクン(演:ワイ・ワン)
皇帝護衛官。最初に投擲で血滴子を見事に命中させ、マーとともに皇帝から褒賞をもらう。
ワイ・ワンは代表作に『少林寺列伝』、『続・空飛ぶギロチン/戦慄のダブル・ギロチン』などがあります。
次第にマーとの差が決定的になっていくと、皇帝の贔屓をもらう彼に敵意を募らせていく。
皇帝に対してマーの裏切りを吹聴すると、暗殺を拒んだシエの行動を逐一報告していた。
シン・カンとともにシエの暗殺に赴いていき、喜んで彼の妻ワンジューを殺害した。
最後はシン・カンも陥れ、マーを追い詰めていくが、家族を守る彼の強固な意志に負ける。
・雍正帝(演:ヤン・チャン)
清朝の第5代皇帝。清に逆らう者は一族とも処罰する。他人を信用せず相談役すら殺害する。
ヤン・チャンは代表作に『中国超人インフラマン』、『Naked Fists of Terror』がある。
圧政を敷いて抵抗する組織を処罰した事で忠臣から諫める上申書を受け取るも憤慨していた。
そこで配下のシン・カンに忠臣の暗殺を命令し、血滴子という殺人兵器を開発させた。
次々と裏切り者を暗殺していくが、疑問を持つシエが出てくると容赦なく殺害を命じる。
最後はシューの策略でシン・カンを殺害させ、結果的に優秀な部下をすべて失う事になる。
感想
個人的な評価
本作はジミー・ウォングの『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』のモデルにもなったカルト的な人気の作品となります。
この作品のタイトルになっている殺人兵器“血滴子”は清の時代で実際に秘密組織が使っていた歴史的な背景を基にしています。
どう考えても血滴子は実用的じゃないが、実際に使われていたようで多少の脚色をしているカンフー映画らしい作品である。
70年代のカンフー映画は単純明快なストーリーが多く、まさに勧善懲悪という図式で物語を進めていきます。
本作では国を統治する雍正帝を「悪」に見立て、主人公で暗殺者となったマーを正義としてキャラクターを配置しています。
ただ、実際の雍正帝は厳しいながらも安定した国作りをした名君であり、本作では苛烈なほどに悪の部分を出している。
本作はちゃんとしたストーリーを構築していて、主人公が雍正帝のやり方に反旗を翻す展開は正義という感じが良く出ています。
これもまた70年代らしく、ヒロインは中盤過ぎに登場してピンチを迎えた主人公を助けていく都合の良い展開もまた王道的だと思います。
それとヒロインが登場してから時間経過が一気に飛ぶのも70年代のカンフー映画で、最初は戸惑う事があっても慣れるしかありません。
やはり、ラストも悪人を倒してからあっさりとエンディングを迎えるところもスッキリしているが、黒幕とも言える雍正帝はまだ生きているという。
主人公のマーは兄弟同然だった仲間をすべて倒してしまい、多くの血を流しながらも平穏を手にする点では雍正帝とあまり変わらないような気がします。
本作では兄弟同然の関係でも信用できない構図を描いていて、そこら辺は時代背景を考えるとなんだか恐ろしい印象を持ちます。
確かに圧政を敷く雍正帝は恐ろしい存在だが、お互いを監視して密告する関係性もまた恐ろしいと感じさせる一面を持ったシリアスな作品でした。