作品紹介
公開年月 | 2016/10/13 |
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ジャンル | パニック/災害 |
原作 | なし |
監督 | サリク・アンドレアシアン |
脚本 | セルゲイ・ユダコフ、アレクセイ・グラヴィッキー |
製作 | ゲヴォンド・アンドレアシアン |
製作国 | アルメニア、ロシア |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
石造りの重厚な建造物が建ち並ぶ町レニナカンは昼時に差しかかろうとした時、巨大地震が発生し建物が崩壊し、地面に亀裂が入ってしまう。
人々はパニック状態になって町は一瞬にして壊滅状態となる中、生き長らえた男たちは人命救助に動き出す。
青年ローベルトは瓦礫の下から女性の声を聞きつけるが、どうする事もできず、救助にあたる男から夜の救助は危険だと止められる。
レニナカンの夜は寒く、生存者救出のリミットが刻一刻と迫っていくのだった。
登場人物&出演者
・ローベルト(演:ヴィクトル・ステパニヤン)
幼少時、家族でドライブを楽しんでいた時、コンスタンティンの車と衝突して一人生き残る。
ヴィクトル・ステパニヤンは代表作に『Vse o muzhchinakh』があります。
コンスタンティンの名前は知らなくても住んでいる場所を知っていて、復讐を考えていた。
地震が発生して戸惑う中で人助けをしていた時、生き埋めになったリリットを発見する。
その時に復讐したかったコンスタンティンと会うが、一生懸命人助けする彼の姿で見直した。
最後はコンスタンティンの頼みを聞いて、知らず天涯孤独となった彼のの息子を引き取る。
・コンスタンティン(演:コンスタンティン・ラヴロネンコ)
元軍人で建築家。過去にローベルトの家族を事故で殺してしまう。8年に渡り服役していた。
コンスタンティン・ラヴロネンコは代表作に『父、帰る』、『ヴェラの祈り』があります。
家族と再会する為に故郷へ戻ったが、地震に遭遇して家に戻るとローベルトと合流する。
生き埋めになっているリリットを助けたいローベルトを諭し、暖を取る方が先決だと説得。
現場で指揮を執って生き埋めになった人たちを助けるが、火事場泥棒の一人に刺される。
最後はリリットを見事に助けたローベルトに家族を託して、出血大量で亡くなった。
・リリット(演:タイトフ・オーヴァキミヤン)
学生。兄のスレンと同居する。同じアパートに住むアコピアンにテーブルを贈られるが困惑。
タイトフ・オーヴァキミヤンは本作が長編映画デビュー作となります。
地震が発生してアパートから逃げ出せず、スレンがテーブルを動かした事で辛うじて助かる。
生き埋めになっていたところをコンスタンティンに発見され、助けようと声をかけられる。
ローベルトと似たような境遇で育ったせいか、顔を知らない二人に強い絆が生まれる。
最後は無事に助け出されると、テーブルを贈ったアコピアンに感謝の言葉を伝えた。
・アコピアン(演:アルメン・マルカリャン)
リリットとは知り合い。墓で働いている。リリットに片想いをして彼女に贈り物をしている。
アルメン・マルカリャンは代表作に『Moxrotik: Cinderella』、『Party Up』があります。
地震が発生して仲間を安全なアーチの下に案内するが、彼らが生き埋めになって呆然とする。
コンスタンティンたちと合流して病院の跡地に到着すると、悲しみながらも遺体を運ぶ。
馬車を自分で引いて黙々と遺体を運び出し、リリットの礼を聞いてもずっと上の空であった。
・ミーシャ(演:ミカエル・ジャニベクヤン)
運転手。誕生日会に人を呼んでいたが、地震が起きてほとんどが死んで冗談を言っていた。
ミカエル・ジャニベクヤンは代表作に『Tchermak anurjner』、『Pobeg iz Moskvabada』などがあります。
軽口を叩いているが、それは突然起きた出来事でパニックを起こさない為にやっている。
瓦礫の中からコンスタンティンの娘が持っていたリコーダーを手にし、音楽を吹いていた。
リリットを助ける為に車を発進させるが、火事場泥棒に銃を向けられても降りなかった。
最後は見事にリリットを瓦礫の中から救い出し、彼女に見取れるローベルトに軽口を叩いた。
・セニック(演:ソス・ジャニベクヤン)
ローベルトのはとこで両親のいなかった彼の兄同然で育った。理髪師として店を経営する。
ソス・ジャニベクヤンは代表作に『Taxi Eli Lav A』、『The Path of Our Dream』がある。
調達屋でもあって、コンスタンティンに復讐をしたい弟のローベルトに銃を手渡した。
地震が発生してなんとか助かると、本来の姿である泥棒になって金や高級品を仲間と略奪。
その途中で人助けするローベルトと再会し、彼を仲間に引き入れようとするも断られる。
最後はトラックで逃げる為にローベルトたちのところに来るが、結局は取り押さえられた。
・エレム(演:ミカエル・ポグホシアン)
娘が不倫の末に妊娠した事に腹を立てている。妻に宥められても一切曲げない頑固な性格。
ミカエル・ポグホシアンは代表作に『Dzentzaghikner yev Edelveysner』、『Thank You, Dad』などがあります。
地震が発生時に外でタバコを吸っていたおかげで助かるが、妻は生き埋めになってしまう。
妻を助けていた時、娘の夫が命と引き換えに子供を救った事を知り、後悔の念で彼を許した。
病院の跡地で孫を産んだばかりの娘を見つけると、彼女を許して涙を流しながら家に帰る。
最後は懸命に取り払っていた瓦礫の中から妻を救い出し、喜びの踊りをして立ち上がった。
感想
個人的な評価
本作は1988年12月7日にアルメニアの北部にあるロリ地方で発生した地震を基にした作品。
別名を“1988アルメニア地震”や”スピタク地震”と呼ばれ、マグニチュード7.2の大地震で多数の犠牲者を出していました。
地震大国である日本は耐震技術が発展しており、国民自体も慣れている事もあって、他国と比べて大きなパニックはないと思います。
アルメニアも地震大国と呼ばれ、20年経った今でも仮設住宅に住む人々がいる状況である。
本作は災害映画に良くある群像劇となりますが、別々の場所で起きている事が最終的に一つの点になるという構成になっています。
あくまで本作は地震から逃げるよりも、発生後から人々がどのような状況なのかを淡々と描写していくだけです。
その為、物語自体の掘り下げが浅く、個々のエピソードも薄いが、ちゃんと人間ドラマを描いている作品です。
過去の罪で服役して故郷に帰る男、家族を殺されて復讐に駆られる青年、不倫して妊娠した娘を許せない初老の男など、彼らの状況を分かりやすく提示している。
そこから地震が発生し、今までの生活が破綻する中で、生き埋めになった人たちをなんとか助け出そうとする。
これは本作だけの物語ではなく、日本でも近年起きた「東北地方太平洋沖地震」も7年経過していても、未だに爪痕を残しています。
地震大国と呼ばれる日本では決して他人事ではなく、このような事がいつ起きても不思議ではないと改めて認識させられます。
いくら日本の建物は耐震強度が高いと言っても、絶対に崩れないという保証はないし、地震が起きた時の一瞬の判断で生死を分けるのも分かります。
本作では多くの人が生き埋めになった人々を助け出しているが、その中には金品を狙う火事場泥棒の存在もありました。
海外では自然災害や暴動が起きると、当たり前のように略奪する火事場泥棒というのが起きてしまいます。
平和な日本はそのような事はないとは言い切れるモノではなく、非日常で人間はどのような行動を取ってしまうのか分からないのです。
そんな本作は人々の悲しみが多く詰まっているが、それでも奇跡や希望を信じる心で人は立ち上がっていくメッセージも込められていました。
映画としての面白さはそこまでないが、地震について色々と考えさせられる作品でした。