マネー・ショート/華麗なる大逆転 RE-2278

作品情報

公開年月  2015/12/11
ジャンル  ドラマ/コメディ
原作  マイケル・ルイス 『世紀の空売り/世界経済の破綻に賭けた男たち』
監督  アダム・マッケイ
脚本  チャールズ・ランドルフ、アダム・マッケイ
製作  デデ・ガードナー、アーノン・ミルチャン、ブラッド・ピット、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

2005年、風変わりな金融トレーダーのマイケルは、格付けの高い不動産抵当証券に信用力の低いはずのサブプライム・ローンが組み込まれている事に気づき、破綻は時間の問題だと見抜く。
だが、彼の予測に耳を傾ける者はおらず、マイケルはそこで“クレジット・デフォルト・スワップ”という金融取引で、バブル崩壊の際に巨額の保険金が入る契約を投資銀行と結ぶ。
同じ頃、若き銀行家ジャレッドやヘッジファンド・マネージャーのマーク、引退した伝説のベンも、バブル崩壊の足音を聞きつけ、ウォール街を出し抜くべく行動を開始するのだった。

登場人物&出演者

【元神経科医の資産運用家】
マイケル・バーリ(演:クリスチャン・ベール)
主人公。元神経科医。ファンド・マネージャー。左目はガラスの義眼で他者とのコミュニケーション能力は乏しい。
クリスチャン・ベールは近年の出演作には『エクソダス:神と王』、『ファーナス/訣別の朝』などがあります。
いち早くバブル崩壊を察知し、巨額の保険金を手に入れようと画策します。
明らかに浮いているが、彼の数字を読む能力は確かであり、独自に展開する物語は面白い。
その為の行動力は凄まじく、自分が作り出したCDSによって物語が大きく動いていく。
変人を演じるクリスチャン・ベールはハマっていて、自分の世界に入り込むキャラクターはピッタリでした。

【フロントポイント社とドイツ銀行の銀行員】
マーク・バウム(演:スティーヴ・カレル)
投資家。詐欺を見破る能力に長け、必ず公表する。過去に兄を自殺で失って疑心暗鬼になる。
スティーヴ・カレルは多くのコメディ映画に出演し、最新作はウディ・アレン監督の『カフェ・ソサエティ』となっています。
当初は詐欺を公表するような人間で、ウォール街が詐欺師だらけに不満をぶち撒けている。
本作では金融制度のバカバカしさを知って、反撃に出ようとする姿は印象的です。
何より正義を信じて突き進む姿は主人公とも言えるような立ち回りでした。

ヴィニー・ダニエル(演:ジェレミー・ストロング)
アナリスト。幼い頃に父親を殺されている。数字に強く、暴走しがちなマークを抑える役。
ジェレミー・ストロングはテレビドラマや映画などで活躍しています。
ジャレドを今一つ信用できなかったが、結局は彼のおかげで大儲けをする事になる。

ポーター・コリンズ(演:ハミッシュ・リンクレイター)
ボートの元五輪選手。マークとは以前の会社からの付き合いで、彼の分析能力に心酔。
ハミッシュ・リンクレイターは主にテレビドラマシリーズで活躍しています。
チームの中では影が薄いけど、ジャレドに怒鳴りすぎて背中を痛めてしまいます。

ダニー・モーゼス(演:レイフ・スポール)
トレーダー。チームで一番の楽天家で、根拠のないポジティブ思考のムードメーカー。
レイフ・スポールはテレビドラマ、映画、舞台などで活躍しています。
何かと楽天的な行動をしていて、状況が気まずくても楽しもうとする姿が印象的。

ジャレド・ベネット(演:ライアン・ゴズリング)
ドイツ銀行の銀行員。同僚がCDSの大口契約をした事で一世一代の金儲けを思いつく。
ライアン・ゴズリングはカナダ出身で、近年の出演作には『ロスト・リバー』、『オンリー・ゴッド』などがありまう。
とにかく、本作で経済破綻した時に一番喜んだ人物であり、他人の事など気にしない。
ウォール街の詐欺師たちから金を巻き上げて、大勝利に喜ぶ姿は正義ではない事を自分でも言っているのが面白い。

【ブラウンフィールド・ファンドと伝説の銀行員】
チャーリー・ゲラー(演:ジョン・マガロ)
ジャレドの目論見書を偶然発見して、住宅市場が破綻する事実を知って行動する。
ジョン・マガロは主にテレビドラマシリーズなどで活躍しています。
何かあるとすぐにママへ電話するが、見る目は確かで彼らの勝利に導く案を打ち出す。

ジェイミー・シプリー(演:フィン・ウィットロック)
ヨットの運搬で蓄えた資金で、東海岸のガレージでヘッジファンドを開業している。
フィン・ウィットロックは主にテレビドラマ、映画、舞台などで活躍しています。
夢を見てコロラドのガレージからやって来て勝利する若き投資家として印象的でした。

ベン・リカート(演:ブラッド・ピット)
伝説の銀行員。JPモルガンの元トレーダー。現在は引退して自給自足の生活を目指す。
ブラッド・ピットは俳優の他に映画プロデューサーとしても活躍し、本作でも製作に名を連ねています。
本作では製作も務めているので、おいしい役となっているのは当然でしょう。
一切笑顔を見せないが、それはどんな状況に置かれているか表現している事だろう。

感想

個人的な評価
本作はもの凄く難しい内容を扱った作品だと言える。
ウォール街を扱った作品は数多いけど、本作はその中でもずば抜けて面白いと言えます。
なぜなら、物語は実際にあった世界的な問題を扱った作品だが、コミカルに描かれている。
しかし、本作を理解するには予備知識が必要であり、1回の鑑賞では理解できない。
それほど難しい内容を扱っていて、本作は要所で説明する場面を設けている。
ハッキリ言って、自分は一度鑑賞してからネットで知識をかじって、もう一度鑑賞して本作の面白さを知る事になった。
本作をちゃんと楽しむにはやはり、ある程度の予備知識がないと面白くないだろう。
出演者たちは豪華なキャストであるけど、彼らは物語のシリアスさを伝えている。
主人公を演じたクリスチャン・ベールの孤独さ、スティーヴ・カレルの正義を追う姿勢、ライアン・ゴズリングの強欲さ、ブラッド・ピットの冷静な態度、世界が変わりゆく中で四人の個性が目立つ。
更に引っ張られるように若手投資家のジョン・マガロ、フィン・ウィットロックの立ち回りも非常に興味深いです。
とにかく、本作から伝わるウォール街のクソみたいなやり取りが分かります。
ウォール街を扱った作品の中で本作は観れば観るほど、面白さが出るスルメのような作品。
何より監督が数々のコメディ映画を手がけているアダム・マッケイなので、小難しい内容をコミカルに演出しているのも素晴らしい。
本作は群像劇となっているが、それぞれの立場から見る経済破綻の物語は見逃せない。

業界用語

MBS(不動産担保証券)
MBSは不動産を購入する時の担保を証券化。
銀行が貸し出した住宅ローンをまとめている。
モーゲージ債とも呼ばれる米国の住宅ローン。

CDO(債務担保証券)
CDOにサブプライム・ローンが組み込まれた証券。
様々な債券の寄せ集めでそれぞれランク付けされる。
銀行や投資家のほとんどは中身が分からないのです。

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)
CDSはCDOの保険で主人公が作った証券。
CDOが破綻した時に保険として支払われる。
主人公たちはこれで金儲けをしようとします。