作品紹介
公開年月 | 2013/09/07 |
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ジャンル | SF/アクション |
原作 | 松本零士『宇宙海賊ハーロック』 |
監督 | 荒牧伸志 |
脚本 | 福井晴敏、竹内清人 |
製作 | 池澤良幸、工藤レイ |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
広域指名手配犯の宇宙海賊キャプテンハーロックは、大戦中の英雄にして政府に反旗を翻す全宇宙の敵。
政府より下ったハーロック暗殺命令を受けた青年ヤマは、海賊船アルカディア号に乗組員を装い潜入する。
ヤマはハーロックに近づくにつれ、彼の目的とアルカディア号の正体、そして地球に隠された真実を知る事となるのだった。
登場人物&出演者
・キャプテンハーロック(声:小栗旬)
主人公。アルカディア号の船長。全宇宙から指名手配される。ダークマターにより不死身。
小栗旬は近年の出演作に『君の膵臓をたべたい』、『銀魂』などがあります。
100年前のカム・ホーム戦争では英雄だったが、傲慢な人間を見てブチ切れて裏切る。
地球を絶対の聖地だと考え、暴走した挙げ句、ダークマターで覆いぶっ壊してしまう。
人類は宇宙に必要ないという結論に至り、すべてをぶっ壊そうとする危なすぎる思想を持つ。
最後は地球に咲く花を見て信念をまた曲げて、力をすべて解放してヤマに後を託した。
・ヤマ(声:三浦春馬)
ガイア・サンクションの特殊工作員。アルカディア号に乗組員として潜入している。
三浦春馬は近年の出演作に『進撃の巨人』、『真夜中の五分前』などがあります。
母親が火星に地球の花を咲かせようとした意志を継いでいたが暴走してしまう。
その結果、温室は爆発を起こして兄イソラの足を奪い、ナミの生きる力を奪ってしまう。
多大な罪を背負って特殊工作員になるが、信念を持たないせいで立場をコロコロと変えた。
最後は地球に咲いた花で己の進むべき道を決めて、二代目ハーロックとして船長になる。
・ミーメ(声:蒼井優)
人類が唯一接触できた異星文明「ニーベルング」の生存者。地球人とはかけ離れた存在。
蒼井優は近年の出演作に『ミックス。』、『彼女がその名を知らない鳥たち』があります。
アルカディア号を支える無限大の航続距離を与えるダークマター機関を管理している。
船で唯一、100年前のカム・ホーム戦争を目の当たりにしてハーロックの秘密を知る。
ヤマが特殊工作員である事も見抜いていたが、あくまでハーロックの指示に従う。
最後はダークマター機関を全解放して四散するが、再生して新たな船長のヤマに従う事に。
・ヤッタラン(声:古田新太)
アルカディア号の最古参乗組員。現場でリーダー格として行動し、最前線でも戦う自由な男。
古田新太は近年の出演作に『土竜の唄/香港狂騒曲』、『超高速!参勤交代/リターンズ』などがあります。
地球へ帰りたいという人類に悲観し、こういう時代だからこそ自由にやる信条を持つ。
新人のヤマにアルカディア号の説明をするが、肝心のダークマター機関は理解していない。
ハーロックの計画が全宇宙の破壊だと知って愕然とするが、選択肢がないので付いて行く。
最後は倒れたケイを守るべくガイア・フリートの兵士たちを相手に戦い見事に勝利する。
・ケイ(声:沢城みゆき)
アルカディア号の乗組員。ヤマの教育係。姉御肌で他の野郎よりも勇敢で行動力を持つ。
沢城みゆきは声優で吹替の担当にクロエ・グレース・モレッツを務めています。
99基目の次元振動爆弾を置こうとしたら、そこは生き物の背中でヤマとともに窮地に。
そこでヤマは任務を中断して助けてもらうが、納得できずに助けようとするも止められる。
誰よりもハーロックを信奉するも、彼の計画が全宇宙の破壊によるリセットと知って愕然。
最後はそれでも信じるハーロックとともにガイア・フリートと戦って見事に勝利する。
・イソラ(声:森川智之)
ガイア・フリートの長官。ヤマの兄。数年前の事故で歩けず車椅子での生活を送っている。
森川智之は声優で吹替の担当にアダム・サドラー、オーウェン・ウィルソンを務めています。
全宇宙で指名手配されるハーロックに強い憎しみを抱き、弟を特殊工作員として送り出す。
しかし、その憎しみは自分の足と、妻の生きる力を奪った弟のヤマに向けられていました。
信念を次々と曲げていくハーロックやヤマと違って、最後まで地球を守ろうとした人物。
最後は背後からハーロックに撃たれ、地球に咲く花を見てヤマに抱かれて死にました。
・ナミ(声:坂本真綾)
ヤマとイソラの幼馴染み。現在はイソラの妻。ヤマを特殊工作員にした事を不満に思う。
坂本真綾は声優で吹替の担当にナタリー・ポートマン、ジェシカ・アルバを務めます。
実はヤマの暴走でぶっ壊した温室のせいで寝たきりとなり、ホログラムで動く事になる。
それでもヤマに対して怨みはなく、逆に憎しみを募らせるイソラの足枷となった事を悔やむ。
最後はイソラとの決別で彼の憎しみを解放するべく、生命維持装置のスイッチを切らせた。
感想
個人的な評価
本作は松本零士の原作を基にしていたリブート作品となります。
原作はアニメ化されていますが、残念ながら本作は今回で初めて知る事になりました。
ですが、さすがにSFアニメの巨匠と呼ばれる松本零士だけに壮大な世界観である。
特に宇宙での艦隊による戦いのシーンはCG映像の素晴らしさもあって、かなり見応えのある場面となっています。
残念ながら原作やアニメ版は知らないので、本作をオリジナルの作品として鑑賞しました。
その結果、こんなにスッキリしない展開、魅力のない登場人物、単純なストーリーを複雑にした構成など、映像と比べて非常に頭の悪い内容となっています。
まず、タイトルにもなっている主人公のキャプテン・ハーロックが寡黙なヒーローではなく、地球をダメにした元凶という設定。
オリジナルはよく知りませんが、みんなが縋っていた地球をぶっ壊して、それを治すにはリセットするしかないと結論をつける危ない思想。
これを乗組員たちはまったく知らずに従っていて、雰囲気だけでカリスマをまとうキャプテン・ハーロックの真の目的に説得力がない。
地球をぶっ壊した上に、人類なんていらないと言って宇宙ごと消し去ろうとするのは独裁者やテロリストにしか見えません。
所詮はゴロツキ集団であるアルカディア号の乗組員たちに選択の余地がなく、明らかに頭のおかしい船長に従うしかない状況は彼らに同情するしかない。
更に本作を象徴する登場人物の信念がブレブレで、これが主人公級のキャラクターがやっているから共感がまったく得られない。
キャプテンハーロックは最大の極悪人だが、その信念はほとんどなく、ポッと出の新人に説得されて100年の計画を簡単に諦めるという。
そんなポッと出の新人もあっちこっちに心が揺れてしまい、主人公以上に意味が分からない。
ラストではずっとキャプテンハーロックと似ていたヤマがそのまま船長のようになっていく事は予測できました。
ただ、あまりにもダークマター機関が便利すぎて何でもアリ状態になったのはやり過ぎか。
そもそも人類が同じ過ちをおかしたら爆弾のスイッチを押せって、ヤマは手渡されるが、地球をぶっ壊したヤツに言う資格はないと思う。
それにスイッチを渡した相手も兄の足を奪い、その妻の自由を奪い、贖罪を求めて任務に就くけど途中で放棄するようなヤツです。
まるで某マンガにあった「オランウータンに核のスイッチを掃除させる」という感じ。
映像技術は世界レベルであっても、内容がまさかの素人レベルというのは如何なモノか。
監督を務める荒牧伸志は『アップルシード』シリーズは面白い作品だっただけに、本作はまったく思い入れがない職業監督の仕事みたいなつまらない出来です。
それにトドメを刺しているのが主要人物に起用されたタレント声優で、小栗旬と三浦春馬が作品の質を見事に落としています。
あと、海賊映画だと『パイレーツ・オブ・カリビアン』があるけど、なんだか本作は大きな影響を受けているように見える。
不死身の船長はデイヴィ・ジョーンズ、二代目船長にウィルが就くと船が再生するシーンなんかも、完全にパクっているように感じました。