作品紹介
公開年月 | 2016/12/21 |
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ジャンル | ミュージカル/コメディ |
原作 | なし |
監督 | ガース・ジェニングス |
脚本 | ガース・ジェニングス |
製作 | クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
動物たちが人間そっくりな生活を送る世界で、コアラのバスター・ムーンは潰れかけた劇場の支配人を務めていた。
バスター・ムーンはかつての賑わいを取り戻そうと、歌のオーディションを開催する事に。
すると、劇場で働くおっちょこちょいのミス・クローリーのせいで募集のチラシに二桁多い優勝賞金額が書かれ、劇場に応募者が殺到してしまうのだった。
登場人物&出演者
・バスター・ムーン(声:マシュー・マコノヒー/吹替:内村光良)
主人公。コアラの男性。ムーン劇場の支配人。宇宙飛行士の夢を捨てて劇場を購入した。
マシュー・マコノヒーは近年の出演作に『ゴールド/金塊の行方』、『ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男』などがあります。
内村光良は近年の出演作に『金メダル男』、『内村さまぁ~ず/THE MOVIE エンジェル』などがあります。
目玉となる演目もなく、給料や劇場の維持費の支払いが滞るほどの経営難に陥っている。
大逆転を狙って歌のオーディションを開催するが、ミス・クローリーの手違いで大変な事に。
それでもめげず逆に利用して一発逆転を狙うという根っからのポジティブな考え方の持ち主。
一度は挫折するが、ミーナの歌声を聞いて忘れていた夢を実現して見事に成功させた。
・ミス・クローリー(声:ガース・ジェニングス/吹替:田中真弓)
イグアナの老婆。ムーン劇場で事務員を務める。右目は義眼。そのせいでトラブルを起こす。
ガース・ジェニングスは本作の監督であり、声優としてデビュー作となります。
田中真弓は代表作に『ドラゴンボール』、『ワンピース』などがあります。
ムーンが劇場を買い取った時からの事務員で、彼にとって頼れる人物となっています。
オーディションなどの下準備をしたり、雑用などもこなしたりと、年齢を感じさせない。
コンテストに出るメンバーをサポートしており、特にジョニーのピアノ練習に付き合う。
最後は崩壊した劇場で公演を行い、メンバーとともに成功させる事になった。
・エディ(声:ジョン・C・ライリー/吹替:宮野真守)
ヒツジの男性。ムーンの友人。父親が金持ち。ムーンが何かと金を頼ろうとするが断る。
ジョン・C・ライリーは近年の出演作に『キングコング:髑髏島の巨神』、『五日物語/3つの王国と3人の女』などがあります。
大々的なオーディションを開いたムーンを見直すが、賞金が間違えだと知って焦る。
祖母に偉大な歌手のナナを持つが、ダメ孫として見られて相手にされていない。
ムーンとともにスポンサーを依頼するが、当然のように断れてしまう。
劇場を失ったムーンを居候させ、どん底に落ちた彼を助ける親友としてサポートした。
・ロジータ(声:リース・ウィザースプーン/吹替:坂本真綾)
ブタの主婦。25匹の子供を持つ。夫と仲は悪くないが、仕事が忙しく構ってもらえない。
リース・ウィザースプーンは近年の出演作に『キューティ・コップ』、『インヒアレント・ヴァイス』などがあります。
坂本真綾は吹替の担当にナタリー・ポートマン、ジェシカ・アルバを務めています。
オーディションで合格するも、子供たちの面倒がみてくる人がおらず、自分で装置を作る。
当初はダンスが上手くできずに自信をなくしてしまい、一度は断念してしまう。
スーパーの買い物中にダンスを警備員に褒められ、自信を取り戻して再び歌う事に。
最後は崩壊した劇場で相方のグンターと一番手を担い、多くの観客を集めた。
・マイク(声:セス・マクファーレン/吹替:山寺宏一)
ネズミの男性。ストリートミュージシャン。音楽院出身でプライドが高く、他者を認めない。
セス・マクファーレンは近年の出演作に『テッド2』、『荒野はつらいよ/アリゾナより愛をこめて』などがあります。
山寺宏一は吹替の担当にウィル・スミス、エディ・マーフィなどを務めています。
オーディションの時は歌わないミーナを蹴散らし、自信たっぷりのステージで合格する。
賞金が手に入る前提で銀行からクレジットカードをもらって高級クラブに入る。
そこでボスクマとポーカーをしてイカサマで勝ち、そのせいでずっと付け狙われる事に。
鼻で笑っていた公演に参加し、子供たちに本物のショーを見せ、ミーナの歌声を認めた。
・アッシュ(声:スカーレット・ヨハンソン/吹替:長澤まさみ)
ヤマアラシの少女。彼氏のランスとバンドを組む。興奮するとランスよりも大きな声を出す。
スカーレット・ヨハンソンは近年の出演作に『ゴースト・イン・ザ・シェル』、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』などがあります。
長澤まさみは近年の出演作に『散歩する侵略者』、『銀魂』などがあります。
オーディションでは大きな声を買われて合格するが、それによってランスとすれ違いになる。
別れたショックで明るさを失い、落ち込むも自ら曲を作る事で気を紛らわそうとした。
作曲した歌をムーンが認め、失っていた自信を取り戻してステージで思う存分歌を披露した。
最後はジュディの邪魔が入っても気にせず、公演にやって来た観客を盛り上げていた。
・グンター(声:ニック・クロール/吹替:斎藤司)
ブタの男性。明るくマイペースで派手なパフォーマンスで盛り上げる。踊る事が大好き。
ニック・クロールは代表作に『デート&ナイト』、『ラビング/愛という名前のふたり』などがあります。
斎藤司はお笑いコンビ「トレンディエンジェル」のボケ担当で、本作が映画デビュー作です。
オーディションでは不合格になるが、地味なロジータを盛り上げるべくコンビを組む事に。
頭でっかちで踊ろうとするロジータとは違い、あくまで自然体で踊って場を明るくする。
挫折したロジータが戻ってきた時は素直に喜び、最後の公演で見事な歌と踊りを披露した。
・ジョニー(声:タロン・エガートン/吹替:大橋卓弥)
ゴリラの少年。父親はギャング団の長。跡継ぎを期待されているが、その気はまったくない。
タロン・エガートンは代表作に『キングスマン』、『イーグル・ジャンプ』などがあります。
大橋卓弥は音楽ユニット「スキマスイッチ」のボーカルで、映画の代表作に『ドラえもん/のび太の恐竜2006』などがあります。
過去にピアノを弾いた経験を持ち、歌に対する情熱を持つ一方で父親に黙って従っている。
父親が一世一代の強盗を働く計画で運転手を任され、その傍らで必至にピアノの練習をする。
計画が失敗し父親が刑務所送りになり、そこで歌手になりたい事を告白するが絶縁される。
崩壊した劇場での公演を聞いた父親は実力を認め、最後は両者ともに和解する事になる。
・ミーナ(声:トリー・ケリー/吹替:MISIA)
ゾウの少女。祖母や母親から歌の実力を認められている。極度の恥ずかしがり屋。
トリー・ケリーはシンガーソングライターとして活躍し、本作が映画デビュー作となります。
MISIAはシンガーソングライターとして活躍し、本作が映画デビュー作となります。
オーディションの時に歌えず退場するが、その後、ムーンに直談判してスタッフとして働く。
裏方のスタッフとしてメンバーを支え、公演の成功とともに歌いたい気持ちが湧いていく。
落ち込んでいたムーンを励まし、誰もいない崩壊した劇場で歌って再起をきっかけを生む。
最後はステージで大勢の前で歌声を披露し、圧倒的な歌唱力でマイクすら虜にした。
・ビッグ・ダディ(声:ピーター・セラフィノウィッツ/吹替:石塚運昇)
ゴリラの男性。ジョニーの父親。ギャング団の長。ジョニーに跡を継がせようとする。
ピーター・セラフィノウィッツは代表作に『ショーン・オブ・ザ・デッド』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などがあります。
石塚運昇は吹替の担当にケヴィン・スペイシー、リーアム・ニーソンなどを務めます。
あくまでジョニーをギャング団のボスにしたいが、彼が持つ詩の才能を知らない。
運転主役のジョニーがいなかったせいで捕まり、その原因が歌だと知って絶縁する。
しかし、ジョニーの歌声を知って、その素晴らしさに気づいて最後は認める事に。
・ナナ・ヌードルマン(声:ジェニファー・ソーンダース/吹替:大地真央)
ヒツジの老婆。エディの祖母。90歳を超えても未だに元気。過剰な自信家で自惚れ屋。
ジェニファー・ソーンダースは代表作に『シュレック2』、『ミニオンズ』などがあります。
大地真央は近年の出演作に『高台家の人々』、『R100』などがあります。
ムーンが宇宙飛行士の夢を捨てて劇場の支配人を目指すきっかけを作った人物。
スポンサーを申し入れようとしたムーンの考えを見透かし、彼を三流呼ばわりする。
一度はイカによるイルミネーションを認めるが、失敗したせいでそのまま見放してしまう。
最後は野外公演を鑑賞し、素直に認めてスポンサーとなり、劇場を再建に協力した。
感想
個人的な評価
アメリカにおけるアニメ映画では、ディズニー(ピクサー)とドリームワークスが二大巨頭として不動の地位を築いています。
そんな中に割って入るが本作を製作したイルミネーション・エンターテイメントとなります。
イルミネーション・エンターテイメントの代表作と言えば、大ヒットした『ミニオンズ』シリーズとなっています。
ユニバーサル・スタジオの子会社であり、同系列の作品で上映前にミニオンズたちが登場しているのが印象的である。
本作はディズニー(ピクサー)やドリームワークスと違い、内容として子供向けというより大人向けに近い構成となっています。
主人公は劇場の支配人であるバスター・ムーンだが、物語を脇から支える多くの登場人物による群像劇でもあります。
当初は全員が賞金目当てだったが、歌にかける気持ちは本物で、次第に純粋な気持ちなって仲間意識が芽生えていきます。
ムーンは一度もショーをヒットさせた事がなく、その上、経営難に苦しんでいるという状態。
しかし、彼が劇場を手に入れる為に父親が必死に働いてくれた事を誇りに思い、なんとか成功させようと決して諦めません。
本作が掲げるテーマに夢は諦めずに追えば、きっと成功するという大人に向けたメッセージだと感じました。
それぞれが事情を抱えているが、彼らには共通した夢があって、これを実現させるべく全員がムーンを頼っていく。
本作の背骨となるのはムーンの前向きな行動力で、自分の夢を実現したいという素人のメンバーをずっと支えていました。
その為、劇場が崩壊してすべてを失ったムーンにより、彼が持っていた情熱が一気に失われるのはある意味、そこに一体感が生まれている証拠である。
最初は賞金が目的だったメンバーが、徐々に一つの目的に向かって努力していくのは王道的な構成だと言えるだろう。
もちろん、クライマックスには期待するような展開が待っていて、それを盛り上がるのは本物の歌唱力を持った声優や吹替のおかげだと言えるでしょう。
字幕版では起用された声優たちの上手さは当然であるが、意外にも吹替もちゃんと実力のあるタレントを起用しているのも大きかった。
本作が吹替デビューとなるお笑い芸人の斎藤司は想像以上に上手く、歌が本職じゃない長澤まさみもかなり健闘していました。
その中で日本の声優業界で抜群の歌唱力を持つ山寺宏一、歌手としても活躍する声優の坂本真綾が素晴らしい。
そして、歌が本職であるスキマスイッチの大橋卓弥、満を持して圧倒的な歌唱力を示したMISIAの起用は大正解と言えるでしょう。
ただ、本作にも不満点があって、一つは使われている曲がラストでオリジナルになったのは非常に残念である。
やはり、ここは世界的に有名な曲を使って盛り上げるべきで、初めて聴くオリジナルとの盛り上がりの差が如実に出てしまう。
二つ目に群像劇の欠点が大きく出てしまい、各登場キャラのエピソードを描いたのはいいのだが、すべてが中途半端になってしまった。
そのせいで全体的に物語が薄くなり、感動するべきラストの公演が弱くなってしまった。
登場キャラが設定の域を出ていないのが残念で、もう少し深く掘り下げるべきでした。
ちょっとばかり登場人物が多かったのか、そこら辺のバランスがちょっと悪かったです。
それでも何も考えずに楽しむ分には悪くないし、歌を純粋に楽しむ作品として悪くなかったと思います。