作品紹介
公開年月 | 2015/10/23 |
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ジャンル | コメディ/音楽 |
原作 | なし |
監督 | バリー・レヴィンソン |
脚本 | ミッチ・グレイザー |
製作 | ジェイコブ・ペチェニック、ビル・ブロック、ほか |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
かつて栄光を手にしながら今ではすっかり落ちぶれた音楽芸能マネージャーのリッチー。
未だ一攫千金の夢を見るリッチーは、所属歌手のロニーを連れ、アメリカ軍の慰問コンサートの為にアフガニスタンへやって来る。
しかし、ロニーは目を離した隙にリッチーの荷物を持って行方をくらましてしまう。
途方に暮れるリッチーは現地で知り合った用心棒のボンベイの手伝いをするが、そこで美しい歌声を持つ少女に出会うのだった。
登場人物&出演者
・リッチー・ランツ(演:ビル・マーレイ)
主人公。三流音楽芸能マネージャー。過去にマドンナなどの大物をスカウトした実績を持つ。
ビル・マーレイは近年の出演作に『ゴーストバスターズ(2016)』、『ジャングル・ブック』などがあります。
現在ではすっかりと落ちぶれて、契約を迫る素人からデビューを約束して金を巻き上げる。
アフガニスタンで一攫千金を夢見るが、ロニーに所持金とパスポートを持っていかれる。
無一文でどうしようもない状況の中、武器商人の仕事を手伝い、ある村でサリーマに出会う。
サリーマは初めて発掘した本物の歌手と考え、障害を乗り越えて彼女を音楽番組に出した。
・マーシー(演:ケイト・ハドソン)
ヴォルカンで働く娼婦。長年に渡ってアフガンで働き、金さえ払えば誰でも相手をする。
ケイト・ハドソンは近年の出演作に『バーニング・オーシャン』、『マザーズ・デイ』などがあります。
サリーマを連れ出したリッチーを助けるが、あくまで取り分の三割は譲らなかった。
父親に連れて行かれたサリーマを簡単に諦めたリッチーに一喝し、彼を立ち上がらせる。
サリーマの村に裏切り者がいる事をリッチーに伝え、間接的に彼らを助けた。
・リザ(演:アリアン・モーイエド)
カブールのタクシードライバー。多少の英語を話せてリッチーの運転手兼通訳となる。
アリアン・モーイエドは代表作に『Arranged』、『The Rumperbutts』などがあります。
アメリカ人とアフガン人の架け橋になるが、無茶をするリッチーに振り回される。
サリーマの村では彼女を音楽番組に出そうとするリッチーに殺されると警告をした。
最後は命の危険を察知したリッチーが逃げ出そうとするが、マネージャーの責任を問う。
・サリーマ(演:リーム・リューバニ)
パシュトゥーン人。村長の娘で音楽番組「アフガン・スター」に憧れている。
リーム・リューバニは代表作に『オマールの壁』などがあります。
リッチーとの出会いを運命だと感じ、勝手にカブールまで付いて行く事になる。
なんとか彼女を番組に出したリッチーだが、世間で批判を受けて父親が連れ帰る事に。
それでも、リッチーたちの活動によって準決勝を勝ち進んで決勝まで進出する。
最後はマネージャーとして戻ってきたリッチーが番組に出し、見事に優勝を手にする。
・ボンベイ・ブライアン(演:ブルース・ウィリス)
アフガニスタンにいる傭兵。リッチーたちが泊まるホテルにいる。自伝本のネタを集める。
ブルース・ウィリスは近年の出演作に『バッド・ウェイヴ』、『スプリット』があります。
ロニーから取引を持ちかけられ、国外へ脱出させる代わりに2000ドルの報酬を受け取る。
しかし、前金の1000ドルだけしかもらえず、残っていたリッチーからもらおうとする。
ジェイクとニックの運び屋となったリッチーの護衛に付き、依頼を達成して退散した。
最後はリッチーが一世一代の賭けに出て、なぜかそれに付き合う形で同行する事になる。
・ジェイク(演:スコット・カーン)
国際弾道軍需社の共同経営者。アフガニスタンで困っている人たちに弾薬を売る武器商人。
スコット・カーンは代表作に『オーシャンズ』シリーズ、『イントゥ・ザ・ブルー』などがあります。
ひと目見た時からリッチーを気に入って、彼に弾薬の運び屋として契約を交わした。
・ニック(演:ダニー・マクブライド)
国際弾道軍需社の共同経営者。国防省からも受注される。半年前まで健康食品を売っていた。
ダニー・マクブライドは代表作に『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』、『ロード・オブ・クエスト/ドラゴンとユニコーンの剣』などがあります。
事は赤ん坊ができる程度と説明するが、リッチーの車は爆破されて危うく死ぬところだった。
・バーンズ(演:テイラー・キニー)
アメリカ軍二等兵。アフガニスタンに来たリッチーたちの護衛役として付き添う。
テイラー・キニーは代表作に『ゼロ・ダーク・サーティ』、『ダメ男に復讐する方法』などがあります。
ロニーに逃げられて、マーシーと楽しい一夜を過ごして身動きの取れないリッチーを助ける。
・ロニー(演:ズーイー・デシャネル)
リッチーの事務所に属している歌手。売れない日々を過ごし、事務員としても働いている。
ゾーイ・デシャネルは近年の出演作に『ロスト・エリア/真実と幻の出逢う森』、『ロード・オブ・クエスト/ドラゴンとユニコーンの剣』などがあります。
オリジナル曲を歌いたくても歌わせてもらえず、過去の栄光に縋るリッチーに不満を持つ。
リッチーに連れられてアフガニスタンまでやって来るが、不安で情緒不安定になってしまう。
そのせいでショーが予定されている夜のうちにリッチーのパスポートと有り金を持って逃走。
感想
個人的な評価
本作はパンク・ロックバンドのザ・クラッシュが発表した『ロック・ザ・カスバ』を由来としています。
この曲はイランでロックが禁止された事を受けて、ザ・クラッシュが作ったという。
そんな本作ではアフガニスタンが舞台となるが、未だに戦火が残る場所としても知られます。
その意味合いを込めたタイトルであり、物語のキーパーソンとなるサリームが取り巻く文化的背景を描いています。
似たような映画として『ペルシャ猫を誰も知らない』があって、こちらの方はもっとシリアスな内容となっています。
本作は三流音楽芸能マネージャーであるリッチーを演じるビル・マーレイが起用されている時点で、内容に関してはかなりライトに仕上がっている。
本来なら危険地帯であるカブールを含めた地域だが、なぜかビル・マーレイがいるとそのような緊張感がまったくない。
しかしながら、ところどころにアフガンの状況を垣間見る描写があって、決して本作は純粋なコメディ映画ではありません。
イメージとしてはもっと音楽を全面的に出すと思っていたが、なぜかリッチーの立ち回りばかりが目立ってしまいました。
確かにビル・マーレイは見ていて面白いけど、本筋とはあまり関係ないような気がした。
何よりキーパーソンとなるサリーマが登場するのは中盤がだいぶ過ぎた頃で、ハッキリ言ってしまえば、今さらという印象があります。
ここでサリーマの歌声がどうとか言われても積み重ねたモノがないので、強引に納得するしかない強制的な流れはよろしくない。
サリーマを演じるリーム・リューバニはいい歌声だが、それが全員を魅了するほどのモノとは残念ながら思えなかったです。
だからこそ序盤からの積み重ねが必要であり、サリーマの取り巻く環境の厳しさをもっと押し出すべきでした。
本作はコメディ映画という体裁なのでシリアスな部分を省いているが、それはサリーマの覚悟を薄くしてしまったと思います。
なんだかずっと軽い感じのリッチーのせいでアフガンは危険じゃないと思ってしまうし、彼の手腕についても主人公補正にしか見えなかった。
あとは近年の小銭稼ぎのブルース・ウィリスも相変わらずやる気がないし、ズーイー・デシャネルも最初だけだし、ケイト・ハドソンの場違い感が否めなかった。
音楽は言葉や文化の壁を越えるという意味の作品が、そこまで達していないと思います。
ビル・マーレイの軽さと、作品のテーマが水と油すぎてどちらも良さを殺してしまい、後半のご都合主義が目立った残念な作品でした。