アウトレイジ/最終章 R-2752

作品紹介

公開年月  2017/10/07
ジャンル  アクション/犯罪
原作  なし
監督  北野武
脚本  北野武
製作  森昌行、吉田多喜男
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

山王会と花菱会の抗争後、大友は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長の下にいた。
そんな折、取引の為に韓国出張中の花菱会幹部の花田がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。
これをきっかけに国際的フィクサーの張グループと、巨大暴力団組織の花菱会が一触即発の状態になるのだった。

登場人物&出演者

【張グループ】

大友(演:ビートたけし)
主人公。山王会と花菱会の抗争で韓国のチェジュ島に逃亡し、用心棒として所属する。
ビートたけしは近年の出演作に『ゴースト・イン・ザ・シェル』、『女が眠る時』がある。
チェジュ島では歓楽街を裏で仕切っていたが、花田が店の女に文句をつけられて因縁を持つ。
若い衆が花田の部下に殺され、揉め事に発展する前に会長の張が話し合いで決着をつける。
それでも黙っていられず、慕ってくれる市川と若い衆とともに花菱会への復讐を企てる。
最後は西野の策略の乗って邪魔者を消していき、会長に迷惑をかけない為に自害をした。

市川(演:大森南朋)
韓国チェジュ島側の張グループに所属する用心棒。大友を慕っている。いつも釣りをする。
大森南朋は近年の出演作に『ビジランテ』、『ミュージアム』などがあります。
花田がチェジュ島に来て女を傷物にしてしまい、大友とともに謝罪を強く求めた。
若い衆が殺されてしまうが、会長の命令で穏便に済ますが、内心では怒りが湧いている。
復讐の為に日本へ渡り、大友と合流するも野村の策略で他の仲間が殺されてしまう。
最後は西野の策略に乗って当初の目的であった花田を殺してチェジュ島に帰った。

(演:白竜)
張の側近。常に会長の傍にいる。何かあると真っ先に行動して、状況を確かめている。
白竜は代表作に『その男、凶暴につき』、『岸和田少年愚連隊』などがあります。
大友に対しても敬意を表していて、若い衆が殺されて暴れないよう必死に宥めていた。
謝罪しにやって来た花田と中田を出迎えるが、会長の命令で謝罪金の同額を渡して帰した。
日本に来た大友が花菱会に復讐しようとする事に対し、会長の命令を言い渡していた。
最後は会長に迷惑をかけた大友を殺そうとするが、自害した事でその場を去った。

張大成(演:金田時男)
張グループの会長。日本と韓国を股にかける大物フィクサー。警察すら言いなりにする。
金田時男は韓国系の実業家であり、本作が長編映画デビュー作となります。
大友の若い衆が花田の部下に殺されてしまい、その問題を大事にしようよう計らっていた。
花田と中田が謝罪に来るも相手にせず、西野がやって来ると問題をさっさと解決させた。
日本に来た大友が警察に捕まると、圧力をかけて釈放させ、チェジュ島に帰るよう命令する。
最後は大友をチェジュ島に帰るよう再三命令するも、自害した事で悲しい表情を浮かべた。

【花菱会】

花田和弘(演:ピエール瀧)
花菱会の直参。野村会長が解禁した薬物の取引で最も儲けを出して目立つ存在になっている。
ピエール瀧は代表作に『ALWAYS/三丁目の夕日』シリーズ、『シン・ゴジラ』があります。
韓国で薬物の取引をした後、チェジュ島で遊びに行くが、大友と因縁を持つ事となった。
張グループとの戦争になりかけたが、西野の謝罪で穏便に済まし、資金力で事なきを終える。
西野が野村を蹴落として会長の座を狙い、若頭のポストを約束されて喜んで手を貸した。
最後は若頭補佐に就任するが、それは西野と中田の策略で大友に殺されてしまう。

中田勝久(演:塩見三省)
花菱会の若頭補佐。花菱会の古株。若頭の西野を兄貴と慕う。花田を弟分として可愛がる。
塩見三省は代表作に『12人の優しい日本人』、『樹の海』などがあります。
西野とは長年の信頼関係を築いていて、野村が会長である事に対して不満を持っている。
花田がチェジュ島で問題を起こし、張グループと揉めてしまい、一緒に謝罪するも帰される。
野村の策略で西野と張グループを潰し、次の会長に指名されるが、従っているように見せる。
最後は西野との策略を成功させ、邪魔な花田を大友に消させ、若頭のポストに就いた。

西野一雄(演:西田敏行)
花菱会の若頭。新たな会長がヤクザでもない男だと納得しておらず、口々に不満を漏らす。
西田敏行は近年の出演作に『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、『人生の約束』などがあります。
花田が勝手な行動をして張グループに迷惑をかけると、会長の代わりに謝罪へ向かった。
花菱会で最も稼いでいる花田の心を掴むと、自分の懐に引き入れて野村を蹴落とそうとする。
野村の策略で危うく殺されるところを逆に利用して、雲隠れしながら大友たちを利用する。
最後は大友を利用した策略を展開し、見事に花菱会の会長になってすべてを丸く収めた。

野村和夫(演:大杉漣)
花菱会会長。先代会長の娘婿で元証券マン。叩き上げのヤクザではなく、西野に嫌われる。
大杉漣は晩年の出演作に『教誨師』、『恋のしずく』などがあります。
花菱会の資金を増やす事を考え、先代が禁止していた薬物の取引も金になれば何も言わない。
自分を嫌っている西野に心底苛ついていて、花田の一件を利用して消そうと画策する。
中田を会長にするべく仲間に引き入れ、同時に張グループも潰そうと裏で工作を仕掛ける。
最後は西野と中田の策略にハマり、大友に渡されると、埋められて車に轢き殺された。

【その他】

ゴン(演:仁科貴)
チェジュ島出身の在日韓国人。花菱会がデイ入りする焼肉店とバーの従業員。
仁科貴は代表作に『アキレスと亀』、『ジョン・ラーベ/南京のシンドラー』があります。
中田と花田が会長に謝罪をすると相談したのを聞き、すぐに李たちへ連絡を取った。
更に中田たちが会長の命を狙おうとチンピラを寄越す事もすぐに連絡をした。
最後は大友や市川が日本へ来る為に偽造パスポートを用意し、戦争の為の銃まで揃えた。

繁田(演:松重豊)
捜査四課の刑事。山王会と花菱会の抗争で事件を少しだけ担当した。正義感に溢れている。
松重豊は代表作に『ディア・ドクター』、『探偵はBARにいる』シリーズなどがあります。
張グループの会長を狙った発砲事件を担当になり、今回の騒動は大事になると予想する。
チェジュ島へ逃げた大友と関わりがある張グループに目をつけるが、上司から止められる。
日本へやって来た大友を連行するが、張の圧力を受けて釈放されるもずっと納得ができず。
最後は上司と飯を食っていて、事件の顛末を聞くと、辞表を取り出して立ち去った。

感想

個人的な評価

本作は『第47回ヴェネツィア国際映画祭』の閉幕として上映された作品です。
監督と脚本を務めた北野武にとって『アウトレイジ』シリーズの完結編となります。
長らくやって来た『アウトレイジ』シリーズが完結しましたが、今回はそれに相応しく風呂敷を畳むような展開でした。
ヤクザの抗争から韓国の大物フィクサーを巻き込む形となりましたが、これは組織を再編する意味でもありました。
一作目から続く組の衝突の裏で行われた権力闘争も本作でも健在であり、さすがに完結編だけあって巧妙に練られていました。
前作では存在感があったけど重要な役ではなかった西野が大きな存在となり、演じていた西田敏行の恐ろしい演技が光っていました。
いつもはコミカルな演技が多い西田敏行ですが、本作での古狸的な策略が冴え渡り、同一人物とは思えないほど恐ろしい。
その弟分である中田を演じた塩見三省も不憫な立場ながら、長らく信頼関係を築いた兄弟分を優先したところも良かったです。
堅気出身で会長になった野村を演じた大杉漣もなかなかの存在感で、腫れ物扱いするヤクザたちをアゴで使うイヤなヤツ感が充分すぎました。
張グループの方でも会長の側近を演じた白竜も強面ながら、大友に敬意を表する姿は実に清々しい印象でした。
そして、本作が映画どころか、俳優デビューとなった会長役の金田時男は素人とは思えないほどの存在感がありました。
さすがに実業家という成功者というだけあって、会長としての雰囲気は申し分なかったです。
シリーズの主人公である大友を演じたビートたけしですが、相変わらず演技は微妙で滑舌が悪いけど、きちんとケジメをつけたのは良かった。
前作までの勢いだけに任せた怒号ばっかりとは違い、全体的に大人しい雰囲気は逆に丁寧な作りが際立って良かったと思います。
そもそも、前作までのドンパチで「バカヤロー、コノヤロー」だけで面白味を感じなかったので、本作は個人的にちょうど良かったです。
これでビートたけしのヒドイ演技が終わりとなりますが、やはり、違う人が演じていれば大友はもっと魅力的なキャラクターになっていたと思います。
多くの演技力がある役者を揃えている中で、シリーズの顔が素人レベルの演技というアンバランスもまた魅力の一つかもしれない作品でした。