モンストラム/消失世界 RE-3181

作品紹介

公開年月  2019/12/04
ジャンル  パニック/SF/アクション
原作  なし
監督  ダイ・ジンルアン・ユエン
脚本  チェン・ジャオジャオ
製作  チェン・ジャオジャオ
製作国  中国
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

街を走る通勤バスがトンネルの中に消失し、車内では乗員乗客すべての人間が失神した。
彼らが目を覚ますと、そこは荒涼とした砂漠の真ん中で、全員が記憶喪失していた。
パニックに陥った彼らはバスの外に逃げ出すが、今度は砂嵐が彼らを襲い、巻き込まれた人間の体はバラバラになるのだった。

登場人物&出演者

孫悟空パパ/リン隊長(演:ジェン・ミン)
バスに乗っていた精悍な男。いち早く目を覚まし、状況を見て何かと的確な指示を出す。
ジェン・ミンは本作が長編映画デビュー作となります。
フラッシュバックする記憶で悪者だと勘違いし、パパだと慕う少女に申し訳ないと考える。
その正体は警察官で強盗事件を起こした犯人を追って、バスの検問中に捕まってしまう。
終始に渡ってリーダー的な存在として引っ張り、ルルに対して強く守ろうとしていた。
最後はバスに侵入した怪物と肉弾戦をして倒れるが、地球に戻ると生きている事が判明した。

ルル(演:ヤン・スー)
ヒロイン。誘拐された少女。母親から父親が船長と言われるが実際はすでに亡くなっている。
ヤン・スーは本作が長編映画デビュー作となります。
どうしても父親に会いたい一心で、ズーシャンの言葉に騙されて誘拐されてしまう。
砂漠の世界で目を覚ますと、全員を父親だと話して同等の大切な気持ちでみんなと接する。
一人ずつが自分を守る為に死んでいくと、助けようとするぐらい見捨てる事ができない。
最後は一人だけ地球に戻るが、記憶は戻らなかったが、リンが生きていると知って安堵した。

沙悟浄パパ/ズーシャン(演:ルー・イェ)
バスに乗っていたチャラい若者。切り刻む危険な砂嵐から逃げる為にバスを運転していた。
ルー・イェは本作が長編映画デビュー作となります。
ルルが全員をパパだと主張してみんな認める中で、一人だけ捻くれてなかなか認めなかった。
その正体は身代金を目的にルルを誘拐し、恋人の生まれる子供の為に金を手にしようとした。
唯一脱出できるワームホールで帰ろうとするが、ルルを助ける為にバスで戻ってきた。
最後はワームホールで脱出する寸前、ルルを助ける為に怪物と一緒に外へ飛び出して死ぬ。

白龍馬パパ/チー・ジェンロン(演:シャオ・ロン)
バスに乗っていた気弱なメガネ男。三蔵パパの強い口調に質問されると怯えて顔を隠した。
シャオ・ロンは本作が長編映画デビュー作となります。
孫悟空パパに従って行動していたが、自分勝手な沙悟浄パパのやり方に批判的な態度を取る。
その正体は強盗団のリーダーで元銀行員で、バスに乗って仲間たちと逃走を図っていた。
一発の銃弾で車を横転させる腕を持つが、記憶を失ってから絶望的に下手で怪物に当たらず。
最後はバスに侵入してきた怪物と外に放り出されて、記憶を取り戻した直後に死んでしまう。

猪八戒パパ(演:チェン・サム)
バスに乗っていた初老の小さい男。仏教のお経を唱えながら冷静に状況を把握しようとした。
チェン・サンムは本作が長編映画デビュー作となります。
怖がって泣いていた少女に孫悟空の仮面を被って、なんとか機嫌を取って一生懸命励ました。
その正体は占い師で横柄な態度を取っていて、バスのチケットを払う際にも文句を垂れた。
正体不明の怪物に最初襲われるが、バスの下に潜り込んで一命を取り留めるもケガを負った。
最後は怪物が大群になって押し寄せてくると、もう逃げられないとして自分から犠牲を選ぶ。

三蔵パパ/ジャオ・フイ(演:ハン・ヤンボ)
バスに乗っていたスキンヘッドの男。強面で目を覚ますと感情的になって怒鳴っていた。
ハン・ヤンボは本作が長編映画デビュー作となります。
大金を見つけると自分のモノだと主張したが、命の方が大事だとして捨てる事になる。
その正体は白龍馬パパの強盗仲間で、運転手に銃を突き付けて逃走を図ろうとしていた。
地雷原で片足を吹き飛ばされてしまうが、ルルや他のパパたちの励ましで生き延びていた。
最後は洞窟の中まで迫ってきた怪物たちに応戦し、手榴弾を使って自爆してルルを助けた。

感想

個人的な評価

本作は様々なジャンルをミックスした作品という売りになっています。
今ではハリウッドに並ぶほどの規模に膨れ上がっている中国映画から産み落とされた作品。
原題が「MONSTER」という捻りもなく、多くの作品とタイトルが被りながらも堂々と出す中国映画の強気が現れています。
しかしながら、どれぐらい探しても情報がほとんどなく、大手のIMDbですらページが存在しない貴重な作品です。
物語はいきなりワケの分からない状況からスタートし、そこから徐々に真相が判明していくという王道的なパターンとなります。
生き残ったのは記憶のない男たちだが、さすがにそれだけじゃ間が持たないので少女を投入してバランスを取っています。
物語の後半には登場人物たちの正体が分かってくるが、強盗犯と警察官、居合わせた強盗犯と人質、一番関係ない占い師という構成になっている。
どうせ巻き込むならば、完全に無関係な人たちにするか、どこかで繋がりがあって何かの因果によって連れて来られたという縛りにするべきでした。
ここら辺の基本的な設定をあまり考えているようには感じられず、なんだか思いつきでアイデアを適当にぶち込んだような印象を受けました。
映像の方もCGのレベルがかなり低く、アサイラムと同じぐらいですが、なぜかアップで怪物をじっくりと見せています。
さすがは中国製作だけあって、そこには根拠のない自信がなんとなく伝わってきました。
ストーリーはほとんどないようなモノで、設定もちゃんと練っていないから浅く、人間ドラマについても取って付けたようなレベルでした。
記憶をなくした男たちが少女の為に命を張るのは分かりやすいが、その少女がずっと泣いていて非常にうるさく感じました。
少女が父親を亡くしていく度に泣くのはいいが、その先には何もないし、彼女自身が何か成長するワケではありません。
単純に「悲しみ」を表現する為だけに泣かせているので、これが何度もやって来るとしつこくて耳障りになってしまいます。
もちろん、深く考えた設定じゃないので、怪物とかワームホールとかの説明もなく、ルールもないから現場のノリで作っているような感じです。
中国マネーによって映画業界は大きく変わっているが、このような粗悪品が誕生しても仕方ないと思えるような作品でした。