メアリと魔女の花 RE-2735

作品紹介

公開年月  2017/07/08
ジャンル  ファンタジー
原作  メアリー・スチュワート 『The Little Broomstick』
監督  米林宏昌
脚本  米林宏昌
製作  西村義明
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

好奇心旺盛な赤毛の少女メアリは、ある夏の日、森の中で7年に一度しか咲かない不思議な花“夜間飛行”を見つける。
それはかつて魔女の国から盗み出された禁断の“魔女の花”で、一夜限りの不思議な力を手に入れたメアリは魔女学校“エンドア大学”にたどり着く。
入学を許されたメアリは、そこで様々な出会いを重ねていき、学校と魔女の花をめぐる秘密を知る事になるのだった。

登場人物&出演者

メアリ・スミス(声:杉咲花)
主人公。11歳の少女。クセが強い赤毛をコンプレックスにしている。何をやっても失敗する。
杉咲花は代表作に『思い出のマーニー』、『無限の住人』などがあります。
両親の都合で大叔母のところに引っ越す事となり、先にやって来たが退屈で不満を漏らす。
森で夜間飛行の花を見つけると、魔女の力を身につけてしまい、エンドア大学に向かう。
当初は天才だと言われて調子に乗るが、夜間飛行の効果だと知ったマダムに花を狙われた。
最後はピーターを助けるべく大学に乗り込み、暴走した魔力を解除魔法で止めて家に帰った。

ピーター(声:神木隆之介)
赤い館村で新聞配達をしている12歳の少年。初めて会ったメアリを「赤毛の小ザル」と呼ぶ。
神木隆之介は近年の出演作に『ジョジョの奇妙な冒険/ダイヤモンドは砕けない第一章』、『3月のライオン』などがあります。
そのせいでメアリから最初は嫌われるが、それでも明るく振る舞って彼女を笑っていた。
ティブとギブの猫を放し飼いにして、ほとんど森にいて夜には帰ってくるという。
夜間飛行を狙ったマダムに掠われてしまい、一度は脱出するも再び捕まってしまう。
最後は暴走した魔力に囚われるが、メアリと協力して解除魔法で止めて、家に帰っていった。

ゼベティ(声:遠藤憲一)
赤い館の庭師。シャーロットの広い庭を一人で管理している優しい老齢の男性。
遠藤憲一は代表作に『その男、凶暴につき』、『あずみ』シリーズなどがあります。
森から不思議な花を持ってきたメアリに夜間飛行について説明をしてくれた。

バンクス(声:渡辺えり)
赤い館に勤める家政婦。シャーロットの身の回りの世話や雑用などをテキパキとこなす。
渡辺えりは代表作に『忠臣蔵外伝/四谷怪談』、『Shall we ダンス?』などがあります。
危なっかしいメアリを理解していて、彼女の失敗をさり気なくフォローしていた。

シャーロット(声:大竹しのぶ)
赤い館の主人。メアリの大叔母。穏やかで何事にも動じずマイペースな性格の持ち主。
大竹しのぶは近年の出演作に『真田十勇士』、『後妻業の女』などがあります。
壊れたテレビやゲームもない退屈な家で、活発なメアリが持っている不満を理解していた。
実は元魔女でエンドア大学に通っていたが、マダムたちの実験を止めるべく花の種を盗んだ。
最後は自分が住んでいた家にいたメアリに花を手渡し、彼女の帰りを信じて待っていた。

フラナガン(声:佐藤二朗)
エンドア大学にある箒小屋の番人。昔は教育係だったが、現在は箒の管理をしている。
佐藤二朗は代表作に『幼獣マメシバ』シリーズなどがあります。
下手な着地でエンドア大学にやって来たメアリに声をかけ、彼女を入り口まで案内した。
常に「箒への愛」を主張していて、雑に扱っていたメアリに注意をしていた。
最後は大学の騒ぎを気にせず、メアリとピーターが帰れるように箒を直して立ち去った。

ドクター・デイ(声:小日向文世)
エンドア大学の魔法科学者。右手には義手、頭には機械を埋め込み、常に乗り物に乗る。
小日向文世は近年の出演作に『鋼の錬金術師』、『ミックス。』などがあります。
何かと小難しい言い回しをするが、簡単な答えを出したメアリに感心して新たな答えを知る。
以前は誰からも慕われるような存在だったが、夜間飛行を見つけてから人が変わった。
動物を使った変身魔法の研究をしていて、度重なる失敗で異形の生物を生み出している。
最後は暴走した魔力に対処できず、メアリが魔法を解除で脱出するも動物に囲まれてしまう。

マダム・マンブルチューク(声:天海祐希)
エンドア大学の校長。ふくよかなな体型、派手なメイクと服装で人の話しをあまり聞かない。
天海祐希は代表作に『クリスマス黙示録』、『バッテリー』などがあります。
新入生だと勘違いしたメアリを快く出迎えると、エンドア大学内を丁寧に案内していた。
メアリが手に入れた魔法を生来のモノだと勘違いし、赤毛である事で信じ切っていた。
しかし、メアリが偽物の魔女だと知ると、手のひらを返し、夜間飛行の為にピーターを掠う。
最後は暴走した魔力を止められず、メアリのおかげで脱出するも動物たちに囲まれていた。

感想

個人的な評価

本作は2014年末にスタジオジブリの制作部が解体され、新しく設立されたスタジオポノックの第1作目となります。
スタジオジブリに所属していた監督の米林宏昌と、プロデューサーの西村義明がスタジポノックを設立しています。
本作でのスタッフも8割ほどジブリ作品に関わった経験のある人材が手がけています。
スタジオポノックの作品とは言っても、ほとんどスタジオジブリの作品と言ってもいい。
それほど酷似した絵柄や演出であるけど、ちゃんとスタジオポノックとしての主張がある。
構図としてはある日魔女としての力を突然手に入れた主人公が、魔法大学を訪れて、身の丈に合わない体験をしてしまう。
これは米林宏昌監督自身に言える事で、彼のデビュー作である『借りぐらしのアリエッティ』がまさしくそうだと言えるだろう。
なぜなら、当初は監督の打診を断っていたようで、プロデューサーの鈴木敏夫と宮崎駿に説得されて引き受けたという。
これは偉大なるジブリの看板を背負う事になり、彼自身には主義主張がないので、思わぬ評判を受けた経験と重なっているだろう。
それに登場する人物たちもジブリに置き換える事ができる構図もまた面白いと思います。
ただ、ジブリには同じ魔女を題材にした『魔女の宅急便』があるので、どうしても比べられてしまいます。
やはり、ジブリの『魔女の宅急便』の構図や演出は圧倒的に格上であり、そのせいで本作は二番煎じの印象が強い。
ホウキに跨り、黒猫を従える構図がそっくりすぎるのは如何なモノかと思うが、これこそ米林監督のジブリに対する敬意だろうと思います。
もうジブリの人間ではないけど、自身を育ててくれた感謝の意を感じさせる内容でした。
スケールとしては非常に小さいし、メッセージ性として強いところはなく、可もなく不可もなしという印象を受けた。
主人公のメアリは『魔女の宅急便』のキキと比べてしまうと、どうしても不利な部分が非常に多いです。
何をやっても失敗しかしない不器用な性格なのに、後半では夜間飛行の花の力を借りているとは言え、少しばかりご都合主義になってしまっている。
展開としても非常に分かりやすく、先が簡単に読めてしまうのでワクワクという点でも物足りなさを感じてしまう。
本作はスタジオポノックの第1作目となっているが、ジブリに対する敬意が強すぎたせいで全体的なインパクトに欠けた作品だったと思います。