ラ・ラ・ランド VD-166

作品紹介

公開年月  2016/12/09
ジャンル  ミュージカル/ラブロマンス
原作  なし
監督  デミアン・チャゼル
脚本  デミアン・チャゼル
製作  フレッド・バーガー、ジョーンダ・ホロウィック、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

夢を追う人々が集う街、ロサンゼルスに女優志望のミアは映画スタジオのカフェで働きながらオーディションを受ける日々。
なかなか役がもらえず意気消沈するミアは、場末のバーから流れてくるピアノの音色に心を惹かれる。
弾いていたのは以前フリーウェイで最悪な出会いをした相手セスで、彼は自分を持って存分にジャズを演奏したいという夢を持っていた。
そんな二人はいつしか恋に落ち、互いに励まし合いながらそれぞれの夢に向かうのだった。

登場人物&出演者

セブ/セバスチャン・ワイルダー(演:ライアン・ゴズリング)
主人公。ジャズピアニスト。自分の店を持とうと躍起になる。過去に騙されて金を盗られた。
ライアン・ゴズリングは近年の出演作に『ブレードランナー2049』、『ソング・トゥ・ソング』などがあります。
昔ピアノを弾いていた店がサンバとタパスに成り下がり、それに対して強い憤りを持つ。
ミアと強く惹かれ合い、気づいたら己の信念を置き去りにして有名になった事ですれ違う。
ようやくミアの訴えたい事に気づき、彼女が諦めていた女優への道に再び戻るよう説得した。
最後は五年後、自分の店を持ち、そこに来たミアの為に出会った曲を弾いて小さく頷いた。

ミア・ドーラン(演:エマ・ストーン)
ヒロイン。ハリウッドでカフェの店員をしながらオーディションを受けるも日々を送る。
エマ・ストーンは近年の出演作に『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』、『俺たちポップスター』などがあります。
ルームメイトたちに誘われたパーティで収穫はなく、立ち寄ったバーでセブに出会う。
セブの語るジャズや店に対する熱い想いに共感するが、彼がバンドに影響されてすれ違う。
オーディションの一次に受かり、セブの説得で諦めていた夢を再び追う事になる。
最後は五年後、大女優となって新たな男と結婚し、ジャズバーを経営するセブに微笑んだ。

キース(演:ジョン・レジェンド)
セブの旧友。同じ音楽学校に通っていた。音楽性の違いでセブは苦手意識を持っていた。
ジョン・レジェンドは代表作に『ソウルメン』などがあります。
セブが通い詰めていたジャズバーで偶然出会い、腕を見込んで立ち上げたバンドに誘った。
古き良きジャズを信奉するセブと違い、ジャズは未来の音楽だと主張して彼を納得させた。
結果的にバンドは有名になって成功するが、セブはずっと満足の得ない日々を送る事に。

ローラ(演:ローズマリー・デウィット)
セブの姉。いつまでも夢を追っている弟のセブを心配しており、彼の将来を案じている。
ローズマリー・デウィットは代表作に『エイリアンバスターズ』、『ポルターガイスト/2015年版』などがあります。
引っ越してから荷ほどきもせず、自分の店を持つ事しか興味がない弟に女性を紹介する。

グレッグ(演:フィン・ウィットロック)
ミアのボーイフレンド。一ヶ月前からミアと付き合っている。エリートのビジネスマン風。
フィン・ウィットロックは代表作に『ノア/約束の舟』、『マネー・ショート/華麗なる大逆転』などがあります。
食事にミアを誘って友人とその恋人を交えた会話をするが、ミアはまったく興味がない。
結局、約束していたセブとの映画を忘れられず、食事している途中で席を立たれ別れる事に。

デヴィッド(演:トム・エヴェレット・スコット)
五年後のミアの夫。大女優となったミアの夫で娘がいる。夫や父親として申し分ない様子。
トム・エヴェレット・スコットは代表作に『マキシマム・ソルジャー』、『インデペンデンスデイ2014』などがあります。
ジャズバーの「SEB’S」でセブとの走馬燈の時、どう考えてもミアとの情熱はそこまでない。

感想

個人的な評価

本作はアカデミー賞で監督賞、主演女優賞、撮影賞、美術賞、作曲賞、主題歌賞の最多6部門を受賞した作品です。
まさに2017年の顔とも言える作品であり、ミュージカル映画に対するオマージュを捧げた内容になっています。
残念ながらミュージカル映画はあまり得意なジャンルではないので、思い入れはそこまでありません。
どうやら監督を務めたデミアン・チャゼルはミュージカル映画のフリークであり、その思い入れが入った作品となっています。
ただし、本作はミュージカル映画をあまり観た事がない人でも楽しめるのが前提としており、そのおかげで大ヒットしています。
本当なら映画館で鑑賞する予定だったが、気がついたら上映が終わっていて、観る機会を完全に逸した作品となりました。
ようやく鑑賞する事に至りましたが、正直な感想として、監督のミュージカル映画好きがストレートに伝わる作品だったと思います。
現代のミュージカル映画は、どっちかと言えば若者が中心となった今風の演出がほとんどとなっています。
それに対して、本作はあくまで古き良きハリウッドのミュージカル映画を彷彿とさせる雰囲気がありました。
スマートフォンを使っているけど、ミュージカルで歌って踊る時は、なんだか昔のミュージカル映画を観ているような印象を受けた。
やはり、これは監督が大好きな古典的なミュージカル映画を意識した演出であり、現代にあって独特な雰囲気を出しています。
カラフルな色使いや言葉よりも情景で登場人物の心理状態を伝えるのは、デミアン・チャゼル監督の特徴だと言えます。
音楽を扱った作品として『セッション』があったけど、こちらも言葉よりも音楽で伝えるという信念を最初から最後まで貫き通していました。
そんな本作も冒頭と終盤では同じような構図でありながら、主人公とヒロインの生活環境が変わった事を示唆する違いも明確でした。
本作で圧倒的な存在感を示したライアン・ゴズリングは、三ヶ月の猛特訓でピアノを実際に弾けるほどの腕前になっているというプロ根性を魅せています。
そのおかげで彼が演奏する場面では、手元だけを映したシーンはなく、ライアン・ゴズリングが弾いている事が分かるような映像になっていて説得力を生んでいます。
一方でエマ・ストーンも元々はミュージカルの大ファンであり、本作への出演は夢だったと語るように楽しそうな感じで演じていました。
本作はアカデミー賞などで賑わせた作品なので、当然のように期待のハードルが上がっていたが、思っていたよりは微妙であった。
確かに作品として面白いし、古き良きミュージカル映画を彷彿とさせる演出は良かったが、主人公とヒロインの立場や考え方に首を傾げて点がいくつかあった。
ライアン・ゴズリングが演じたセブは、果たしてヒロインのミアとの恋愛を経て成長したのか非常に微妙なところです。
結局、原点に立ち戻っただけだし、彼が店を持つ事ができたのはミアのおかげというよりはキースのおかげという部分がありました。
それにセブは当初、自分の考えを曲げない信念を持っている人間だったのに、次々と信念を簡単に曲げていったのも首を傾げた。
ミアについてもオーディションで結果が出ないのはいいけど、五年後に大女優となっているのは少しばかり都合が良すぎると感じました。
とにかく、本作は終盤に向けた流れが強引すぎる印象を持ってしまい、素直に感動できるような構成ではなかった。
歴史に残るほどのミュージカル映画というと、『サウンド・オブ・ミュージック』や『雨に唄えば』と比べて弱冠パワーが足りないように感じた。
それでも多くの人が認めるミュージカル映画であり、初心者であっても取っ付きやすい内容になった作品だと思います。