作品紹介
公開年月 | 2016/11/26 |
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ジャンル | サスペンス/コメディ |
原作 | ジョン・ニヴン 『Kill You Friends』 |
監督 | オーウェン・ハリス |
脚本 | ジョン・ニヴン |
製作 | グレゴール・キャメロン、ウィル・クラーク、ほか |
製作国 | イギリス |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
1997年のロンドン、スティーヴンはレコード会社でアーティストを発掘するA&Rとして働いていた。
スティーヴンは素晴らしい音楽や新人の育成に興味がなく、彼にとって地位と金がすべて。
成り上がる為にはヒット作はもちろん、ライバルを平然と蹴落とすのも忘れない。
A&Rの部長を辞職に追い込むが、そのポストに同僚のロジャーが収まった事でスティーヴンは凶行に及ぶのだった。
登場人物&出演者
・スティーヴン・ステルフォックス(演:ニコラス・ホルト)
主人公。レコード会社のA&Rとして新人の発掘をしている。ただ、音楽に興味がない。
ニコラス・ホルトは近年の出演作に『X-MEN:アポカリプス』、『アウトバーン』などがあります。
野心の塊で音楽は地位や富を手に入れる道具と考え、同僚でもまったく信用していない。
ライバルを蹴落とす為なら手段を厭わず、フォローするように見せて落とし込む最悪の性格。
とにかく、A&Rのトップになりたい一心で興味のない音楽の知識を詰め込んでいる。
思った通りにいかないと、自分を落ち着かせる為にコカインの俗称を頭に思い浮かべる。
問題を抱えるダンスグループ、契約を迫る刑事、昇進を迫る秘書と多方面からのストレス。
それでも己の野心と向き合って立ち直るというのは逆にスゴイ熱意であった。
・ロジャー(演:ジェームズ・コーデン)
スティーヴンと同僚のA&R。スティーヴンから小バカにされるが部長に就任する。
ジェームズ・コーデンは代表作に『ガリバー旅行記』、『イントゥ・ザ・ウッズ』などがあります。
スティーヴンより年上でアルバム製作の経験は豊富で人としても好かれている。
ただ、コカイン中毒でやる気がなく何年のヒット作を出していない無能な扱いを受ける。
スティーヴンが契約した曲がコケてしまい、必然的に部長へ昇進する事になった。
A&Rを立て直そう将来の展望をスティーヴンに話しているところで殺される。
・レベッカ(演:ジョージア・キング)
デレクの秘書。主にA&Rたちの予約などを取り付ける業務がメインである。
ジョージア・キングは代表作に『ワイルド・ガール』、『ロンドンゾンビ紀行』があります。
何ヶ月も前から勧めていたバンドが急に人気が出るという鋭い嗅覚の持ち主。
実はスティーヴンがロジャーを殺した事を知っていて、彼に接近した理由があった。
それはA&Rになるという野望であり、スティーヴンを脅迫するという彼以上のビッチ。
更にスティーヴンを追いつめようとしたウッダム刑事を罠にハメる魔性の女でもある。
・ダレン(演:クレイグ・ロバーツ)
新人でスティーヴンが教育係。新たなバンドを発掘するもスティーヴンとは方向性が違う。
クレイグ・ロバーツは代表作に『レッド・ライト』、『22ジャンプストリート』があります。
有望な新人を見つけようと日夜探し回り、スティーヴンの下で業界の厳しさを知る。
・デレク(演:ジム・ピドック)
A&Rの最高責任者。趣味は若い男娼にいたぶられる事だとスティーヴンは言う。
ジム・ピドックは代表作に『鉄板英雄伝説』、『恋のロンドン狂騒曲』などがあります。
デヴィッドのバンドが費用だけかけて回収する為の新曲ができない事に苛立つ。
何年も前からトニーと接触し、リーダー不在となったA&Rに彼を迎える事になる。
・ジェームズ(演:ジョセフ・マウル)
業務部長。冷酷でモラルはないが、スティーヴンからすればいい人の部類。
ジョセフ・マウルは代表作に『ハートレス』、『リンカーン/秘密の書』などがあります。
デヴィッドのクビが確実となって、冷静に次の部長候補を冷静に分析する。
スティーヴンにとって良きアドバイザーであり、異常な業界の中では上手く渡り歩く。
・デヴィッド(演:ダスティン・デムリ=バーンズ)
A&Rの部長。スティーヴンにとってボスであるが、その座を常に狙われている。
ダスティン・デムリ=バーンズは代表作に『I Give It a Year』、『Grimsby』があります。
目にかけているアーティストが新曲をなかなか完成せず、クビ寸前の崖っぷちに立たされる。
結局、担当していたアーティストの新曲が没になってクビにされてしまう。
・アラン・ウッダム(演:エドワード・ホッグ)
ロジャーが殺された事件を担当する刑事。バンドでギターをやっていた経験を持つ。
エドワード・ホッグは代表作に『イマジン』、『疑惑のチャンピオン』などがあります。
スティーヴンに事情聴取をした際にデモテープを渡し、その気になってしまう。
当初は刑事らしくスティーヴンを疑うも、公私混同をしてしまったせいで罠にハマる。
・トニー・ホール(演:トム・ライリー)
業界でも評判の敏腕A&R。当初はスティーヴンとは別の会社にいたライバル。
トム・ライリーは代表作に『アメリカン・キャンディー/俺たちの課外授業!』、『TATARIタタリ/呪いの館』などがあります。
世界的に有名となった歌姫を育てた手腕を持ち、優れた音楽への嗅覚を持っている。
デレクが見事に口説き落とし、スティーヴンの上司となってA&Rを立て直そうとする。
結局は復活したスティーヴンの安易な罠によってすべてを失ってしまう。
感想
個人的な評価
ジョン・ニーヴンの原作小説を基に実写映画化されています。
本作は当時、世界で流行っていたUK音楽の裏側を描いた辛辣な作品。
とは言っても、映画的な演出が多く、ある種のブラックコメディ的な要素を含めている。
しかし、本作には有名なアーティストの名前が当たり前のように飛び交っている。
それに加えて、彼らには主人公のスティーヴンがバカにするようなセリフとなります。
とにかく、本作は酒・ドラッグ・セックスが業界内で当たり前のようになっている。
本作について、夢見てミュージシャンになろうとする人には酷な現実かもしれません。
なぜなら、主人公たちが扱う音楽というのは芸術ではなく、単なるビジネスの道具である。
音楽は楽しむ為の娯楽だが、本作では金を生み出す道具に過ぎないのです。
特に主人公であるスティーヴンの考え方は現実的で、音楽への愛は一切ありません。
もちろん、抱えているアーティストたちへの愛情はまったくないのです。
結局は自分の昇進だけが目的であって、新人の才能の素晴らしさはどうでもいいのです。
あくまで金を生み出せるかがポイントで、これは主人公だけじゃなく会社全体がその主義。
これは97年のUK音楽の話しだが、実際に日本でも小室哲哉が一大ブームになった。
自分はその真っ只中で青春を過ごしたワケだが、当時のブームは今から考えると異常だった。
だからこそ良質な名作も生み出せていたが、その裏側を知ってしまうと事情が変わる。
本作は惜しげもなくブラックコメディに載せている辛辣で狂気に満ちた内容になっている。
同情も共感もできない主人公を演じきったニコラス・ホルトは上手いと感じさせる作品。
個人的には彼と似たタイプだった秘書のレベッカを演じたジョージア・キングも良かった。
本作はハッキリ言って、万人向けじゃないけど、なかなか興味深い作品でした。