作品紹介
公開年月 | 2019/01/11 |
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ジャンル | サスペンス |
原作 | ユッシ・エーズラ・オールスン 『特捜部Q/カルテ番号64』 |
監督 | クリストファー・ボー |
脚本 | ニコライ・アーセル |
製作 | ヨナス・バガー |
製作国 | デンマーク |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
「特捜部Q」は過去の未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察が新たな新設した部署。
今回の特捜部Qは80年代に起こったナイトクラブのマダム失踪事件で、調査によるほぼ同時に5人の行方不明者が出ているという。
カール警部補は大事件の匂いを嗅ぎつけて捜査に着手すると、壮絶な過去を持つ一人の老女と新進政党の関係者が捜査線上に浮かび上がるのだった。
登場人物&出演者
【現代】
・カール警部補(演:ニコライ・リー・コス)
主人公。特捜部Qの主任。長年相棒として一緒に捜査してきたアサドの異動に無関心を示す。
ニコライ・リー・コスは代表作に『天使と悪魔』、『真夜中のゆりかご』などがあります。
アパートの一室で発見されたミイラ化した遺体の事件を強引に同僚から奪い取って捜査する。
不妊治療の第一人者として知られるクワト医師やスタッフが関わっていると突き止める。
自身やメンバーが何者かに襲撃されるが、それでも単独で捜査を進めてアサドの信頼を失う。
最後は重傷を負ったアサドにずっと付きっきりとなり、彼に残って欲しいと懇願した。
・アサド(演:ファレス・ファレス)
特捜部Qのメンバー。5年に渡ってカール警部補とコンビを組むが、一週間後に異動が決定。
ファレス・ファレスは代表作に『ゼロ・ダーク・サーティ』、『チャイルド44/森に消えた子供たち』などがあります。
推薦状に素っ気ない文章を書いたカールに失望し、人付き合いの悪い彼に注意をしていた。
女子収容所を絡めた事件にカールと捜査をして、友人の移民が関わっていると判明していく。
カールに失望して単独で友人を助け出そうと乗り込むが、同僚の裏切りで重傷を負う。
最後は集中治療室で昏睡状態が続き、目を覚ますとカールから残るように言われて残留する。
・ローセ(演:ヨハンネ・ルイズ・シュミット)
特捜部Qの紅一点。現場へ一緒に赴くカールとアサドのサポートをして資料を集めている。
ヨハンネ・ルイズ・シュミットは代表作に『特捜部Q』シリーズ、『Small Town Killers』などがあります。
異動するアサドに素っ気ないカールの態度に不満を持ちながら、彼との別れを惜しんでいた。
スプロー島の女子収容所跡を管理するブラントと接触し、気難しい彼をなんとか説得する。
助けを求めていたブラントの家に行くと彼を殺した何者かに襲われ、間一髪で難を逃れる。
最後は昏睡状態から目覚めたアサドの回復を喜び、再び三人でチームを組む事に喜んだ。
・ブラント(演:ニコラス・ブロー)
スプロー島の女子収容所の跡地を管理する。長年に渡って所長だったクワト医師を監視する。
ニコラス・ブローは代表作に『アダムズ・アップル』、『戦火の馬』などがあります。
過去に叔母がスプロー島に送り込まれ、そこで本人の同意なく不妊処置をしていたという。
強迫性障害を患っていて、何事にも神経質で時間通りに来ないと苛ついてしまうほど。
女子収容所にカールたちを案内するが、監禁室は直視できないほどのトラウマを持っている。
カールたちが真相に近づいていくと中で協力するが、強迫性障害が更に悪化していく。
最後は貴重な資料や知識がクワト医師の邪魔になって、手先によって呆気なく殺された。
・ヌール(演:アマンダ・ラデルジャック)
中東からの移民。父親が経営する雑貨屋の手伝いをしている。妊娠して秘密にしている。
アマンダ・ラデルジャックは本作が長編映画デビュー作となります。
友人に連れられて匿名で中絶手術ができるクワト医師が経営するクリニックにやって来る。
クワト医師により無事に中絶手術を行うが、その後は腹痛に悩まされるも父親に黙っていた。
アサドに中絶手術がバレてしまうと、事件の関連性から検査を受けると不妊処置が判明する。
最後は子供が産めなくなった事でショックを受けるが、クワト医師を訴える事になった。
・ニーデ/ギテ・チャールズ(演:ビアテ・ノイマン)
ミイラ化した遺体のアパートを所有する。長年に渡ってギテ・チャールズとして生きていた。
ビアテ・ノイマンは代表作に『セレブレーション』、『しあわせな孤独』などがあります。
事件が発覚すると銀行口座から現金を引き出し、アパートを早々に立ち去って姿をくらます。
カールがミイラ化した遺体の正体を知ると、フェリーで出ようとしたところで遭遇する。
最後はカールとヒヨスの入った飲み物を楽しみ、夫の遺灰を海に散骨して行方不明となった。
・ギテ・チャールズ(演:ルイーゼ・スコウ)
スプロー島の女子収容所で看護師をする。収容される女子たちの案内する役目を担う。
ルイーゼ・スコウは代表作に『Allez』、『Gold Coast』などがあります。
新たに収容されたニーデをイヤらしい目で見ていて、何かと彼女に興味を抱いていく。
所長であるクワトには忠実な部下として働き、収容された女子たちを放水で洗う儀式をする。
リタとも肉体関係を持っていて、夜な夜なヒヨスを飲んでハイになるのが習慣と化している。
最後は逃げたニーデを収容所に戻すと、クワト所長の指示で中絶と不妊処置を手伝った。
・クワト医師(演:アンダース・ホブ)
デンマークにおいて不妊治療の第一人者。大きなクリニックを持っていて権威もある。
アンダース・ホブは代表作に『クリッター4/ファイナル・ウォーズ』、『ボス・オブ・イット・オール』などがあります。
スプロー島の女子収容所での行為による虐待と人権侵害で訴訟になるも公文書は破棄された。
過去の出来事を葬るほどの権威を持っていて、更に同志を集めた組織の頂点に立っている。
ブラントの存在が邪魔になると同志に殺させて、事件を追うカールたちまで襲撃させる。
最後はアサドを処分しようとしてカールが助けに入り、ヌールの訴えで権威を失う事になる。
【1961年】
・ニーデ(演:ファニー・ボールネダル)
従兄弟のテーイと恋人関係で将来結婚を約束していた。父親から激しく怒られてしまう。
ファニー・ボールネダルは代表作に『Deliver Us from Evil』、『That Time of Year』などがあります。
テーイと引き離されると、不良少女を更生させるスプロー島の女子収容所に送られてしまう。
そこでは所長のクワトにイヤらしい目で見られ、看護師のギテに粗末な扱いを受けられる。
妊娠している事がリタにバレると、逃げ出そうと漁師に助けを求められるも裏切られる。
最後はクワトにレイプされる寸前で抵抗し、そのせいで中絶手術と不妊処置をされる事に。
・リタ(演:クララ・ロザガー)
スプロー島の女子収容所に収容されていた女性。元々は娼婦で更生の為に収容された。
クララ・ロザガーは代表作に『One-Two-Three Now!』、『Before the Frost』があります。
入ってきたばっかりのニーデと同室となり、すぐに彼女の持っている何かに気付く。
密かに地元の漁師に会って体を提供しながら、タバコなどの嗜好品を手に入れていた。
看護師のギテ・チャールズと肉体関係を持っていて、一緒にヒヨスを飲んでハイになる。
最後はニーデを逃がそうとするが、それは罠で自分が家に帰る為に彼女を裏切った。
・クワト所長(演:エリオット・クロスセット・ホブ)
スプロー島の女子収容所の所長。送られてくる女子を一人ひとり診断して面接を行っている。
エリオット・クロスセット・ホブは代表作に『エイプリル・ソルジャーズ/ナチス・北欧大侵略』、『Winter Brothers』などがあります。
政府から認可された施設で不良少女や淫らな行為をした少女の更生を任されている唯一の男。
収容される少女たちに必ず死んでいる家族の写真を見せ、父親の尊厳を強く示していた。
リタの罠によってレイプされる寸前にニーデを助け出すが、当然のように監禁室送りにする。
最後はレイプしようとして耳を食い千切られ、その怒りから中絶手術と不妊処置をした。
感想
個人的な評価
本作は『未体験ゾーンの映画たち2019』にて上映された作品となります。
ユッシ・エーズラ・オールスンの同名ベストセラー小説が基になっています。
更に本作は珍しいデンマーク製作の作品で、脚本のニコライ・アーセルは『ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女』や『ダークタワー』で知られます。
どうやら今回で四度目の実写映画化となっているが、残念ながら知らなかったです。
なので、本作ではすでに登場人物たちの関係性が成熟して、彼らの中でドラマが構築されて進展しているような内容です。
今回が初鑑賞となったので、彼らの関係性を把握するだけでも精いっぱいだったが、四度も実写映画化される意味が分かりました。
まず、主人公となる特捜部Qの主任カールは絶望的に人付き合いが下手で、慕ってくれる部下ですら冷たい言葉を浴びせている。
次に相棒となる中東からの移民であるアサドはカールを慕っているが、あまりにも感情のない言葉で振り回されてしまう。
最後に紅一点となるローセはカールとアサドの緩衝材になっているけど、あくまでサポートする側に立っている。
このような絶妙な関係が成り立っているので、一人でも欠けてしまうと途端にバランスが崩壊してしまいます。
そんな本作では危うい関係性を描いていて、ようやくカールの本音を引き出していく展開を魅せてくれています。
もちろん、物語の中心となる事件も残酷さと謎に満ちていて、どんな風に解明していくのかも最後まで目が離せません。
無骨すぎるカール、それでも付いていくアサド、二人を見守るローセの三人が事件を解決していく展開は面白いと思います。
決して本作は派手じゃないのですが、ヨーロッパにおける移民問題というデリケートな部分に踏み込んでいる点も見逃せない。
ただ、本作の欠点として何度も過去へ視点が飛んでしまい、主人公たちの知らないところで答えが出ているのはあまり良い演出ではない。
やはり、ここは主人公たちが自力でたどり着いて点と点を結んで線にさせる展開を描くべきだったと思います。
そもそも回想を物語の中に挟んでしまうと、途端にテンポが悪くなってしまい、本作のサクサク進んでいく捜査との相性が悪いと感じました。
しかしながら、本作はそれなりに面白かったので、他の三作も気になるほど魅せてくれる内容だったと思います。